Home インタビュー-座談会 エンジニアが実践する情報活用 ~幅広くアンテナを張り、情報を多面的にキャッチ 探索により、話題のプロダクトの盛衰も予想|池上 竜之氏@日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング

エンジニアが実践する情報活用 ~幅広くアンテナを張り、情報を多面的にキャッチ 探索により、話題のプロダクトの盛衰も予想|池上 竜之氏@日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング

by kusui

Googleキーワードプランナーで
検索数もチェック

 日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリングの池上竜之氏は、これまで、ITの動向を多面的にウォッチし、気になったことを納得がいくまで追跡し、その深層まで理解するよう心がけてきた。そして、自らの知見やノウハウを積極的に公開し、自分の名前を意識して出すように努めてきた。
 
 その成果の1つが、2013年に上梓した『ネットワーク仮想化』(共著、リックテレコム)である。「当時としては先進技術だったネットワークの仮想化についての発表を目にとめてもらい、執筆のお誘いがありました」と説明する。
 
 最近は、ハイブリッド・クラウドやFinTech/ブロックチェーン、シスコのFog ComputingとWatsonの連携などに興味をもち情報を追っているが、そのアンテナの張り方は非常に幅広い。
 
 たとえば、Twitterでは人や企業を380件もフォロー中で、タイムラインを流れる大量のツイートをウォッチしている。この中には、IT市場をリードする著名なエンジニアに加えて、一般にはほとんど知られていない、ユニークな研究を続ける大学教授や学生なども含まれる。さらに、特定の技術用語が市場でどれだけ検索されているかを「Googleキーワードプランナー」を使って定期的にチェックしたり、IEEEやさまざまな技術グループのメーリングリストの購読や、社外のさまざまな勉強会への参加などがある。そしてこれらから、次のような観点で動向をとらえている。
 
「TwitterやLinkedIn、Facebookなどのソーシャルメディアでは何かトピックが起きるとそのトピックに関する投稿が急激に増え、流量がとたんに速くなります。その動きに着目し、その中から重要と思えるキーワードを拾い、それと別のキーワードを関連づけて意味を考えるようにしています。最近では、SDNとDockerや、IoTとFPGAの組み合わせに注目しました。それに加えて、企業の買収や人の移動、ハードウェアの動向にも関心をもっています。この半年のM&Aでは、マイクロソフトによるLinkedIn、シマンテックによるBlue Coat、インテルによるアルテラ買収が興味深く、人の移動ではシスコの4名の幹部の退社、ハードウェアではOpenPOWERやブロードコムのTomahawk(100Gbpsスイッチ)の動向に注目しました」(池上氏)
 

プロダクトのおおよその
盛衰を予想する

 そして興味を覚えると、一歩進めて調べていくのが池上氏のやり方である。
 
「たとえば、SDN分野ではオープンソースの採用が最近増えていますが、オープンソースであればコードを読み、スポンサードしている企業がどこかを調べることが容易です。私の場合は、GitHubにアクセスしてコードを見に行き、何番のRFCに基づくオープンソースかを確認し、さらにスポンサー企業や推進企業を詳しく調べます。そうした調査だけで、そのプロダクトのおおよその盛衰は予想がつきます。その結果、面白そう、盛り上がりそうだと思えたら、RFCをあらためて詳しく読み、理解するようにしています」
 
 
 
 最近では、Dockerなどのコンテナを対象に仮想ネットワークを実現する「Calico」に注目したが、RFCを確認し、スポンサー企業を調査した結果、「メインストリームにはなりそうにない」と結論づけた。
 
 情報発信については、前述のように積極的で、主に社内の技術コミュニティやIBMユーザー研究会主催のコンファレンスで発表してきた。また、メーリングリストへの投稿や他の投稿に対するコメントも熱心に行っている。
 
「自分の名前を出して発信や発表を行うには、それなりの準備や裏付けが必要で工数もかかりますが、それを超えて余りあるリターンがあると思っています。1つは自分の知見やノウハウが評価を受ける機会となり、もう1つは未知のエンジニアとつながる大きなチャンスになり得ます。技術者としてのキャリアを広げるきっかけにもなる、と考えています」と池上氏は言う。
 

池上 竜之氏

日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング株式会社
セキュリティー&コネクティビティー
シニアITスペシャリスト
 

エンジニア歴:16年

 
[IS magazine No.12(2016年7月)掲載]

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