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IBM、ターボノミック買収。コンテナ時代のAIOpsを拡大 ~バグ検知やパフォーマンス劣化を特定、改善のインサイトを提供

TurbonomicsのAPMツール画面

IBMは4月29日(現地時間)、アプリケーション・リソース・マネジメント(ARM)とネットワーク・パフォーマンス・マネジメント(NPM)ソフトウェアを開発・販売するTurbonomic(ターボノミック)を買収する、と発表した。

IBMはこの買収により、ターボノミックのARMソフトウェアをIBM Cloud Pak for Watson AIOpsに統合し、ハイブリッド/マルチクラウド環境にあるアプリケーションのパフォーマンス監視・分析・最適化に活用する計画。「企業はフルスタックのアプリケーションのパフォーマンス監視・管理が可能になり、AIを用いてアプリケーションを構成するコンテナ、仮想マシン、サーバー、ストレージ、ネットワーク、データベースなどのリソースを最適化することにより、コストを最小限に抑えることができる」と、IBMは強調している。

さらに、ターボノミックのNPM製品をエッジコンピューティング分野におけるアプリケーションの最適化にも適用していく計画という。

ターボノミックは2009年設立で、米マサチューセッツ州ボストンに本社を置く株式非公開企業。Fortune 500社の33%を含む3300社以上の顧客をもち、シスコ、IBM、マイクロソフト、AWSなどと戦略的パートナー契約を結ぶ。IBMとは2020年4月に戦略的パートナー、5月にOEM契約(Cloud Paksへの統合)を結んでいる。2019年には自動化ツールのParkMyCloud社とインフラ統合監視・分析ツールのSevOne社を相次いで買収し、AIOps向けのポートフォリオを拡大してきた。2021年2月の年度決算は、売上ベースで対前年比41%増という好決算だった。

ターボノミックのARMソフトウェアは、アプリケーションのパフォーマンスを監視し、問題点があれば通知し、リアルタイムで分析・レポーティングする機能をもつ。たとえば、アプリケーションにごく小さなバグがあり、今後大きな問題に発展する恐れがあるものについて警告を発して修正を促したり、アプリケーションのパフォーマンスが劣化しているような場合、問題を特定し改善のためのインサイトを提供する。

TurbonomixのAPMツールの画面、左側に管理対象のリソース。個々のリソースのパフォーマンス状況が可視化される

マルチクラウドやコンテナ/マイクロサービスの利用が広がるにつれて、アプリケーションのリソース管理の複雑さが増し、いっそう高度になりつつある。そこで各社は、AIを用いてリソース/パフォーマンス管理を自動化・容易化する取り組みを進めている。

今回のIBMによるターボノミック買収もその一環で、2020年7月のWDG Automation(RPAツール)、同11月のInstana(リソース可視化ツール)、2021年4月のmyInvenio(プロセスマイニングツール)の買収に続くものである。これら買収したベンダーのソフトウェアは、IBM Cloud Paks製品に統合してきた。

IBM Automation部門のデニシュ・ニルマル GMは、「ターボノミックが加わったことにより、当社のポートフォリオはさらに大きく前進し、お客様はハイブリッド・クラウド全体、そして企業全体で何が起こっているかを完全に可視化できるようになる。AIによる自動化は必然的なものになった」と語っている。

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