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PHPQUERY|高レスポンス、低予算、シンプル操作で基幹データの抽出・配布・加工を実現  ~株式会社オムニサイエンス

Query/400との親和性を重視し、RPGやCLとも連携

 

システム担当者に負荷をかけず
見たいときに見たいデータを

「PHPQUERY」は、IBM iで利用できるWeb型のクエリーツールである。

もともとは、オムニサイエンスがPHPをメインの開発言語に据えてIBM i上のWebアプリケーションや業務システムの受託案件を手がけるなかで、データ照会ニーズに対応するツールとして開発した。ユーザーの評価が高かったため、ツール単体としての製品化に踏み切ったのが2015年7月。現在までに、25社以上の企業に導入されている。

本特集で紹介する島津製作所のように、基幹データを連携させた業務システムを開発するツールとして活用する例もあれば、手軽で低価格な照会ツールとして、あるいはQuery/400の後継ツールとして導入するケースなど。企業規模や業種も多岐にわたり、導入ユーザーは多彩である。

一般に売上の推移や対比、あるいはエリア別・得意先別などの売上が見たい場合、エンドユーザーはシステム部門の担当者にデータ出力を依頼する。しかしシステム担当者が多忙で、すぐにデータを入手できないと、参照するタイミングを逸し、「見たいときに見られない」という不満が次第に広がっていく。また多数の部門から依頼を受けるシステム担当者の負荷は増大し、本来の業務に専念できなくなる。

「受託開発の経験を重ねるなかで、エンドユーザーが必要なときに必要なデータを自由に入手でき、かつシステム担当者の負担を軽くするようなツールが必要だと感じていました。基幹データ活用の最初のステップとして、PHPQUERYをご利用いただけるように、ツールとしての提供を開始しました」と、同社の藤井星多代表取締役社長は語る。

PHPを使って独自に高速エンジンを開発しているので非常に軽く、他製品に比べたレスポンスの高さが特徴だ。ちなみに製品名に「PHP」と入っているものの、ユーザー側にPHPのスキルは一切不要である。前述した導入ユーザーにも、まったくPHPを利用していないケースが多々ある。

 

Query/400との親和性を重視
RPGやCLとも連携

PHPQUERYでは、クエリーの作成を(1)ファイルの選択、(2)出力フィールドの選択、(3)選択条件の入力という流れで、またクエリーの実行は(1)抽出条件を入力して実行、(2)結果を表示、(3)ExcelやCSVにダウンロードという流れで実行する(図表1、図表2)。

【図表1】クエリー作成の流れ

【図表2】クエリー実行の流れ

Query/400の操作と親和性の高いことが、同製品の大きな特徴である。Query/400と同様の設定方法でWebブラウザからクエリーを定義したり、保存したり、あるいは過去にQuery/400で定義したクエリーを使用できるので、Query/400の利用経験があれば、誰でも直感的に操作できる。

その一方、Query/400に見られるデータ抽出の煩雑さや不便さを解消すべく、シンプルなユーザーインターフェースを実現している。見たいデータをメニューから選択して実行するだけで、目的のデータをすぐに抽出できる。

単純なレポート表示だけでなく、エンドユーザーが必要なデータだけを効率的に照会したり、自分の見やすいように項目を配置し、保存することも可能。またシステム担当者は、たとえば月間の売上レポートで今月・先月・先々月と条件を変更して検索できるので、似たようなレポートを多数作成する業務から解放される。

クエリーをスケジュールに従って自動実行し、抽出結果のExcel/CSVファイルをメールで同時配信したり、IFSのフォルダに格納する機能などもサポートしている。実行結果から指定した条件に基づき(例:営業部門ごとに必要なデータを抽出)、その部署だけに振り分けてメール配信できる。

さらにCLやRPG、5250コマンドなどIBM iとの連携機能を備えている点も、PHPQUERYならではの大きな特徴であろう。

「たとえばPHPQUERYコマンドをバッチ用のCLプログラムに組み込み、データ更新後の配信に活用できます。5250コマンドによるレポート作成によって、既存のRPGアプリケーションを拡張した新たなデータ活用が実現できると思います」と、サービス開発部の田中昌宏部長は指摘する。

あるいはクエリー実行前後にCLを呼び出すことで、RPGや既存のクエリーのアウトファイルを連結するような複雑なデータ抽出や編集にも対応できる。たとえばCL内で複数のクエリーを連続実行した結果(アウトファイル)を、PHPQUERYの入力ファイルとして活用する。

このほか、SQLの直接記述によるクエリー定義作成、クロス集計/グループ集計、グラフ/ダッシュボード機能、クエリー連携(ドリルダウン)/明細詳細画面など、セキュリティ(ログイン認証、アクセスログ管理、ユーザーごとのダウンロード制限など)や多言語対応など、多彩な機能をサポートする。

また5250画面をWeb化するツールである「aXes」(フェアディンカム)との連携もサポートしている。aXesにPHPQUERY用のコンポーネントを組み込むことで、aXesの画面からPHPQUERYを呼び出し、Db2 for iのデータを照会し、ExcelやCSVで保存できる。

 

月額料金制で
低予算での導入を可能に

PHPQUERYのもう一つ注目すべき点は、その戦略的な価格設定である。

料金は月額制が基本。コースは「FREE」「BASIC」「ADVANCE」「PREMIUM」「ENTERPRISE」の5種類があり、いずれもユーザー数とクエリー数は無制限。

Web画面でクエリーを定義・照会する基本機能だけを利用する「FREE」であれば、料金は無料である。

さらに使用する機能に応じて、「BASIC」(3万円/月)、「ADVANCE」(6万円/月)、「PREMIUM」(8万円/月)が用意されており(いずれも税別)、「ENTERPRISE」は月額制ではなく買い取り型(価格は要相談)となる。

フル機能をサポートする「PREMIUM」の場合でも、何人のユーザーで使おうが年間で96万円と、他のクエリーツールに比べ低予算での導入を実現できる。

ちなみにPHPQUERYはIBM i上で稼働し、PCなどの別サーバーは不要。Webサーバーとしては、「Zend Server for IBM i Version 5.6以降」が必要になる。

同社では今後、Db2 for iだけでなく、OracleやSQL Server、MySQL、あるいはCSVファイルなど、アクセスできるデータソースを拡張していくことをバージョンアップの方針に掲げている。

手元にある基幹データを高レスポンスかつ低予算で、使いたいときに使えるように、PHPQUERYを強化し続けていくようだ。

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藤井 星多氏

代表取締役社長

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田中 昌宏氏

サービス開発部
部長

 

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i Magazine 2017 Autum(8月)掲載

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