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IBM Power S1012発表、筐体を小型化し、IBM i専用モデルなどが登場 ~発表内容を図・表で紹介

IBMは5月7日、Power10ファミリーのエントリーマシンとなる「IBM Power S1012」を発表した。

3種類のモデルがあり、1コアのみを搭載するタワー型の「IBM i専用モデル」、1~4コア搭載可能で機械別グループ P05に分類される「P05 スケールアウトモデル」(タワー型/ラック型の2タイプ)、最大8コア搭載可能で機械別グループ P10に分類される「P10 スケールアウトモデル」(ラック型のみ)の3種類である。

対応OSは、IBM i 7.4 TR10~、IBM i 7.5 TR4~。Linux(RHEL 9.2~)、AIX 7.1/7.2/7.3、OpenShift 4.15~。

IBM Power S1012のタワーモデル(左)、ラックモデル(右)
IBM Power S1012のタワーモデル(左)、ラックモデル(右)

IBM Power S1012は筐体の大きさを、タワー型・ラック型とも小型化した。タワー型では、S1014の筐体サイズ(横幅×高さ×奥行)が「13×20.6×32インチ」であるのに対して、S1012は「4.4×16.2×30.9インチ」と薄型で、体積比で約1/4の大きさになった。ラック型は、S1014のサイズが「高さ4U・横幅19インチ」であるのに対してS1012は「2U・横幅1/2ワイド」で、こちらも約1/4の大きさである。

S1012のサイズと配置形態
S1012のサイズと配置形態

ラック型のS1012は、もう1台を横に並べてHA構成にすることができる(写真)。あるいは、S1012の横に外付けのRDXの配置も可能。1台のみの場合は、横にフィラーと呼ぶ“蓋”を取り付ける必要がある。

2台のラック型S1012を横に並べて配置
2台のラック型S1012を横に並べて配置

また電源も800W(2口)となり、消費電力をS1014(1200W×4口)よりも低減化できるという。

S1012の主なスペック

S1012のCPW値は、S1014およびS1022sと同じeSCMプロセッサ(3.0~3.9GH/z)を採用しているため同等レベル(下図表)。ただしスペックを小さくし、かつ機能制限を設けるなどして、現行マシンと“差”をつけている。

最大メモリ容量は、S1014の「最大1TB」に対して、IBM i専用モデル(1コア・タワー)は「64GB(固定)」、P05 スケールアウトモデルは「最大64GB」、P10 スケールアウトモデルは「最大256GB」である。また最大メモリ帯域幅は、S1012の全モデルで102GB/Sで、S1014(2042GB/S)よりも低速化させた。

S1012 各モデルとS1014、S1022sのスペック比較
S1012 各モデルとS1014、S1022sのスペック比較

IBMは、「このシステムは、ユーザーのエントリーポイントとして設計されており、ローエンドのIBM iサーバー、小規模データベース・サーバー、またはエッジ・コンピューティングに適しています」と強調している。現行のS1014よりも、小規模ユーザーにより最適化させたという意味だが、価格についてどの程度“最適化”させたのかは、今回の発表では公表されていない。

以下は、S1012の特徴・ハイライトと制限事項である。

S1012の特徴・ハイライト

・ラック型とタワー型の2タイプを提供

・Power10 eSCMプロセッサー(SMT8)を1基搭載し、以下を選択可能
 - 1 コア(タワー型、IBM iのみ)
 - 4 コア(タワー型・ラック型)
 - 8 コア(ラック型のみ)

・業界標準のDIMMを搭載
 - DDR4 DIMM用スロット×4
 - システム・メモリ容量 最大256 GB(8コア時)
 - セキュリティ強化のためのメインメモリ暗号化

・PCIe Gen5スロットを4基搭載
 - 2 PCIe G5 x8 / G4 x16
 - 2 PCIe G5 x8
 - 外部PCIeドロワーのサポートはなし

・NVMeエンクロージャを内蔵
 - 最大4台のNVMe U.2フラッシュドライブをサポート
 - 15 mm U.2フォーマット(15 mmキャリアで7 mmをサポート)
 - NVMeドライブに800 GBおよび1.6 TBのオプションを用意
 - 最大6.4 TBのストレージを提供(実効容量は3.2TB)
 - 外部I/Oドロワーはサポートなし

・RDXを装着可能(オプション)
 - TPMモジュールによるセキュアかつトラステッド・ブート

・EU効率指令を満たすチタン電源
 - 業界標準800W×2
 - 100-240VAC C14インレット
 - 高度なサーマル・パワー・マネージメント内蔵

・エンタープライズBMC管理
 - HMCオプション

・IBM i、AIX、Linux(OpenShiftを含む)をサポート

制限事項

現行のPower10スケールアウトサーバーでは利用可能であっても、S1012では以下の機能制限がある。

・静的アクティベーションのみサポート

すべてのプロセッサとすべてのメモリは工場出荷時からアクティブで、オンデマンドでの容量変更やPower Enterprise Poolsはサポートされない。

・外部PCIe拡張ドロワーや外部ストレージドロワーはサポートされない。今後、PCIeスロット数や NVMeストレージデバイス数を拡張する予定はない。

・PCIeスロットは、同時メンテナンスをサポートしない。

・PCIeスロットから PCIeカードを追加または取り外すには、サーバーの電源を落とす必要がある。

・高度な仮想化機能は有効になっていない。
 - ライブ・パーティション・モビリティ(LPM)
 - アクティブ・メモリ・ミラーリング(AMM)
 - 仮想持続メモリ(vPMEM)

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