HelpSystemsが「Fortra」に社名変更、「IBM i総合ベンダー」から「セキュリティ専門ベンダー」へ　～IBM i市場再編が背景、有力IBM iベンダーの“進化”

日本市場で多数のIBM i製品をベンダー経由で販売する米HelpSystemsは11月2日、社名を「Fortra」（フォートラ）に変更した。欧米のIBM i市場ではベンダーの買収・統合など市場再編が続いており、今回のFortraの一連の動きは、有力IBM iベンダーの1つの“進化”として注目される。

Fortraは発表文で、「当社は、サイバーセキュリティと自動化へビジネスの重点を移すことを決定しました。今後は、グローバルのお客様に単一ラインのサイバーセキュリティ製品をお届けしていきます。この戦略的なシフトとブランド再構築には新しい名称が必要となるため、社名変更に踏み切りました」と説明している。

同社は、1982年にシステム/38（IBM iのルーツの1つ）専門のHelp/38社としてスタートして以来、AS/400・IBM i用のミドルウェア製品を提供する総合ベンダーとして成長してきた。とくに2010年代以降は精力的に企業買収を継続し（30社以上、下表）、2014年には米メディアから「世界最大の独立系IBM iベンダー」と認定されている。

今回の社名変更は、同社が「IBM i総合ベンダー」から「セキュリティ専門ベンダー」へ転進することを示すもので、さらにIBM iからWindows・Linuxへビジネス領域を拡大することも示唆している。

「私たちには、すばらしい実績をもつIBM iビジネスが多数あり、これらは今後も変わりません。しかし私たちは今、サイバーセキュリティのどのような問題にも真正面から取り組める最高の製品ポートフォリオをもち、どこにも負けないサイバーセキュリティ専門家集団を有しています。私たちは今、その領域の課題に真剣に取り組むサイバーセキュリティ企業なのです」と、CMOのマイク・デヴァイン氏はブログで述べている。

近年の買収企業の中には、Windows・Linuxベースのセキュリティベンダー（製品）が複数含まれているが、今回の社名変更と同時に、それら多様なセキュリティ製品を「Powertechブランド」で統一した。Fortraは今後、IBM i、Windows、Linuxおよびクラウドを対象とする幅広いセキュリティ・ソリューションを提供していくものと思われる。

新社名のFortraは、「セキュリティ」や「防衛」を意味するラテン語。「ロゴのAはギリシア文字のデルタで、ポジティブな変化を表し、私たちのミッションに通じる」（デヴァイン氏）という。

Fortra製品は、日本市場ではIBM iベンダー経由で多数流通している。それらの製品の販売・サポートに、現段階では「変化はない」（ベンダー）ようだ。

◎下表は、Fortraの主な企業買収の歩み

［i Magazine・IS magazine］