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半数以上が「テレワークはデメリットの方が多い」と回答 ~ 企業がテレワークで感じたメリット・デメリットとは(帝国データバンク)

帝国データバンクは、企業がテレワークで感じたメリット・デメリットについてアンケートを実施した。

その結果、31.5%の企業がテレワークを実施し、61.5%が実施していないと回答。実施していると企業のうち、半数以上の52.1%がデメリットのほうが多いと感じていることが明らかとなった(アンケート期間は2022年2月4~8日、有効回答企業数は1837社)。

図表1 企業のテレワーク実施状況と見解(出典:帝国データバンク)

テレワークを実施している企業を規模別に見ると、大企業で46・0%、中小企業で29.1%(そのうち小規模企業で19.8%)となり、大企業では半数近くを占め、全体(31.5%)を大幅に上回っている。

図表2 規模別・従業員数別のテレワーク実施状況と見解(出典:帝国データバンク)

従業員数別に見ると、従業員数が「300 人超」企業のテレワーク実施率が 57.6%でトップ。続いて、「101~300 人」が48.7%、「51~100 人」が34.4%と続き、従業員数が多いほどテレワークが進んでいる傾向が明らかとなった。

ちなみに大企業、中小企業ともに、テレワークを実施している企業では「デメリットの方が多い」と回答した企業が、「メリットの方が多い」と回答した企業をやや上回っている。

ただし従業員数が「300 人超」企業では、テレワークを導入して「メリットの方が多い」と感じる企業は 45.5%、「デメリットの方が多い」は 12.1%となり、テレワークを実施している企業のうち 78.9%がメリットの方が多いと感じている。

業界別に見ると、「製造」が26.0%、「非製造」が33.5%で、製造が非製造を7.5ポイント上回っている。製造は業務の性格上、工場など現場作業が多いため、テレワークの実施割合が低くなると考えられる。

図表3 業界別のテレワーク実施状況と見解(出典:帝国データバンク)

また製造では「メリットの方が多い」が12.5%、「デメリットの方が多い」が13.5%。非製造では、「メリットの方が多い」が16.0%、「デメリットの方が多い」が17.5%と、製造・非製造ともに、メリットよりデメリットの方が多いと感じている。

一方の非製造で、最もテレワーク実施率が高いのは情報サービスで81.0%。これには対面での業務が比較的少ないソフト受託開発やパッケージソフトなどが含まれる。非製造のなかでは、現場作業の多い「建設」や「運輸・倉庫」のテレワーク実施率が低水準にとどまっている。

図表4 注目業種別のテレワーク実施状況と見解(出典:帝国データバンク)

地域別に見ると、東京・神奈川・埼玉・千葉の1 都3県での実施率が47.2%で突出して高い。なかでも東京は56.3%で、半数以上の企業がテレワークを実施している。

図表5 1都3県のテレワーク実施状況と見解(出典:帝国データバンク)

アンケートでは、具体的なメリットやデメリットについて自由回答で集計している。

図表6 主なメリット・デメリット(出典:帝国データバンク)

メリットとして挙げられたのは、「通勤時間や移動時間を有効活用できる」(35.7%)、「新型コロナの感染を防げる」(15.2%)、「ワークライフバランスを実現できる」(13.0%)など。

企業からは、以下のような声が寄せられた。

「安心・安全に仕事を行うことができる。仕事の進捗についても問題はない。通勤時間がないため、気持ちにゆとりができる」(サービス、埼玉県)
「通勤時間の有効活用、ワークライフバランスの向上、雪の日などは交通事故のリスクアセスメントにつながる」(建設、宮城県)
「通勤時間の有効活用。通勤手当の削減。テレワークでの時間集中により業務効率アップ」(運輸・倉庫、福岡県)

一方、デメリットとしては、「社内コミュニケーションが減少する、意思疎通が困難」(26.6%)と、コミュニケーションや意思疎通に関する問題が最も多い。続いて、「できる業務が限られる」(19.3%)、「進捗や成果が把握しにくい」(14.6%)など。

企業からは、以下のような声が寄せられた。

「社内コミュニケーションの減少、生産性が向上しているのか把握できない」(不動産、東京都)
「顧客との関係では、細かな打ち合わせがしにくいし、先方からも直接会っての打合せを希望される」(サービス、千葉県)
「従業員に適切な教育が施せない。プロジェクトチーム内のコミュニケーションに齟齬が起きる。また臨機応変、綿密な顧客対応が行いにくい」(サービス、大阪府)
「仕事の進捗が把握できない・可能な業務に限界がある」(製造、北海道)

全体的にはテレワークを実施しつつも、デメリットの方が多いと感じている企業が半数を超えるとの実態が明らかとなった。社内コミュニケーションの減少による士気の低下やメンタル面への影響はよく指摘されているが、同アンケートでもそうしたデメリットを懸念する声が多くあがっている。

また、テレワークで実施可能な業務が限られている点や、仕事の進捗を把握しにくい点もデメリットとして指摘されている。

新型コロナ後は、出社型と在宅型のハイブリッドワークの進展が予想されており、近年の災害の多発も加え、テレワークを含めたBCPへの対応がいっそう必要になる。

テレワーク実施時の課題を解決するために、インフラ環境やシステムの改善、社内コミュニケーションの活性化やメンタル面の支援などへの取り組みが求められることになりそうだ。

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