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ハイパーコンバージド・ベンダーの取り組みを聞く|吉松 正三氏◎JBCC

ハイパーコンバージド技術は、明日のビジネスの“ステップ1”

各社製品を幅広くラインナップし、「ハイパーコンバージド・ファースト」で提案

吉松 正三氏

JBCC株式会社 
取締役 常務執行役員 ソリューション事業担当

 

IS magazine(以下、IS) JBCCへは2013年1月の入社とのことですが、それ以前はどのようなご経歴ですか。

吉松 日本IBMで営業畑を長く歩き、パナソニック様を担当したあと、複数の部門で管理職を歴任後、ストレージ事業部長になりました。その後、クラウド事業の立ち上げ時に営業の責任者を務めました。

IS JBCCへの移籍後は何を担当してきたのでしょうか。

吉松 当時のJBCCは、それまでのAS/400(IBM i)中心のビジネスを変えていこうという時期で、その舵の切り替えに道筋をつけるのが私のミッションでした。具体的には、AS/400だけではマーケットに限りがありますから、新しい製品領域としてストレージへのフォーカスを決め、事業分野を横断的に見る専任の組織を作りました。商材・ソリューションを的確に選択してお客様の課題を解決する、技術者と営業が一体となった専門組織です。ストレージを提供するメーカー/ベンダーはたくさんあり、それぞれの製品に強み・弱みがありますから、それらを1つ1つスタディしてポートフォリオを広げてきたのが、これまでの取り組みと言えます。

IS 各社の製品の特徴をズバリ指摘する「ストレージクリニック」は、ずいぶん評判になりましたね。

吉松 今の「インフラ最適化クリニック」の前身ですが、製品に関する知見こそすべてと考えて独自にテストや検証を行い、さらに年間100件を超えるクリニックでお客様の生の課題・問題に向き合い、それらの解決を通して知見を蓄積してきました。

IS ビジネスのトランスフォームは進みましたか。

吉松 IBM iおよびIBM関連のビジネスは依然として堅調ですが、売上に占める割合は相対的に小さくなりました。その分、それ以外のビジネスが大きく伸びています。そしてこの間、自分たちでマーケットを追いかけて案件を作る体制の整備と、収益性の改善に努めてきました。要するに、ほんとうの意味でのSIerを目指してきたということですね。ビジネスのトランスフォームはかなり実現できたと考えています。

 

統合化と仮想化の価値を追求し
ハイパーコンバージドに到達

IS ハイパーコンバージドへの取り組みは、いつから始まったのですか。

吉松 ストレージを追求するなかでソフトウェア・デファインド・ストレージ(SDS)の登場があり、それとは別に、次に来るメガ・トレンドの調査を進めていってハイパーコンバージドに出会いました。Nutanixは日本ではまだほとんど知られていなかった時期ですが、これは価値ある技術だと感じ、本格的なスタディを開始しました。2015年の初めのころです。その伏線でもありますが、統合化にビジネスの芽があることは以前からわかっていたんですね。

IS というと?

吉松 日本では欧米や韓国などと比べて、システムの統合化が非常に遅れています。このことは広範な調査で裏付けられていますが、つまり、1つ1つのサーバーのリソース使用率は低いのに、それらをまとめる方向に動いていないのです。統合すれば現状の半分のサーバー数で済むのに、そうはならない。それは、システム部門の力が弱く、ガバナンスが利いていないのが理由の1つですが、統合化の価値をあらためて訴求すれば大きなビジネスになるという確信がありました。また仮想化が一段落し、お客様が仮想化の導入で感じた課題や、クラウドのよさと課題を検討している時期にあることもスタディを急いだ理由です。

IS その領域にハイパーコンバージドがフィットするということですね。

吉松 そうです。当社の視点で言えば、統合化と仮想化の価値を追求していったらハイパーコンバージドに到達した、という感覚です。実際、幅広いお客様にハイパーコンバージドの価値を認めていただき、ビジネスは順調に伸びています。

IS とくに何が受けているのですか。 

吉松 それはインフラの構築・運用・保守が劇的に楽になるからでしょう。システムのセットアップは驚くような短時間で行えるし、拡張やスケールアウトなども自動でやってくれます。ハイパーコンバージドの技術はクラウドの技術そのものですが、しかし世の中にはクラウドに移行できない、システム部門の管理下に置く必要のあるシステムやデータはたくさんあります。そのニーズとギャップの溝を埋める革新的なソリューションとしてハイパーコンバージドが浮上しています。それが今、ハイパーコンバージドが大きな注目を集めている理由ですね。

IS 今は「ハイパーコンバージド・ファースト」ですか。

吉松 プライオリティとしては、それに近い形になりました。インフラに関するさまざまな課題を一挙に解決できるテクノロジーがハイパーコンバージドだからです。

IS 扱っているハイパーコンバージド製品も幅広いですね。

吉松 Nutanixを扱いビジネスを伸ばしていることが、当社が真のSIerへ変わりつつあることの強力なメッセージとなり、これまでお付き合いのなかったメーカーから声をかけていただくようになった結果です。現在は、Nutanix製品のほかに、HPEのSimpliVity、シスコシステムズのHyperFlex、デルEMCのVxRail、ヴイエムウェアのvSANと、Power SystemsにNutanixを載せたNutanix on Powerの提案も開始しました。ハイパーコンバージド製品と一口に言ってもそれぞれに特徴と強みがありますから、幅広くラインナップしています。

ユーザーをオンプレミスに引き付ける
大きなインパクト

IS IBM Hyperconverged Systemsをどう評価しますか。

吉松 すでに数件の提案が進行中ですが、ハイパーコンバージドでもPower Systemsの信頼性やパフォーマンスを求められるお客様は確実に存在すると見ています。そこにどのような付加価値を付けていくかが当社の課題です。

今、お客様の目はオンプレミスに戻ってきていると感じています。クラウドへの移行が先行組のお客様の間で一巡したのに加えて、オンプレミスでクラウド同様の、使い勝手のよい、手離れのよいソリューションが出てきたからです。つまり、ハイパーコンバージドがお客様の目をオンプレミスへ引き付ける大きなインパクトになっているのです。

IS ユーザーへの提案の形も変わっていきそうですね。

吉松 そう思っています。クラウドとかオンプレミスというのはソリューションを実現する手段の話でしかないので、お客様の課題ごとに適材適所の選択をしていくことが今切実に必要とされています。それはソリューション・プロバイダーの原点に戻るということにほかなりません。その観点で言えば、ハイパーコンバージドが備える革新的な技術は、次のインフラデザインのフットプリントであり、明日のビジネスの“ステップ1”だと考えています。

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IS magazine No.17 (2017年10月)掲載

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