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IBM、Watson Health事業を売却へ ~クリシュナIBMの事業選別・集中化は続く

IBM Watson Healthホームページから
IBM Watson Healthホームページから

 

IBMは1月21日(現地時間)、Watson Health事業が保有してきたヘルスケアデータおよび分析資産を投資会社フランシスコ・パートナーズに売却する、と発表した。売却資産には、Health Insights(ヘルスケア用統合データ分析・管理基盤)、MarketScan(診療記録データベース)、Clinical Development(臨床試験用アセット)、Social Program Management(ケースワーカー支援システム)、Micromedex(包括的医療情報データベース)、およびイメージングソフトウェア製品など、広範囲かつ多様なデータセットと製品が含まれる。

Watson Health事業は2015年4月に創設され、先端医療・先端医学へのAIの適用として大きな注目を集めてきた。IBMは同年以降数年間に、40億ドルを上回る企業買収を行ってきたと言われる。しかし2020年には、がん遺伝子研究・医療用の「Watson for Genomics」やがん診断支援システム「IBM Watson for Oncology」を中止するなど事業の見直しを迫られてきた。

IBMソフトウェア事業を統括するトム・ロザミリア氏(Tom Rosamilia、シニア・バイス・プレジデント)は、「本日のフランシスコ・パートナーズとの合意は、IBMがプラットフォーム・ベースのハイブリッド・クラウドとAI戦略にさらに注力していく上で、明確な次のステップとなります」(ニュースリリース)と語る。

IBMはアービンド・クリシュナ氏がCEOとなって以降、「ハイブリッドクラウドとAI事業への集中」を掲げ、2021年11月にはマネージド・インフラストラクチャ・サービス事業のキンドリルを分社化した。今回の売却はその一環。

売却先のフランシスコ・パートナーズ(Francisco Partners)は1999年設立の投資企業で、本社は米サンフランシスコ。ヘルスケア分野のほか、セキュリティ、インターネット、ソフトウェアなど400社以上のテクノロジー企業に投資を行っており、SonicWall、WatchGuard、Eventbrite、Redisなどもその1つ。

[i Magazine・IS magazine]