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IBM、米国特許ランキングで2位に後退 ~「特許の取得と同じくらい、オープンイノベーションが重要」とIBMギル氏

米国の特許事務所Harrity & Harrityは1月12日、恒例の「米国特許トップ300」(今回は「The 2023 Patent 300 List」)を発表した。毎年IBMが1位の座を占め、同社が先端技術開発力の高さを誇示してきたランキングだが、今回は、特許数で前年比44%減の2位となり、大きな変動があった。

トップ3の1位はサムソン電子で特許数8513本(前回比0%)、2位はIBMで4743本(44%減)、3位は韓国のLGで4580本(5%増)だった。

日本勢は、トップ10にトヨタ自動車(4位、3056本、11%増)とキヤノン(5位、3046本、10%減)が入り、11位以下では、ソニー(11位)、日立製作所(20位)、パナソニック(21位)、富士フイルム(24位)、ホンダ(25位)がランクインした。

IBMが2位となった理由について、IBM Researchディレクターのダリオ・ギル氏(SVP)は、Fortune誌(オンライン)への寄稿で次のように説明している。

「IBMでは2020年に、特許数でトップに立つという目標を追求しないことを決定しました。この変化は、一言で言えば“集中”です。当社は今後も、多数の特許を誇る知的財産企業であり続けますが、イノベーション戦略の一環として、特許取得に向けたアプローチをより選択的かつ集中して行うことを決定したのです」

「特許は、企業の真のイノベーション能力を測る1つの指標に過ぎません。IBMは今後も新しいテクノロジーの特許を取得し続けますが、特許だけではイノベーション能力の完全なバロメーターとはなり得ません。AI、クラウド、セキュリティ、半導体、量子コンピュータなどの分野は、非常にダイナミックで複雑であるために、さまざまな組織・機関が協力し合う“オープンイノベーション”と呼ばれる研究開発スタイルと特許とのバランスを取ることがますます重要になっています」

「バランスの取れたイノベーションのアプローチでは、技術チームが、イノベーションと発明(特許)の保護と同じくらい、オープンイノベーション、コミュニティの構築、優れたデザインとユーザーエクスペリエンスによる顧客の満足にエネルギーを注ぐことが必要です。私たちは、技術を発展させるためには、独占ではなく、コラボレーションが最良の方法であると考えています」

*Fortune誌へのダリオ・ギル IBM Researchディレクターの寄稿(英語)
https://fortune.com/2023/01/06/ibm-patent-record-how-to-measure-innovation-open-source-quantum-computing-tech/

◎米国特許ランキング トップ20 「2023 米国特許トップ300」から

順位企業名米国特許数前年比
1サムソン電子85130
2IBM474344%減
3LGコーポレーション45805%増
4トヨタ自動車305611%増
5キヤノン304610%減
6TSMC30388%増
7ファーウェイ(HUAWEI)30233%増
8BOE272527%増
9Raytheon Technologies26840
10QUALCOMM265622%増
11ソニー26381%増
12インテル25019%減
13デル・テクノロジーズ244519%増
14アップル231311%減
15アルファベット(Google)20772%増
16アマゾン20513%減
17Micron Technology19217%増
18マイクロソフト188825%減
19ヒュンダイ(現代)178620%増
20日立製作所15573%増

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