各モードの推奨ワークフローと
その他の注意事項
IBM が推奨するワークフローは、以下の通りである。
・Askモードで質問・調査
・Planモードで実装計画
・新しいチャットを開始
・Codeモードで実装
「読む → 考える → 書く」というこのワークフローの順序は、開発者が古いソースコードを解読し、修正箇所をどこにするか考え、実際にコードを修正するという手順と同じである。皆さんも直感的に理解しやすい流れだと思う。
先ほども触れたが、コンテキストのサイズを意識しながら使用することも心がけたい。実際に使い始めるとわかるが、1つのチャット(会話)でさまざまな指示を繰り返すと、コンテキストを圧迫し、AIモデルからの応答が不安定になる。AGENTS.mdで記述した内容が適切に適用される可能性を高めるためにも、ここは気をつけたい。
さらに @ でコンテキストに含めるファイルは、必要なもののみを指定するようにしよう。プログラムコードのファイルと、関連するPF/LFファイル、および表示/印刷装置ファイルのみに限定すれば、出力結果の精度も自ずと向上するはずだ(場合によっては、プログラムコードのみを指定すると、F仕様書に書かれているファイルをAIが特定し、そのファイルがローカルにあれば自動的に読み込む場合もある)。
IBM iで動いているプログラムは、モジュール化されていないモノリシックなプログラムがまだまだ多いと思う。たとえば1万行近くのプログラムなどは、それだけでコンテキストを圧迫することになる。その場合は、コードをエディタで開いてコンテキストに含めたい行のみを選択し、Ctrl+L / Cmd+Lを押せばプロンプトに追加できる。
【実践】RPG Ⅲのソースで
仕様書を作成してみる
では、Bobを使用して実際に仕様書の作成を行ってみよう。今回はコメントがまったくない古いRPG Ⅲのプログラム・ソース(203ステップ)を使用してみる。あえてAGENTS.mdなどは使用せず、どれぐらいコンテキストおよびBobコインが消費されるかも見ていきたい。プロンプトには、「このプログラム・ソースから仕様書を作成してください。」と指定した(図表19、図表20)。


Askモードの場合に生成した仕様書は、図表21の内容を含んだものになった。

処理フローの項目には、Mermaidを使用したフローチャートも生成された。Mermaid は、記法に基づいたテキストからフローチャートなどを生成できるツールで、Bobでも利用可能である。生成された図は png 形式で保存することもできる(図表22)。

Codeモードで同じプロンプトを使用すると、仕様書はPRI04R_仕様書.mdというファイルに保存された。行数は394行。仕様書の内容は、Askモードの場合とほぼ同等であった。ただし、処理フローはMermaidでは作成されなかった(図表23)。

もちろん、.bob/rules-code/CODE.mdを作成し、「Mermaid を利用すること」と記述すれば、AIモデルがMermaid図の作成を優先することになるので、試してみてほしい。
つまずきのパターンと
AIとの正しい向き合い方
では、IBM iユーザーがBobを使用する際につまずくポイントと、それにどう対応すればよいかについて、いくつかパターンを挙げてみようと思う。
パターン①:生成したコードをそのまま使って失敗
Bobが生成したRPGコードを確認せず、そのままIBM iにプッシュし、コンパイルエラーが出て「使えない」という評価になるケースである。
RPG Ⅲの固定フォーマットでは全行エラーになる可能性が高い。「生成されたコードは出発点であり、レビューして修正するのが前提」という認識を持つことが大切だ。
パターン②:AIの成果物の責任を曖昧にしてしまう
「AIが書いたから」は免責にならない。AIはコードや仕様書を生成できるが、その内容が正しいかどうかの責任を負う主体にはなれない。「AIと一緒に書いたものを、自分が責任を持って確認し取捨選択する」という意識が、AI時代の開発者に求められる基本的な姿勢だ。
パターン③:コンテキストに詰め込みすぎる
「ついでにこれも教えて」と1つのチャットに詰め込みすぎると、精度が落ちコインも無駄に消費する。1チャット1タスクの原則は、このパターンを防ぐための重要なルールだ。
Bobを使用する際は、このつまずきパターンを念頭に、以下の点に注意しながら作業を進めてほしい。
・AIが書いた仕様書は、必ず自分で読んで理解すること(積極的に修正および追記すること)
・AIが書いたコードも、説明できるようにすること
・AIの回答は必ず裏を取ること(自信ありげな回答ほど間違っていることがある)
著者|
小川 誠 氏
ティアンドトラスト株式会社
代表取締役社長 CIO CTO
1989年、エス・イー・ラボ入社。その後、1993年にティアンドトラストに入社。システム/38 から IBM i まで、さまざまな開発プロジェクトに参加。またAS/400 、IBM i の機能拡張に伴い、他プラットフォームとの連携機能開発も手掛ける。IBM i 関連の多彩な教育コンテンツの作成や研修、セミナーなども担当。2021年6月から現職。
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Part3 IBM Bobを活用するためのステップ ~事前知識・設定・基本操作
❶IBM Bobを使うために知っておくべきこと
❷使い始める前に知っておくべきこと
❸現場での活用と注意点
❹AI時代における開発プロセスの変化
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[i Magazine 2026 Summer掲載]







