MENU

IBMが「大きな革新」と胸を張る、IBM Spectrum Fusionって何? ~コンテナネイティブ・ストレージ!

IBMは4月27日(現地時間)、ストレージ・ポートフォリオの「大きな革新」とアピールする「IBM Spectrum Fusion」を2021年後半に発売する、と発表した。従来からの主要製品の技術要素を統合し、クラウドネイティブ時代のストレージ・ニーズに対応する注目すべき製品である。

ストレージ分野では、クラウドネイティブなワークロードのニーズに対応するためにKubernetesのCSI(Container Storage Interface)を採用する動きが広がりつつある。既にAWS、Azure、GCPなどのクラウドストレージやDell EMC、NetApp、Nutanixなどストレージ/HCI製品が対応済みで、IBM製品としてはIBM Spectrum Scale、IBM Block Storage、IBM Spectrum Scaleなどがある。

しかしCSIだけのアプローチでは、データ/ファイルが急増するハイブリッド環境においてパフォーマンスを維持しつつ高度な可用性やレジリエンシーを確保することが困難になりつつある。

そこで登場しているのが、ストレージサービス自体をコンテナ内に配置してアプリケーションなどとセットで稼働させる、コンテナネイティブのアプローチである。Red Hatの「Red Hat OpenShift Container Storage(OCS)」やピュア・ストレージの「Portworx」などの製品が登場済みで、このアプローチを用いると、アプリケーションと整合性の取れたストレージの運用や自動化、高可用性を実現できる。

IBMの「IBM Spectrum Fusion」はこのコンテナネイティブ化の流れに沿うもので、既存の「IBM Spectrum Scale」(マルチ環境におけるデータワークフロー管理、スケールアウト機能)、「IBM Spectrum Discover」(メタデータ管理)、「IBM Spectrum Protect Plus」(データ保護)の3つのストレージ製品の技術要素を統合したものである。

IBMの資料によると(こちら)、IBM Spectrum Fusionは「アプリケーションとストレージ基盤の中間に配置されるアーキテクチャ」を備え、下記のようなコンポーネントをもつストレージサービスである。

IBM Spectrum Fusion概要

①アクティブファイル管理(AFM)によるHA/DR、グローバルアクセス
②マルチプロトコルによる同時アクセス
③ハイパフォーマンスなストレージ・キャッシング
④テープやクラウドへのアーカイブ機能
⑤AIへの適用・最適化
⑥データセキュリティ(イミュータビリティ・暗号化)

そしてこれらにより、データの発見とオーケストレーション、キャパシティとパフォーマンス管理、データのレジリエンシー、HA/DRを実現するという。

IBM Spectrum Fusionの機能

 

IBM Spectrum Fusion HCI 

IBMは、IBM Spectrum Fusionを実装する最初の製品として、2021年後半にHCI(ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ)アプライアンスをリリースする予定。また2022年の早い時期に、SDS限定バージョンのIBM Spectrum Fusionをリリースする計画という。

HCI製品はRed Hat OpenShiftを搭載し、仮想マシンとコンテナの両環境に対応し、「クラウド、エッジ、データセンター向けにSDS(ソフトウェア定義ストレージ)を提供するよう設計」されているという。

基本構成は、以下の通り。

・42Uラック
・2台のイーサネットスイッチ(100GbE、Top of Rack配線)
・2台のイーサネット管理スイッチ
・6台(各1U)のx86ストレージ/コンピューティング・ノード

ストレージは、各ノードで2台から10台までペアで拡張可能で、コンピュートは6ノードから20ノードまでペアで拡張できる(オプションのGPUノードを追加した場合は最大16のノードまで)。

また、AIワークロード用のGPUアクセラレーション・ノードがオプションで用意され(NDIVIA A100 GPU採用)、Red Hat OpenShift Operator for AIを利用できる。これにより、IBM Spectrum Fusion HCI上でAIワークロードの作成・実行がさらに容易になる、としている。

IBM Spectrum Fusion HCIは、次の特徴をもつ。

・Red Hat OpenShiftの利用による、仮想マシンとコンテナの両環境に対応する統合HCIアプライアンス
・スケールブルなコンテナ型ファイルシステム
・ローカルおよびリモートでのバックアップ/リカバリー機能
・パブリッククラウド、オンプレミス、エッジをカバーするグローバル・データプラットフォーム
・IBM Cloud SatelliteとReb Hat ACM(Advanced Cluster Management for Kubernetes)のネイティブ統合
・AI機能とNVIDIA A100 GPU(オプション)の搭載

さらに、ストレージ、コンピュート、ネットワークをシンプルに管理可能なGUIが提供されている。以下のような機能が搭載されているという。

・Red Hat OpenShift、IBM Spectrum Fusion、HCIアプライアンスの管理スタック
・コンピュート、ストレージ、ネットワークの設定・監視用の管理UI
・OpenShift VirtualizationによるVMのデプロイメントのサポート
・アプリケーションのバックアップ/リストア

IBM Spectrum Fusion HCIの管理コンソール画面

・IBM Spectrum Fusion(英語)https://www.ibm.com/products/spectrum-fusion

[i Magazine・IS magazine]

新着