大内美樹 委員長に聞く「JGSの意義と課題」

JGS論文活動は多数のハードルと
アドバイザーや部会によるサポートが特色

 

大内 美樹氏

日本GUIDE/SHARE委員会
委員長

東京海上日動システムズ株式会社
エグゼクティブオフィサー
内部監査部長

 

研鑽と交流の両方を
一緒に経験できる論文活動

IS magazine(以下、IS) 所属会社では内部監査部長とのことですが、どのようなお仕事ですか。

大内 一言で言うと、コーポレート・ガバナンスがきちんと機能しているかをチェックする仕事で、機能していない部分があれば、会社全体を見てリスクがどこにあるかを評価し、経営層に対してアドバイスを行う役割です。内部監査自体は、以前は会社の規則が遵守されているかの点検がメインの仕事でしたが、ここ数年の間に、経営層の考えや方針が社員に正しく伝わり、そのうえで事業が進められているかを管理する、経営そのものを監査する役割に変わってきました。

IS 具体的には、どのような活動をしているのですか。

大内 経営層と現場の人たちにそれぞれヒアリングを行い、なおかつ現場を見て歩き、経営と現場がうまくつながっているかをチェックしています。

IS 内部監査の目下のテーマは何でしょうか。

大内 私の所属企業はIT企業で、ITの世界は人材しかありませんから、その育成が最大のテーマです。それを人事部の視点ではなく、会社の方向性や発展に貢献できる人材という観点で捉え、その育成のあり方を模索しています。

IS JGSには1年前に参加されたとのことですが、会社ではユーザー研究会に関わる仕事のご経験もあるのですね。

大内 2年半ほど若手育成の仕事を担当したことがあって、そのときに、富士通社や日立社など会社が関係するメーカー/ベンダーのユーザー研究会にすべて加入し、若手を送り出す仕事をしました。

IS JGSの第一印象はどうでしたか。

大内 活動の柱がチームで技術論文を執筆することと聞いていたので、技術系の専門家集団というイメージをもっていました。しかし、委員の方々やチームのメンバーに会ってみると、技術一辺倒という感じはまったくなく、むしろ他人と交流したりコミュニケーションに長けている人が多いという印象でしたね。

IS JGS委員長に就任(今年2月)されてから現在まで、どのような活動をしてきたのですか。

大内 私自身がJGSとU研について詳しいことを知らなかったので、まずJGSという組織がどうなっているのか、U研全体における活動の位置づけや、ほかのU研活動との関係を理解することから始めました。そしてそれを知るにつけて、活動の意義の大きさと、いろいろな問題を感じてきているところです。

IS どのような点にJGSの意義を感じていますか。

大内 ユーザー研究会の活動は多くのメーカー/ベンダーで行われていますが、そのなかでJGSは、いろいろな会社の人が集まりチームを組んで論文を書くという活動をずっと続けてきています。論文を書くだけなら他の研究会でもやっていますし、交流だけならほかにもあります。JGSの論文活動は、その両方を一緒にできるのが大きな特徴です。つまり、さまざまな経験をもつ人が集まって交流しながら1つのテーマを研究し、約1年の活動の終わりにアウトプットとして論文を書く。そのうえ論文だけでは終わらずに、カンファレンスでのプレゼンテーションも付いている。JGSはそのたくさんのハードルが特色で、それがあるからこそ、技術的なレベルも含めてステータスを保てているのだと感じています。

 

論文のサポートと
ファシリテーションの継続のために

IS 今のJGSの課題は何ですか。

大内 論文のサポートをどうするかです。現在はIBMから各チームに1名ずつアドバイザーを派遣していただいていますが、その役割がとても大きいのです。研究活動を前へ進めるには、それなりの技術知識とスキルをもっていて、ユーザーの事例にもある程度通じている人でないと、どこから研究テーマに切り込むべきか、わかりません。それくらいアドバイザーの存在は重要で、その役割をIBMのアドバイザーが担ってくれているのです。メーカーが、ユーザーの論文活動に技術者を派遣してくれるところなど、JGSのほかにどこもありません。

しかしIBMの負担も相当なものですから、そこをどうカバーしていくかが課題です。また、IBMの負担が大変ななかには、研究プロジェクトのテーマがIBMに特化したものではなくなっているという事情もあります。

IS z SystemsなどIBM固有の製品・技術に発する研究テーマは、めっきり少なくなりましたね。

大内 IBMがカバーしていない製品・技術を研究プロジェクトのなかで扱うとなると、アドバイザーの方の負担も小さくありません。そこで、JGS委員会のサポートを拡大する方向で検討しています。それと、アドバイザーへのヒアリングでわかったのは、技術的なアドバイスに加えて、チームのファシリテーター役も担ってくれていることでした。本来、チームのファシリテーションはチームリーダーの役割ですが、若いリーダーには荷が重いこともあります。論文のサポートをどうするかと同時に、ファシリテーションを誰がやるかも課題になっています。

IS 解決の糸口は見えていますか。

大内 サポートする委員の増員も1つですが、論文を書き上げるまでのto doやスケジュールをまとめたテンプレートを用意しようと、今その準備を進めています。

IS 研究プロジェクトへの今年の応募状況はいかがですか。

大内 78の研究テーマに対して64社から283名の応募があり、現在38チームになっています。1つのテーマに20名以上も参加するチームもあり、これを分けると、チーム数は最終的に若干増えると思います。

IS 研究テーマは、委員と5つの部会の部会長で決めているのですね。

大内 そうです。それぞれの考えや思いを込めてテーマを出し合い、熱い議論の末に決めています。そして各部会の論文はすべて、部会長と部会委員が査読しますが、そうした地道な活動が、論文をあるレベル以上にしている原動力だと思っています。

IS 部会長と部会の人たちも大変ですね。

大内 論文活動をさらに価値のあるものにするには、論文活動を中軸で支える各部会と常任委員会との密接な連携が必要と考えて、今年度から部会長さんにも積極的に常任委員会へ加わってもらおうと思っています。また、部会の負担を均等に近づけるために、新年度から部会を1つ誕生させる予定です。

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