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従業員エンゲージメント市場は2桁成長を維持、矢野経済研究所が調査結果 ~人的資本経営やSDGs、ESG投資への関心の高まりが背景

矢野経済研究所は8月3日、「従業員エンゲージメント市場に関する調査」を発表した。

従業員エンゲージメントとは、会社への帰属意識や「会社に貢献したい」という従業員の自発的意欲を指し、従業員エンゲージメント市場は、その程度・内容を診断・サーベイするサービス市場のこと。

国内の従業員エンゲージメント診断・サーベイクラウド市場は、市場の立ち上がり当初はスタートアップやベンチャー企業での導入が多かったが、近年は人的資本経営やSDGs、ESG投資への関心の高まりを背景に、大企業での採用が増えている。

市場規模は、事業者売上高ベースで2021年が50億円、2022年は前年比132.0%の66億円となり、「2桁の成長ペースを維持している」と、矢野経済研究所は推計している。

*人的資本経営:従業員を「資本」と捉え、人への投資により企業目標の実現を目指すこと

従業員エンゲージメント・サービスの近年のトピックとしては、「個人のパーソナリティや体調等のコンディション面でのタイミングを配慮した機能の設計がトレンド」。その一方、従業員の状態が可視化できると人事担当者やマネージャーの負担が増えるので、それに対する「ケアする機能」のリリースが続いている。「1on1運用支援サービスやマネージャーのコミュニケーション支援サービスなども含め、従業員エンゲージメントを軸とした組織改革では、マネージャーを支援することが重要だという認識が広がってきている」(矢野経済研究所)。

今後については、2023年の市場規模は前年比121.2%の80億円になると推定。上場企業の有価証券報告書において人的資本情報の開示が義務化される来年に向けて、「企業の動きも活発化する」。ただし、従業員エンゲージメント診断・サーベイクラウドサービスとしては「従業員エクスペリエンスプラットフォームやタレントマネジメントシステムとの競合が激しくなっており、伸び率はやや抑えられる」と予測している。

従業員エンゲージメント診断・サーベイクラウド市場規模推移・予測 出典:矢野経済研究所
従業員エンゲージメント診断・サーベイクラウド市場規模推移・予測 出典:矢野経済研究所

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