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事例|エスフーズ株式会社 ~PHPQUERYの導入により、基幹データ活用のレベルアップを目指す

クエリー実行にCLを呼ぶ出す機能で過去の資産を有効活用

商品写真はイメージです

エスフーズ株式会社

本 社:兵庫県西宮市
設 立:1967年
資本金:42億9835万円
売上高:3519億円(連結、2020年2月)
従業員数:2438名(連結、2020年2月)
事業内容:食肉等の製造・卸売事業、小売事業、外食事業
http://www.sfoods.co.jp/

「こてっちゃん」で知られる食肉の製造・卸売事業を展開する。家庭用および業務用に向けて定番商品、季節商品、PB商品など多彩なアイテムを提供している。食肉産業の最上流である家畜の生産から、食肉の卸売、食肉加工品の製造を経て、最下流の食肉の小売・外食までを一貫して手がけているのが最大の強みである。

有効なツールにより
基幹データ活用をレベルアップする

エスフーズが、IBM i上の基幹データ活用ツールである「PHPQUERY」(オムニサイエンス)を導入したのは、2018年夏のことである。

実はそれに遡る8年ほど前から、営業部門での効率的な基幹データ活用に向けて有効なツールの導入を模索してきた。

同社のIBM i運用歴は30年以上になる。販売管理や生産管理を軸とする基幹システムは長年にわたる改修を積み重ねてきた結果、完成度・洗練度の高いシステムとして運用されている。ただし基幹データ活用に関しては、いくつかの課題を抱えていたようだ。

「当社では従来、営業部門から寄せられる実績管理などの帳票ニーズに対して、Query/400を使って個別にプログラムを作成してきました。しかし要望が少し異なるだけでも、1つ1つプログラムを作成し直さねばならず、その数は1000本を超えていました。クエリーの作成に時間がかかり、プログラム管理にも苦労していたのです。また現場のユーザーは印刷した帳票を見ながら、あるいは直接画面を見たりしながら、Excelにデータを入力し直すといった作業も発生していました。そこで作る側と使う側の双方の負担を軽減するためのツールをずっと探していました」と語るのは、経営企画室システム企画課の伊勢裕課長である。

伊勢 裕氏
経営企画室
システム企画課 課長

PHPQUERYを導入する以前も、IBM i上で利用可能な数種類のデータ活用ツールを検討していた。実際に導入した製品もあるが、同社が抱えていた「作る側と使う側の双方のニーズを満たす」という条件を備えるツールにはなかなか出会えず、社内で利用が拡大することもなかったという。

「そんななか2018年にPHPQUERYの存在を知り、オムニサイエンスを訪問して機能を検証したところ、とても使いやすく、ほぼ当社のニーズを満たせることを確認できたので導入を決めました。PHPQUERYはユーザーライセンスが無制限である点も、コストパフォーマンスのよさとして評価の理由になりました」と、経営企画室システム企画課の金岡茂光主任は当時を振り返る。

金岡 茂光氏
経営企画室
システム企画課 主任

便利さが口コミで広がり
社内での活用が拡大

システム企画課には課長を含めて5名のスタッフが所属するが、そのうちの3名がPHPQUERYの講習を受け、導入後からすぐにクエリー定義の作業をスタートさせた。

開始当初に作成した定義は20本程度であるが、約3年を経過した現在では、本社の営業本部や経理部、全国の営業所を含めて約30カ所でPHPQUERYを利用している。得意先別、商品別、アイテム別などクエリーの定義数は140本を超えるまでに利用が拡大している。

「システム企画課が利用推進に努力したというよりは、社内の口コミで自然に広がっていった印象です。たとえば以前は月1回の営業会議で資料を作成するのに、何時間も費やしていました。しかし今はPHPQUERYで定義を作成しておき、ユーザーはそれを使って自由にExcelで加工すればよいので、30分もかからずに資料を作成できます。こうした利便性が口コミで広がって、『そんなに便利なら、うちの部署でもぜひ使いたい』との要望が寄せられるようになり、自然に利用が広がっていきました」(伊勢氏)

ちなみにPHPQUERYでは、クエリー実行前後にCLを呼び出せるのが大きな特徴である。これにより既存のRPGプログラムやクエリーを再利用できるので、複雑なデータ抽出や編集であっても、過去の資産を活用しながら短時間で対応可能となる。

「CLを呼び出せることで、1000本近い過去のクエリー資産を活用できたので、定義作成の作業は格段に容易だったと考えています」(金岡氏)

また同社では毎朝、その日の在庫データをメールで配信する。賞味期限を伴う食品なので、毎朝の在庫情報配信は必須となるが、PHPQUERYにはクエリーの実行結果をメールに添付して自動配信する機能があるので、これを利用している。

図表1 PHPQUERYのポータル画面
図表2 PHPQUERYの分析画面

PHPQUERYの利用が
コロナ禍でのペーパレス推進に一役

コロナの感染拡大が深刻となった2020年以降、同社でも在宅勤務を可能にする環境整備を続けてきた。在宅でも使用できるPCの導入強化やネットワーク環境の整備などと並び、大きな課題となったのがペーパレス化である。

「自宅から基幹システムへのアクセスは可能であっても、帳票の印刷はどうしても出社することが必要となります。帳票印刷のために出社せざるをえないケースもよく見られました。あるいは帳票の印刷を出社している社員に依頼し、その社員は帳票を手作業でスキャンしてPDF化し、メールで送信するといった作業も余儀なくされています。しかしPHPQUERYを利用していたおかげで、一部の作業は帳票を印刷することなく在宅で作業を進められました。現在はこうした課題を解決するため、本格的なペーパレス化に向けて、基幹システムの帳票データをPDF化するツールの導入を検討しています」(伊勢氏)

同社では今年、7年ぶりにPower Systemsのリプレースを控えている。それとともに、5年後を見据えてIT環境の新たな青写真を策定する作業もスタートさせる計画である。

将来構想の詳細は未定であるが、まずはグループ内で別システムとして運用しているIBM i上の業務アプリケーションを統合し、グループ全体で運用すべく、個別システムと共通システムなどの再設計に取り組んでいくという。

[i Magazine 2021 Spring(2021年4月)掲載]