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クリシュナCEO、IBMのプラットフォーム戦略は「Linux、コンテナ、Kubernetesがベース」と発言 ~投資家向け「IBM Investor Briefing 2021」で

IBMは10月4日(現地時間)、投資家向けの「IBM Investor Briefing 2021」を開催した。会長兼CEOのアービント・クリシュナ氏以下、Red Hat社長兼CEOのポール・コーミア氏や、ソフトウェア、GBS、システムズの各事業部門のトップなどが顔をそろえ、説明を行った。

今回のInvestor Briefingはキンドリルの分社化後初めて開催される投資家向け説明会で、IBMの今後数年の成長戦略を具体的に説明した点で注目される内容である。

クリシュナ氏は、キンドリル分社後のポートフォリオは、「半分近くがソフトウェアで、3分の1弱がコンサルティング・サービスになる」とし、約25%を占めるインフラストラクチャ事業や、投資およびエコシステムの拡大により、「2022年から1桁台半ばの収益成長を続ける」と見通しを語った。また、「IBMは10年前とはまったく違ったように見えるかもしれない」とも付け加えた。

クリシュナ氏の説明のなかで注目されるのは、IBMの戦略はプラットフォームにフォーカスするものであり、そのプラットフォームは「Linux、コンテナ、Kubernetesをベースにするもの」という点だ。

クリシュナ氏は下図を示し、「IBMのソフトウェア・ポートフォリオはすべて、このRed Hatのプラットフォームに最適化される」と言い切った。【以下、10月21日修正】ただし、全売上の約20%を占めるインフラストラクチャ事業の基盤であるIBM Z(OS)、IBM i(OS)、AIXの各OSは今後も投資が継続されるものと見られる。IBM i(OS)は最新バージョン7.4の2世代先(IBM i next+1)までロードマップに明記されており、AIX 7.3も予定通り今年12月にリリースが予定されている。

 

IBMの戦略は、Red Hatのハイブリッドクラウド・プラットフォームがベース
IBMの戦略は、Red Hatのハイブリッドクラウド・プラットフォームがベース
IBMのハイブリッドクラウド・プラットフォームと新しいセグメント分類、その2020年売上高
IBMのハイブリッドクラウド・プラットフォームと新しいセグメント分類、その2020年売上高

 

クリシュナ氏に続いて説明を行ったRed Hatのコーミア氏は、Red Hat側からRed Hatのプラットフォーム戦略について語った。

それによると、戦略の中核にRed Hat Enterprise Linux(RHEL)があり、その外周にOpenShiftとマネージドサービスを含む各種クラウドサービスがあり、その上にIBM Cloud Pakシリーズ、さらにその上にIBMのソフトウェアとコンサルティングが配置されるというポートフォリオである。

もちろんRed HatとIBMの製品・サービスだけでは多様なユーザーのすべての要望に応え切れないので、ISVやパートナーのサービス・製品も配置されている(下図中の暗赤部分)。

RHEL・OpenShift上のハイブリッド/マルチクラウド構築とパートナー戦略
RHEL・OpenShift上のハイブリッド/マルチクラウド構築とパートナー戦略

 

これについてコーミア氏は、「このプラットフォーム戦略では、パートナーが重要な鍵を握っているが、と同時に、パートナー・ISV・SIerのエコシステムの形成にも寄与している。なぜなら、多様なパートナー・ISVのサービス/アプリケーションが既にプラットフォーム上に多数あるからで、パートナー・ISV・SIerは、他ベンダーのアプリケーションや製品をこのプラットフォーム上で実行することができる」と強調した。

このことは同様に、Red Hatのパートナー・ISV・SIerがRed Hatプラットフォームを介してIBMの製品・サービスを容易に利用できることを意味し、IBMのパートナー・ISV・SIerがRed Hatのパートナー・ISVの製品・サービスを利用できることを示している。

クリシュナ氏が語った「エコシステムの拡大により」の中身は、ここにありそうだ。

[i Magazine・IS magazine]