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パートナーとのコラボで多様に広がる 電子契約・契約管理WAN-Signワールド ~活発化するNXワンビシアーカイブズのWAN-Signパートナー戦略

NXワンビシアーカイブズは、電子契約・契約管理システム「WAN-Sign」のパートナー戦略を活発化させている。「電子契約はお客様企業の規模や業種を問わず、必要性が大きく広がっています。当社では幅広いお客様へ提案を行うために、事業分野やソリューションに特色をもつパートナー様と手を組んで活動を推進しています」と、プラットフォーム企画推進室の大川洋史氏(WAN-Sign事業推進グループ長)は説明する。

WAN-Signは、電子署名(当事者型、実印版)と電子サイン(立会人型、認印版)の両方の署名形態に対応し混在型も可能である点や、書面と電子の契約を一元管理できる点、強固なセキュリティ・内部統制への対応などソリューション面で大きな特徴をもつが、それに加えてAPIの公開や有力なサービスとの連携機能などパートナーと協業していくための基盤を備えている(図表1・図表2)

図表1 WAN-SignのAPI・サービス連携

図表2 WAN-SignのSAML連携

本稿では、WAN-Signのパートナー4社の取り組みを紹介する。1社目は、アプリケーション開発ツールとシステム・データ連携ツールを開発・販売するマジックソフトウェア・ジャパン、2社目は西日本最大規模の情報通信システム企業であるNTTビジネスソリューションズ、3社目は九州を中心に全国で事業を展開するSIベンダーのシティアスコム、4社目は流通ソリューションに特化したテスクである(図表3)。

電子契約ソリューションを提供する4社それぞれのアプローチと多様なソリューション/適用先を通して、WAN-Signのソリューションの幅広さと可能性が見えてくるのではないだろうか。

図表3 パートナー4社のWAN-Signビジネスの展開

マジックソフトウェア・ジャパン株式会社

データ連携基盤「Magic xpi Cloud Gateway」の電子契約ソリューションとしてWAN-Signを採用、業務フローをトータルに自動化

マジックソフトウェア・ジャパンは、世界50カ国以上で事業展開するマジックソフトウェア・エンタープライゼスの日本法人で、ローコード対応のアプリケーション開発ツール「Magic xpa」やシステム・データ連携ツール「Magic xpi」を提供するベンダーである。日本法人は設立から24年目を数え、国内800社以上のパートナーと4万5000社以上の企業ユーザーをもつ事業規模へと発展している。

マジックソフトウェアの製品は、ドラッグ&ドロップの要領で簡単かつ高速にアプリケーション開発やシステム/データ連携が行えるのが特徴である。市場では今でこそ「ローコード」や「ノン・プログラミング」という言葉が一般的だが、同社の製品は1990年代に日本市場に登場した当初から、ローコードであり、ノン・プログラミングだった。その結果、企業の新しい業務課題にすばやく対応できるツールとしてのポジションを確立してきたと言って過言ではない。

マジックソフトウェアは現在、電子契約分野の取り組みを充実させている。その経緯について同社の渡辺剛氏(マーケティング部 部長)は、次のように説明する。

「この2~3年、とくに新型コロナの感染拡大以降、お客様から電子契約ソリューションについてのお問い合わせが増えました。IBM iなどの基幹システムや他のクラウドサービスとの連携方法についてのお問い合わせです。これを受けてお客様の状況を調査したところ、まだ未導入の企業が少なくなく、導入していても業務システムと連携させずに単体で運用している企業が多いことを知りました。その分断の状態では、本当の意味での効率化を実現できません。そこで、さまざまな電子契約ソリューションを比較した結果、WAN-Signを採用し、サービス・ソリューションを構築することにしました」

渡辺 剛 氏

マジックソフトウェア・ジャパン株式会社
マーケティング部 部長

同社が満を持して提供を開始した電子契約ソリューションは、NXワンビシアーカイブズのWAN-Signと同社のMagic xpi Cloud Gatewayを組み合わせるものである。Magic xpi Cloud Gatewayは、「クラウドもオンプレミスも、すべてをつなぐデータ連携プラットフォーム」というキャッチフレーズをもつMagic xpiのクラウド版で、あらかじめ用意されている66種類(500機能)のアダプタ・コネクタの中から必要なものを選択し、相手先のデータ項目と線を結ぶだけで(データマッピング機能)、システム連携を実現できる。また、トリガー機能も約20種と豊富で、フォルダやデータキューへの書き込みやDB変更などといったイベントを監視し、設定したアクションを作動させることができる。

