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事例|コメリグループ 株式会社ビット・エイ ~X-Analysisでプログラムを可視化・解析、開発生産性・効率性の向上を目指す

by kusui
 
COMPANY PROFILE
本社:新潟県新潟市
設立:1990年
資本金: 5000万円
売上高: 87億6400万円(2018年3月期)
従業員数: 232名(2018年3月)
事業内容:情報システム構想の企画・立案、ソフトウェアの企画・開発、 POSシステム開発、情報化コンサルティング、システム運用・保守業務など
https://www.bit.or.jp/

 

親会社であるコメリは、DIY用品や園芸用品を核に、「パワー」(大型店)と「ハード&グリーン」(小型店)の2つの店舗形態で展開するチェーンストア。現在は全国に1193店舗を出店するなど、独自の戦略で急成長を遂げている。ビット・エイは同グループのIT子会社として、グループ全体のIT開発・運用を担うほか、グループ外部に対しても多彩なサービスを提供している。

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19台のPower Systemsに導入し、開発プロセスでの運用をルール化

 

グループ全体のITニーズに
内製主義で挑む

 ビット・エイ(以下、ビットA)はコメリグループのIT子会社として、同グループ全体のシステム開発・運用を担う。コメリを含むグループ各社はシステム部門をもたず、ITの開発・運用業務はすべてビットAに一元化されている。その一方、同社はPOSや物流、オンラインショッピングなどの各システムやWeb-EDIなど、長年にわたり蓄積された流通ノウハウを武器に、グループ外の顧客に向けたサービス提供も拡大させている。

 1992年にコメリのシステム部門が分離独立する形で誕生して以来、ビットAは「自前主義」「内製主義」の精神を掲げ、可能な限り、社内リソースによるシステム構築に取り組んできた。

 現在の社員数は232名、平均年齢は35歳。その大半がシステム開発・運用に携わる技術者である。内製主義を重視するのは、毎日のように頻繁に発生するアプリケーションの改修・保守に迅速に対応するためだ。流通業を取り巻く環境は、変化のスピードが速い。この変化対応力こそが、コメリの驚異的な成長を支えてきた最大の原動力であろう。

「外部に依頼すれば、要件を正確に伝えるのに時間がかかり、開発コストが膨らむ一方、完璧に業務の要件を満たしたシステムが完成するとは限りません。業務を最もよく知る自分たちこそが、最もよくシステムを構築できるはずです。短時間かつ低コストに、業務ニーズを高く反映したシステムを実現するには、自社の開発人員で取り組む内製主義が不可欠と考えてきました。そのため当社は設立以来、自社で開発を担える人材の育成に取り組んでいます」と語るのは、ビットAの小林禎専務取締役である。

 

 

小林 禎氏 専務取締役


Power Systemsで
分散体制を確立

 同グループは1996年に国産メインフレームから移行して以来、基幹システムのほとんどをIBM i上で開発し直し、運用してきた。現在は販売管理、顧客管理、物流管理、会計、人事・給与、カード管理、取引先との受発注オンラインなどの各システムを運用する。

 10カ所の物流センターを管理するPower Systemsが10台、販売管理、カード管理、会計、受発注オンラインの各システムに1台ずつ、さらにバックアップ用を含めると合計19台のPower Systemsが稼働している(図表1)

 

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図表1 システムの概要

合計19台のPower Systems上にX-Analysisを導入
IBM i上で稼働するRPGやCOBOLプログラムを可視化・解析

 

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 昨今は各拠点に導入していたサーバーを1台に統合する、集中・集約化の傾向が強い。しかし同グループの場合は、それとは逆の分散体制を堅持している。

「IBM iは信頼性の高いサーバーですが、それでも障害が発生する可能性は否定できません。1台のサーバーに統合すると、1つのシステムに障害が発生した場合、全システムの停止を招くリスクがあります。たとえバックアップ用マシンを用意し、リアルタイムにデータを同期させても、障害や災害によるシステム停止時間をゼロにはできません。そのため当グループではリスク分散の観点から、Power Systemsの分散体制を維持しています」(小林氏)

 このほかにも、同グループのIT運用には注目すべきユニークな考え方が随所に見られる。

 たとえば1996年にIBM iへ移行した当初は、主にRPGを使って基幹系システムを開発していたが、現在は新規・追加案件を中心に、柱となる開発言語をCOBOLへ移行している。すでにプログラム全体の約7割がCOBOL、3割がRPGという構成で、IBM iの開発を担当する約60名の技術者は最低でもRPGとCOBOL双方のスキルを身に付けるように教育を受ける。

「IBM iは信頼性、機能性、資産継承性の高い優れたサーバーで、今後もずっと使い続けていく方針です。ただ長年にわたり開発・改修を続けてきたシステムはノウハウの集大成であり、そのビジネスロジックを将来に向けて継続させることを考えたとき、IBM iでしか利用できないRPGよりも、多様なサーバーで運用できるCOBOLを選びました。ITベンダーであれば、Javaに代表されるオープン系の最新技術を適用することがビジネスを展開するうえでの武器になるでしょう。しかし当社のようなユーザー系の企業では新しさを追い求めるのではなく、ニーズを迅速に実現し、かつプログラム資産を自社の財産として確実に継承していける手段を選びました」(小林氏)


