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IBMとRapidus、2nm半導体を軸に戦略的パートナーシップを締結 ~Powerマシンへの搭載は2029年頃? Rapidusは技術ラインセスを供与され、国内量産化を目指す

IBMとRapidus(ラピダス)は12月13日、戦略的パートナーシップを締結した、と発表した。IBMはRapidusへ2ナノの半導体技術に関するライセンスを供与し、Rapidusは日本国内での製造と量産化を目指す。同日、東京で開催された記者会見にはRapidus社長の小池淳義氏、会長の東哲夫氏、IBM Researchトップのダリオ・ギル氏、日本IBM社長の山口明夫氏らが顔をそろえた。

Rapidusは11月11日に設立された会社で、トヨタ自動車、デンソー、ソニーグループ、NEC、NTT、キオクシア、ソフトバンク、三菱UFJ銀行の8社が出資する。資本金73億4800万円のうち73億円がこの8社による出資である。また経済産業省からは「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の採択企業として700億円の支援が決まっている。

今回の戦略的パートナーシップの概要は、次の3つ。

(1)IBMは、Rapidusに2nm(ナノ・メートル)の半導体技術ライセンスを供与する。
(2)Rapidusは、米ニューヨーク州アルバニーにある「Albany Nano Tech Complex」に研究者・技術者を派遣し、IBM・日本IBMの研究者と協働させる。
(3)Rapidusは、2020年代後半に2nm半導体の量産を目指し、IBMはそれに技術協力する。

Rapidusの小池社長は、同社の半導体は「ユーザーの設計をスピーディにサポートし、半導体製造の前工程の回路形成が短時間で行え、後工程における3次元パッケージングも早期に実現できるものになる」と製造方針を語り、「これら3つを兼ね備える製造工場を作る」と抱負を述べた。

IBMは2014年に半導体製造事業をGlobal Foundries社に売却して以来、半導体の研究・開発は行うものの、量産化は台湾のTSMCや韓国のサムスン電子などの外部ファウンドリ企業に委託してきた。2nmの半導体については、昨年(2021年)5月に開発を発表したが、量産化の委託先は未定だった。

・関連記事「IBM、2nm・500億トランジスタの半導体を開発 ~2024年後半に量産目標、POWER11?」
https://www.imagazine.co.jp/2nm-chips-2/

IBMでは、量産化された半導体をIBM Power/Power Systemsなどへ優先的に搭載する戦略を取ってきた。Powerの製品サイクルでは、3~4年ごとに新世代の半導体を搭載したマシンが投入されている。この製品サイクルに基づけば、次のPOWER11搭載機は2025年頃に、その次のPOWER12(名称未定)搭載機は2029年頃に登場すると見られる。この「2029年頃」は、Rapidusが2nm半導体の量産時期に想定しているタイミングである。とすると、2nm搭載のPowerマシンは2029年頃に登場すると見ることができる。

新世代のPOWERプロセッサを搭載したPowerマシンの製品化サイクル
新世代のPOWERプロセッサを搭載したPowerマシンの製品化サイクル

Rapidusの東・小池両氏は記者発表で、「今回のパートナーシップはIBMからの打診が発端」と明かし、「2年前に、IBMから2nm半導体の製造を委託できないかという相談があり、そこからすべてが始まった」と述べた。今回の提携は、IBM側の意向と国産半導体産業を再興させたい日本の思惑が合致したようだ。

IBM・Rapidus戦略パートナーシップ締結までの経緯
IBM・Rapidus戦略パートナーシップ締結までの経緯

半導体は現在、線幅5nmまでが量産化され、3nm、2nmの量産化は研究・開発段階にある。5nmまでは「FinFET」(フィン型電界効果トランジスタ)と呼ばれる半導体製造技術が使われるが、3nm、2nmは「ナノシート」(NS GAA)という現在研究・開発中の技術が必要になる。Rapidusはこのナノシート関連の技術をIBMから供与され「習得し量産化を目指す」(小池氏)が、その技術の習得と製造システムへの実装は、「Rapidusにとって大きなジャンプ、大きなチャレンジ」と、小池氏は語った。

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