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日本総研がレポート「期待が高まる地方銀行による中小企業DX支援」を発表 ~ただし現状のDX支援体制は「不十分であり、支援機能の強化が急務」と指摘

日本総研は5月2日、「期待が高まる地方銀行による中小企業DX支援」と題するレポートを発表した。

近年、DXへの注目が高まっているが、その中で中小企業の対応の遅れが目立つ。その背景には、DXの重要性についての理解不足、長期のDX戦略の不在、DX人材の不足、投資資金の不足などの要因が指摘されている。

中小企業のDXに向けた課題 資料:中小企業基盤整備機構 2022年 単位:%
中小企業のDXに向けた課題 資料:中小企業基盤整備機構 2022年 単位:%
中小企業がDX に期待する成果・効果 資料:中小企業基盤整備機構 2022年 単位:%
中小企業がDX に期待する成果・効果 資料:中小企業基盤整備機構 2022年 単位:%

そうした中で、多くの中小企業と取引のある地方銀行(地銀)のサポートへの期待が高まっている。日本総研はその具体的な取り組みの方向性として、次の3点を挙げている。

①幅広い企業にアプローチし、DXに関する理解度を向上させること
②長期のDX戦略立案のための情報収集や分析、経営方針の検討などをサポートし、ビジネス変革に向けたDXに導くこと
③多様なDX支援が可能な体制を構築し、各企業が直面する課題に応じたDX支援を提供すること

ただし、現状の地銀のDX支援体制は「不十分であり、支援機能の強化が急務」とし、次の諸点を急務の課題と指摘する。

①DX人材の確保

・外部人材の獲得
 新卒・中途採用を強化するとともに、専門職向け給与体系や多様な勤務形態の導入、都市部での採用、IT企業からの出向者受け入れ、IT企業の買収などによる外部人材獲得。
・内部での人材育成
 研修・資格制度・OJTなどを通じた役職員のリスキリングによる内部人材育成の強化。多様な人材や専門職キャリアパスを浸透させるための社内の意識改革も重要。
・社内の意識改革
 DX人材の確保を円滑に進めるためには、異業種からの転職・出向者や副業人材といった多様な人材・働き方を受け入れたり、専門性を高めるキャリアパスを役職員が希望したりするような社内の意識改革も重要となる。ただし、こうした意識改革は一朝一夕にできるものではないため、変革の必要性を丁寧に説明したうえで、長期的な観点で取り組んでいく必要がある。

②他社連携によるソリューション多様化

・他社連携によるソリューション多様化
 専門企業との連携強化などを通じて、多様なDX支援をワンストップで提供できる仕組みを構築。大手行等が構築・提供するDX支援プラットフォームの導入も一案。
・専門企業・大手行の提供するプラットフォームの活用
 ビジネスの変革に向けたDXのサポートには、これまで以上に深く顧客企業のビジネスを理解することが不可欠。
・顧客理解のさらなる深化
 地銀はこれまでも貸出ビジネスなどを通じて地域の中小企業のビジネスへの理解を深めてきたが、DXの支援に向けては、企業経営者や財務・経理担当者だけでなく、仕入れや製造、営業、販売などの担当者との対話や現場の確認などを通じて、顧客企業のビジネスをこれまで以上に深く理解する必要がある。

・日本総研「期待が高まる地方銀行による中小企業DX支援」レポートダウンロード
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=105184

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