<Column 9> コンテナテクノロジーを導入しても、イノベーションは起きない

 DXやUXではコンテナやマイクロサービス、クラウドネイティブ化ではKubernetesやマイクロサービス化手法を必ず検討するだろう。しかしこれらのテクノロジー導入だけではDXやUXの成功、すなわち企業イノベーションは絶対に起きない。なぜならDX、UXの本質は「イノベーションを起こし続ける企業文化への変革」だからである。
 
 従来ありがちな情報システム部の在り様として、ユーザーからのシステム化要求をサーベイして工数や費用を算定し、計画を立てて開発に着手するというスタイルでは、到底イノベーションは起こらない。
 
 現在生き残っているテクノロジーはすべてDX、UXに適合できるが、「人材」だけは違う。人間の思考・行動様式が一番のレガシー要因である。Kubernetesなどコンテナ技術を導入するだけでは、複雑化したテクノロジーのお守りだけに終始し、むしろIT水準は低下するだろう。
 
 高い理想を掲げてイノベーションを実現するのはごく一部であって、一般企業ではいかにDX、UXを実現可能な企業風土、組織運営、個々人の行動様式へと変革できるかが成否を分ける。
 
 筆者が知っているUXやDXの成功事例では、テクノロジー的な変革と並行してシステム部の行動様式変革も行っている。変革への道筋や方法論は多数あるが、最もベーシックな方法として推奨できるのが、「デザインシンキングを起点としたUX、DXリーンスタート」である。
 
 IBMでは「エンタープライズ・デザインシンキング(EDT)」と称し、企業向けITイノベーションに特化したコンサルティングサービスを提供している。EDTではUX、DXのゴール策定から実業務リーンスタートまでをIBM Garage(IBMガレージ)チームが協業して、「変革し続けるための文化」「人材育成」を根付かせる。
 
 この一連の作業を通じて、レガシーな情報システム室的開発スタイルからモダンなDevOps・アジャイルへと、企業文化を変革するコアを作り上げることができる。
 
 
 
 
 

著者|

佐々木 幹雄

 
日本アイ・ビー・エム株式会社
システム事業本部 Power Systemsテクニカル・サポート
コンサルタントITスペシャリスト
 
AS/400誕生とほぼ同時期からIT業界に関わる。IBM i やPC、ネットワーク機器など一般企業のIT基盤の提案・構築、アーキテクトなどを幅広く経験。IBM i エバンジェリストとしての活動もある。
 

 

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特集|IBM iのマイクロサービス化

 
 
 
 
 
 
 
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Column 1 OpenShiftかKubernetesか
Column 2 どこでもKubernetes
Column 3 ミドルウェアのコンテナ化対応
Column 4 SCNは戦略策定のためのフレームワーク
Column 5 ハイブリッドクラウド移行(中期)計画を作る
Column 6 アジャイルはSoEだけのものか?
Column 7 IBM iサービスとDb2 for iサービス
Column 8 IBM iのクラウドサービス
Column 9 コンテナテクノロジーを導入しても、イノベーションは起きない

[i Magazine 2020 Spring掲載]