開発生産性の向上を目的に
X-Analysisを導入

 同社は2019年3月に、RPGやCOBOLなどIBM iのプログラム資産を可視化・解析するツールとして「X-Analysis Advisor」(ジーアールソリューションズ。以下、X-Analysis)を導入した。

 IBM iユーザーがこうしたツールを導入する目的は、ブラックボックス化したシステムの可視化であるケースが多い。長期にわたって改修を重ねた結果、ドキュメント類が残されておらず、システム内容を共有できず、運用が属人化している状況を解決したいというのが、運用歴の長いIBM iユーザーに見られる典型的な導入理由である。

 しかし同社の場合は、これとは違う。頻繁に発生するアプリケーション改修の内容はすべてドキュメントに記録されており、システム構造は明確で、定期的にプログラムの棚卸しを実施している。同社の狙いは、これらの作業に要する工数を削減し、開発生産性や効率性を高めることにあった。

「基本的にプログラムの解析は最初からツールに頼るのではなく、開発者が手作業で実施して経験を重ねることがスキルの蓄積になると考えてきました。たとえば追加開発の際に、修正の影響範囲を調べるという作業一つをとっても、それなりの経験が必要になります。しかしまだ経験や実力が不足する若い開発者の場合、調査に漏れやミスが生じて、それが開発の手戻りやプログラム品質の劣化につながります。最近は開発案件が急速に増えており、開発生産性や効率性の向上が求められるため、ツールの導入により解決を図ることが急務と考えました」(小林氏)

 X-Analysisの導入を決める前の2018年9月から試験運用期間として、可視化・解析に向け、X-Analysisとは別の2製品を導入。約半年の間、利用していた。

「実際にどの程度、自社の開発業務に適用できるのか。内部統制を含む当社のニーズにどこまで活用できるかを見極めることが目的でした」と語るのは、ソリューションシステム部 システムインテグレーションサービスグループの占部妙子課長代理である。 

 

占部 妙子氏 ソリューションシステム部 システムインテグレーション サービスグループ 課長代理

 

 X-Analysisについては当初から、その機能性の高さに注目していたものの、最初に提案を受けたライセンス価格が想定よりも高額であったため、導入を見合わせていたという。

「しかし国内総代理店であるジーアールソリューションズと直接コンタクトしたところ、聞いていたよりもずっと低額に導入できることが判明し、すぐに採用を決定しました」(小林氏)

 同社は2019年3月に、19台のPower Systemsに搭載する19ライセンスの導入を決めた。1社のX-Analysis導入案件としては、国内最大規模になる。


X-Analysisの高度な機能で
プログラムを可視化・解析

 同社では60名のIBM i開発者全員がX-Analysisを活用している。IBM iでの開発では、X-Analysisによる影響範囲の調査から開始して、プロセスごとに必ずX-Analysisを活用するようにルール化した(図表2)

 

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図表2 開発プロセスでの利用フロー(要件定義)

 

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「以前に導入していた2製品と比較しても、X-Analysisは機能性が高いと、開発者には好評です。たとえばデータフローダイアグラムという機能を使うと、使用されているプログラムやオブジェクトがグラフィカルに表示されるので、システムの全体構造を一目で把握できます」と語る占部氏は、ほかにもX-Analysis利用のメリットを次のように指摘する。

「フィールド検索では、X-Analysisだけが実装する機能として、変数検索が可能です。これにより、1つのフィールドに対して変数を変更した場合も、関係先のフィールドをすべて可視化できます。また受発注系システムなどでは、プログラム構造が複雑化しているのですが、階層ストラクチャーチャートと呼ばれる機能により、構造全体を可視化できるので、初めて開発を担当する若手技術者に好評です」

 このほかソーススキャンでは、プログラムの検索からソースメンバーを参照する。IBM iのOSの機能を利用しても可能だが、その場合は該当プログラムしか判明しないので、プログラムの内容を1つ1つ確認する必要がある。これに対してX-Analysisであれば、関連するステップをすべて表示するので、対応箇所が一目瞭然となる。平成から令和への改元に伴うプログラム改修では、「平成」と検索するだけで、該当ステップをすべて出力できたので、改修に伴う工数を削減できたという。

 さらにX-Analysisではソースだけではなく、オブジェクトも分析可能なので、古いプログラムでソースコードが存在しない場合も、確実に影響範囲を調査できるメリットがある。

 2019年度は改元や消費税の改定に伴うアプリケーションの改修をはじめ、人事・給与システムのリプレース、連結決済における電子帳票化、販売系・物流系サーバーの更新、ECサイトの全面リニューアルに伴う調査など、開発・改修案件が目白押しで、X-Analysisを利用する場面も多かったようだ。2020年度にはさらに、クレジット管理システムのリニューアルなど大きなプロジェクトが待ち受けている。X-Analysisの登場シーンは、さらに増えることになるだろう。

[i Magazine 2019 Winter掲載]

 

 

 

 

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