「システム連携はAPIを呼び出すところが難しい、という声をお客様からよくお聞きします。Magic xpiでは、標準装備のアダプタ・コネクタとトリガー機能を利用することによって、コーディングなしに連携のセットアップが可能です。IBM iアダプタを標準機能として備えており、IBM iとの親和性が高いのも大きな特徴です」と、渡辺氏は話す。

図表4は、WAN-SignとMagic xpi Cloud Gatewayの組み合わせによる業務フローである。次のようなフローで進む。

業務担当者が基幹業務システムで帳票発行(PDF)、①Magic xpi Cloud Gatewayが発行されたPDFファイルと、帳票属性データ(CSV)を取得。さらに、②API経由で帳票データ(PDF)と属性データをWAN Signに登録し、WAN-Signへと処理が渡される、という流れである。

図表4 WAN-SignとMagic xpi Cloud Gatewayによる業務フロー

図表5は、WAN-Signで取引先が電子署名をして契約が完了した際に発信される「契約完了メール」の受信をトリガーにして、契約書の原本を自動で電子保管するフローである。マジックソフトウェアの電子契約ソリューションでは、契約書原本の保管先としてNTTデータビジネスブレインズの「ClimberCloud」を採用している。

③署名完了メールの受信を監視
④受信したメール文 からWAN-Signの関連情報を取得
⑤WAN-Signから署名済み帳票をダウンロード
⑥電子署名済みの帳票をClimberCloudへ登録
⑦属性情報(CSV) を検索キーとして登録
⑧基幹業務システムの帳票属性を“送付済”に変更

図表5 契約書の原本を自動で電子保管するフロー

今後について渡辺氏は、「当社では2021年8月から電子契約ソリューションを販売していますが、依然として業務システムと電子契約システムを簡単に連携できることをご存じないか、大きなコストがかかると思っておられるお客様が少なくありません。まずは地道に普及活動を続けるのと、複雑な業務フローでもWAN-Signと連携できるというユースケースを増やしていきたいと考えています」と抱負を語る。

NTTビジネスソリューションズ株式会社

オフィス業務全体の電子化を視野に、クラウド型「電子契約ソリューションパッケージ」を開発、WAN-Signを中軸ツールとして選択

NTT西日本グループでは、「ソーシャルICTパイオニア」として、社会を取り巻くさまざまな課題をICTの力によって解決するために、デジタルトランスフォーメーションの推進に資する取り組みを多面的に展開している。その中で、法改正や制度変更に対応した課題解決の要望に応えるべく、サービスの企画・検討を行っている。

「当社では2020年末に、社内文書の電子化と取引先との電子契約などを包括するソリューションの企画・開発プロジェクトがスタートしました。在宅・リモートワークの浸透や施行を目前に控えた改正電子帳簿保存法への対応が背景にありましたが、当社では電子契約ソリューションをそれのみの単体でご提案するのではなく、当初からオフィス業務全体の電子化という視野の下でソリューション開発を進めました」と語るのは、バリューデザイン部の永屋義行氏(コアソリューション部門 マネージドIT担当 課長)である。

永屋 義行 氏

NTTビジネスソリューションズ株式会社
バリューデザイン部
コアソリューション部門
マネージドIT担当 課長

その結果パッケージ化したのが、請求書電子化支援サービス「BConnectionデジタルトレード」(NTTコミュニケーションズ)、電子契約サービス「WAN-Sign」(NXワンビシアーカイブズ)、電子保管サービス「Climber Cloud」(NTTデータビジネスブレインズ)の3製品で構成されるクラウド型の「電子契約ソリューションパッケージ」である。永屋氏は、「電子帳簿保存法に対応したオフィス業務をカバーできる電子化ソリューションです」と、特徴を説明する(図表6)。

図表6 電子契約ソリューションパッケージ

電子契約サービスの選定にあたっては、「複数の製品を俎上に乗せ、ヒアリングと特性分析を重ねました」と、池口貴紀氏(コアソリューション部門マネージドIT担当 主査)は次のように説明する。

「電子化の対象となるオフィス業務は幅広いので、当初から複数製品による構成を念頭におき、相互に親和性が高く、スムーズな連携を実現できる製品を選択しました。そのポイントは標準的なAPIで連携可能という点です。そのうえでWAN-Signについては、電子署名と電子サインの両方に対応するハイブリッド型であること、全国展開しサポート体制が充実していること、紙の書面契約の保管にも対応していることを高く評価し、採用しました」

