「デジタル倫理」がピーク期。ガートナーが「プライバシーのハイプ・サイクル:2021年」発表 ~2023年末までに80%以上の企業はデータ保護規制に直面する、と予測

 

ガートナーは9月30日(現地時間)、「プライバシーのハイプ・サイクル:2021年」を発表した。

今回のハイプ・サイクルでは「デジタル倫理」が「『過度な期待』のピーク期」に位置づけられたが、その理由として「人々が個人情報の価値をますます認識するようになり、透明性の欠如や継続的な悪用に不満を抱くようになったため」と説明している。

また現在、主要な国・地域は個人データを保護する動きを強めているため、企業はその対応を迫られているが、ガートナーは「2023年末までに、世界の80%以上の企業が、少なくとも1つのプライバシーに焦点を当てたデータ保護規制に直面するだろう」とし、「2024年までにプライバシーに関するデータ保護・コンプライアンス技術への支出は150億ドル以上になる」と予測している。

「規制がまだ存在しない場合でも、顧客は自らのプライバシーを尊重する組織との関わり合いを積極的に選択している。今回のハイプ・サイクルに掲載されているような新技術の適用は、不安定な環境下でプライバシーを保護するための道筋を示すもの」と、ガートナーのバート・ウィレムセン氏(リサーチ・バイス・プレジデント)。

ガートナーの「ハイプ・サイクル」は、新たに登場したテクノロジーがどのような軌跡をたどって成熟度を増し普及するかを示したもので、「黎明期」「『過度な期待』のピーク期」「幻滅期」「啓発期」「生産性の安定期」の5つのフェーズに分かれる。

2021年のプライバシー・ハイプ・サイクルで「『過度な期待』のピーク期」に入ったのは、次の7つ(カッコ内は、主流の採用までに要する年数。以下同じ)。

・ファイルアナリシス|File Analysis(5~10年)
・コンセント&プリファレンス(同意&嗜好)マネジメント|Consent and Preference(2~5年)
・SMPC|セキュア・マルチ-パーティ・コンピュテーション(5~10年)
・データ流出対応|Data Breach Response(2~5年)
・デジタル倫理|Digital Ethics(5~10年)
・非集中ID管理|Decentralized Identity(2~5年)
・ブロックチェーンによるデータセキュリティ|Blockchain for data security(5~10年)

また、黎明期」のテクノロジーとしては、次の11種が挙げられている。

・合成データ生成|Synthetic data(2~5年)
・データ主体の権利リクエスト|Subject Rights Requests(2~5年)
・5Gネットワーク・セキュリティ|5G Network Security(2~5年)
・ゼロ知識証明|Zero-Knowledge Proofs(5~10年)
・差分プライバシー|Differential Privacy(5~10年)
・フェデレーテッド機械学習|Federated Machine Learning(5~10年)
・準同型暗号|Homomorphic Encryption(5~10年)
・データセキュリティ・ガバナンス|Data Security Governance(5~10年)
・コンフィデンシャル・コンピューティング|Confidential Computing(5~10年)
・ソブリンクラウド|Sovereign Cloud(5~10年)
・影響力エンジニアリング|Influence Engineering(5~10年)

このうち、「影響力エンジニアリング(Influence Engineering)」「フェデレーテッド機械学習(Federated machine learning)」「ソブリンクラウド(Sovereign Cloud)」については、以下のような解説が付けられている。

影響力エンジニアリング(Influence Engineering)
行動科学の技術を学習・応用して、ユーザーの選択を導くデジタル体験の要素を大規模に自動化するために設計されたアルゴリズム。まだ理論的な部分が多いが、感情検出や言語生成などの分野でのブレークスルーは、影響力のあるコミュニケーションのある側面を自動化するための明確な可能性を示している。

フェデレーテッド機械学習(Federated machine learning)
機密情報を開示することなく、分散した環境で機械学習アルゴリズムを(再)学習するための重要なイノベーション。フェデレーテッド機械学習は、データサンプルを交換することなく、スマートフォンのボット、(半)自律走行車、IoTデバイスなどのローカルノードに含まれるモデル係数の知識を使用し、プライバシーを損なうことなく、より個人的な体験を可能にする。

ソブリン・クラウド(Sovereign cloud)
単一の地域内で提供される、データの居住性やその他の法的要件を満たすクラウドサービス。

なお、「生産性の安定期(Plateau of Productivity)」(図右端)にある「CASB」や、「啓発期」(Slope of Enlightenment)の「ダイナミック・データ・マスキング」などは、今後2年以内に広く採用されることが予想される、としている。

「プライバシーハイプ・サイクル:2021年」プレスリリース(英語)

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