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クリシュナ氏、決算発表で生成AIを雄弁に語る ~watsonx、OpenShift AIなど多様な取り組みに言及、watsonxの採用企業は「150社以上」

IBM CEO兼会長のアービンド・クリシュナ氏は、7月20日の同社第2四半期決算発表で、「当四半期の業績は、ハイブリッド・クラウドとAI戦略の堅実な実行を反映したもの」と語り、生成AIと同社の取り組みについて言及した。

「IBMでは当四半期に、ハイブリッド・クラウドとAIの能力を強化する戦略的な動きを行い、Apptioの買収計画を発表しました。Apptioは、CEO、CFO、CIOがテクノロジー投資を管理するためのバーチャル・コマンド・センター機能を提供する製品で、ApptioのサービスとIBMのIT自動化ソフトウェア、および当社のAI機能を組み合わせることで、お客様はIT環境を最適化するための最も包括的なアプローチを得ることができます」(クリシュナ氏)

クリシュナ氏によると、「AIは莫大なビジネス価値を引き出す可能性を秘めた変革的テクノロジー」であり、「世界経済に年間最大4兆4000億ドルをもたらす可能性がある」(マッキンゼー調査)。そして、このようなチャンスに対処するために、「IBMではエンタープライズAIに焦点を当てています」とし、ITオペレーション、コード生成、自動化改善、顧客サービス、人事補強、予測保守、財務予測、詐欺検出、コンプライアンス監視、セキュリティ、販売、リスク管理、サプライチェーンなどをAIの適用分野として挙げた。

さらに、「AIはIBMの多数のソフトウェア製品にすでに適用されています」として、Watson Orchestrateによるデジタル労働、Watson Assistantによる顧客サービス、Watson Code Assistantによるコード生成などの例を挙げた。先週リリースが開始されたIBM watsonxは、すでに「150以上の企業で採用」とし、サムスン、シティ、SAP、ナットウエスト(英国の金融持株会社)、NASAなどの導入企業名を挙げた。

「大規模言語モデル(LLM)はAIにおける進化の過程で、現在は80%以上の企業がその利用を模索しています。既存のビジネス・データの量を考えると、企業における大規模言語モデルのチャンスは計り知れないとIBMでは考えています。これには、センサーデータ、化学データ、材料データ、地理空間データ、プログラム・コード、音声などが含まれます」(クリシュナ氏)

クリシュナ氏は、「エンタープライズAIは、パブリック、プライベート、オープンソースなど、複数のモデルに基づいている可能性があります」とし、watsonxではその点を考慮し、以下のような「いくつか重要な点で差別化を図っています」と述べた。

・単一のモデルに依存するのではなく、企業ニーズに合わせて最適なモデルを選択・活用できる。
・信頼性を担保するため、透明性とバイアスのないモデルを確保。
・企業が独自AIモデルを作成できるよう支援する仕組みを設ける。

その一方、クリシュナ氏は、「Watsonxは新しい技術革新の1つに過ぎません」とも語り、Red Hatが5月に発表した「OpenShift AI」に触れて、多様なAIへの取り組みを展開中であることを強調した。OpenShift AIは、AIモデルのライフサイクル管理を行うためのソリューションで、AIアプリケーションの学習、デリバリー、監視などを統合管理できる。

[i Magazine・IS magazine]