池口 貴紀 氏

NTTビジネスソリューションズ株式会社
コアソリューション部門
マネージドIT担当 主査

同社では電子契約ソリューションパッケージを2021年4月に販売開始した。すでに100件を超える引き合いや商談があり、導入企業も「着実に増えています」(池口氏)という。

導入効果としてアピールしているのは、コスト削減、業務効率化、コンプライアンス/内部統制、の3点である。そして、WAN-Signのサーバーが国内にあり、東西のデータセンターにデータを保管する点が「予想以上にお客様からご支持をいたただいています」と、池口氏は話す。

「改正電子帳簿保存法では、取引書類の保存場所は日本国内と規定されているものの、電子契約システムのサーバーは国内からアクセスできれば海外でもよいとされています。しかしお客様の多くは、サーバーも国内にあることを安心・安全の面から望まれます。WAN-Signはそうした期待に応え得るソリューションであることを、お客様との会話を通して実感しています」(池口氏)

電子契約ソリューションパッケージの提供開始から1年が経過し、同社では現在、提案の対象を従来の大企業中心から中堅・中小企業へも拡大する取り組みを進めている。

「オフィス業務の電子化ニーズには企業規模の違いはなく、小規模なお客様であっても課題解決に向けたご要望があることを確認しています。中堅・中小のお客様にも、よりきめ細かいサポートや導入効果が見えるご提案をしていくつもりです」と、永屋氏は述べる。

株式会社シティアスコム

「ペーパーレス・ソリューション」の中核ツールとして採用、WAN-Signの全国展開とAPI提供を高く評価

シティアスコムは、旧・福岡シティ銀行のシステム部門が分社・独立してできたシティ情報システムと、SIベンダーのアスコムが1990年に合併して誕生した、「ITサービスのプロフェッショナル集団」と評される企業である。福岡に本社、東京・名古屋・大阪と鹿児島に拠点を構え、ベトナムにオフショアの開発会社(シティアスコムベトナム)ももつ。また2022年10月には福岡シティ銀行の流れを汲む西日本フィナンシャルホールディングスの傘下に入り、事業領域をさらに拡大することも発表している。

同社は、銀行系を一方の母体としていることもあり、金融系や大手・中堅企業の基幹システム開発を幅広く手がけている。その一方、独立系の強みを活かして、自社および他社の多種多様な製品・サービスを組み合わせたソリューション開発も特徴の1つである。

その同社が、新たな事業化テーマとして2020年から取り組んできたのがペーパーレス・ソリューションで、その中核が電子サインである。

電子サイン・ツールの選定にあたっては「有力な8製品を比較・検討しました」と、営業本部 営業戦略部 部長の鷹本佳子氏は話す。

「製品は、九州のお客様に提供可能なもの、法的に効力のあるものの2つを軸に検討し、8製品から3製品に絞り、最終的にWAN-Signを選択しました。決め手になったのは、WAN-Signが紙と電子の2つの保管方式に対応していることとAPIを公開していること、セキュリティに強いことの3点で、当社の事業にうまく融合できると判断しました」(鷹本氏)

鷹本 佳子 氏

株式会社シティアスコム
営業本部 
営業戦略部 部長

鷹本氏が挙げる「九州のお客様に提供可能なもの」とは、「九州のお客様は、ベンダーとも膝を突き合わせた関係を求められるので、九州に事業拠点のあることが、ある意味で必須条件になります」ということ。また「APIを公開している点」については、「当社は電子印鑑・電子契約サービスを単体でご提案するよりは、構築・運用中のシステムと連携させて、業務全体で効率化とペーパーレスを図ることに重きを置いていたため、システム連携をスムーズに実現できるAPIを重視しました」という。

電子印鑑・電子契約サービスの販売開始は2020年8月。手がけたシステムの中には、不動産の賃貸物件管理システムとの連携ソリューションがあり、担当者が顧客向けの賃貸契約書と重要事項説明書を基幹システムへアップすると、WAN-Signが自動で起動して顧客にデータを送信し、顧客が契約書と重要事項説明書に署名すると、WAN-Sign経由で賃貸物件のオーナーを転送する、という仕組みを構築した(図表7)。

図表7 WAN-Signと賃貸物件管理システムとの連携ソリューション

同社は現在、電子印鑑・電子契約サービスの提案先を従来の大企業中心から中堅・中小企業へと拡大している。

「お客様が中堅・中小になったとしても、お困り事をヒアリングして提案するというスタイルは変わりません。ただし、お客様の層と幅が広がると、お困り事の種類や内容も格段に多様になります。そうした時に、電子署名にも電子サインにも対応するハイブリッド型の特徴や紙と電子の両方の契約書への対応など、WAN-Signのもつ広がりのあるソリューション群が大きな力になると見ています」と、鷹本氏は話す。

株式会社テスク

WAN-SignをOEM利用し、ビジネス・グループウェア「商談.net」の「契約書管理機能」として組み込む

テスクは名古屋に本社を置く、流通業に特化したソリューションを提供するSIベンダーである。設立は1974年と古く、この約50年間の歩みの中で小売業向けの「CHAINS Z」、卸・メーカー向けの「GROWBS Ⅲ」を自社開発し、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、ディスカウントストアなど約300社のチェーン企業のシステム構築と運用を支援してきた。

事業は、業種特化に加えて、直販、内製開発、顧客満足度(CS)・従業員満足度(ES)重視、サステナビリティ経営、協業重視が特徴で、流通業界では「名古屋にテスクあり」と、よく知られた存在である。

その同社が、今最も注力しているのが「商談.net」である。

「小売業の商談の現場では、商談回数が多い、価格交渉に時間がかかる、交渉履歴が不透明などの課題が山積し、新型コロナになってさらにそれらが深刻化し、その課題の解決が喫緊のテーマになっています。商談.netは、小売業のバイヤーと卸・メーカー担当者との情報のやり取りを一元的に管理できるグループウェアで、お客様のご要望に応えて機能拡張を続けている、進化するソリューションです」と説明するのは、製品企画プロジェクト支援部の吉澤博之部長である。また吉澤氏は、やり取りの属人化や情報管理の不統一、ベテラン・バイヤーの後継者問題なども挙げ、それらの課題の解決は「もはや、待ったなし」とも付け加える。

吉澤 博之 氏

株式会社テスク
製品企画プロジェクト支援部
部長

商談.netは次のような機能から成る(図表8)。

・コミュニケーション機能:取引先や部門、店舗などグループへの一斉同報や問い合わせ、出欠確認機能など
・文書管理機能:取引先の提案資料、商品画像などの登録・共有機能
・商品提案機能:提案書の依頼・登録・採用の可否
・商談予約機能:商談可能日時の登録と予約
・商談履歴機能:商談内容の登録・通知・管理
・POSデータ共有機能:商品指定、部門/クラス指定、全店・特定店舗指定で実績を照会・出力
・Web-EDI機能:流通BMS、全銀、JCA手順に対応

そして、上記のグループウェアに加えてオプションとして追加されたのが、WAN-Signをベースとする「契約書管理機能」である。このオプションでは、WAN-Signは商談.netに組み込まれているため(OEM提供)、名称は出てこない。ユーザーはWAN-Signと意識せずに、一連の作業フローの中でスムーズに電子契約処理を行える仕組みである。

「当社が商談.netへの電子サイン機能の搭載を検討し始めた頃は、電子サインで大丈夫かという声も少なくなく、電子署名のみの機能でいくべきという意見もありました。ツールの選定にあたっては複数の製品を検討しましたが、電子サインにも電子署名にも対応し、お客様の事情に即した電子契約形態を構成できるWAN-Signを最終的に選択しました。また当社としては自社製品としてリリースしたい考えがあったので、NXワンビシアーカイブズがOEM提供に柔軟に応じてくれたのと、何よりもAPIに関する詳細な資料が揃っていたことが採用の決め手となりました」(吉澤氏)

図表8 商談.netの概要

吉澤氏は商談.netの導入メリットとして、商談フローの標準化と属人性の排除、全体的な大きな効率化とコストダウンを挙げる。

「商談.netを導入されたお客様は、商談の業務フローを標準化していたか、標準的な商談フローへの切り替えに成功した企業です。商談の進め方にはバイヤーの経験やノウハウが詰まっていることが多く尊重すべきものですが、商談のカルチャーを標準へと変えることによるメリットは、小売業と卸・メーカーの双方にとって計り知れなく大きく多面的と認識しています。そうしたことを導入事例やユースケースを交えてご説明し、商談.netを普及させていきたいと考えています」と、吉澤氏は述べる。

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