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事例|オタフクホールディングス  基幹系と情報系の双方を「IBM Cloud」へ 

オタフクホールディングス 株式会社

基幹系と情報系の双方を
「IBM Cloud」のクラウド環境へ移行

 

Notes/Dominoを中心に
情報系を「IBM Cloud」へ

お多福グループのIT運用を担うのは、オタフクホールディングスの経営企画部IT企画課である。所属する12名のスタッフは、今年のゴールデンウィークを休日返上で過ごす。この期間に、ERPをベースとする基幹系システムのクラウド移行作業が予定されているからだ。

2016年に情報系システムをクラウド移行したのに続き、今回基幹系システムを移行することで、同グループのIT環境はほぼ全面的なクラウド化を果たす。

同社では以前からクラウドサービスの利用を模索していたが、構想が具体化したきっかけは、「IBM Notes/Domino」が稼働するハードウェアの保守終了であった。サーバーの更新を控え、今後もグループウェアや社内ポータルの運用をNotes/Dominoで続けるのか、それとも他のグループウェアにリプレースするのか。使い続けるとすれば、従来どおりオンプレミスのサーバーで運用するのか、あるいはクラウドへ移行するのか。クラウドであるとすれば、SaaS型かIaaS型か。グループウェアを主軸に据えた情報系システムの今後について、具体的な検討がスタートしたのである。

「その結果、Notes/Dominoは当グループの業務に深く浸透しているので、コストやリスクの大きさから見て、リプレースは適切ではないとの判断に至りました。そこで次にNotes/Dominoを運用する環境として、オンプレミスとクラウドのどちらを選択すべきか、検討を続けることになりました」と語るのは、経営企画部部長の岡本侯子執行役員である。

 

岡本侯子氏 執行役員 経営企画部部長

 

「オンプレミスでは日常的なメンテナンスや運用管理はもちろん、定期的にインフラの更新作業が発生します。実際の移行作業に加え、更新に必要な予算獲得に向けて経営側の理解を得るため、必要性や付加価値を訴求することに多くの労力を割いていました。クラウドであれば、インフラ更新時に必要な予算を月々のランニングコストとして確保でき、常に最新テクノロジーの利用が可能で、かつ日常的な運用管理業務も軽減できます。それにより、人員をより上流の業務へシフトできると考えました」(岡本氏)

さらにNotes/Dominoでは基幹系とのインターフェースを作り込んでいたこともあり、SaaS型ではなくIaaS型のほうが望ましいと判断。IBM、マイクロソフト、Amazonなどのクラウドを比較検討した結果、企業向けサービスの充実度や信頼性の高さ、ベアメタル環境が利用できる点などを評価して、「IBM Cloud」(当時のSoftLayer)の採用を決定した。

そして「IBM Cloud」でNotes/Domi noを利用するなら、ほかの情報系サーバーも同時に変更しようと、社内ポータル、社内Webや人事・勤怠管理、さらに基幹システムの一部である品質管理や生産計画などのシステムが稼働する20数台のWindowsサーバーを2016年3月、「IBM Cloud」へ移行したのである。

 

基幹系のSAPを同様に
クラウド環境へ移行する

同社ではシステム/36の時代から長く、IBM i上で基幹システムを運用していたが、2004年にWindowsサーバーで稼働するSAPのERPソリューションにより再構築を果たした。現在運用中の「SAP ECC 6.0」を搭載するハードウェアが2018年7月に保守終了を迎えるため、情報系のクラウド移行が完了した直後から、今度は基幹系システムのクラウド移行に向けた検討がスタートした。

「情報系でNotes/Domino継続の可否を議論したのと同様に、基幹系では次バージョンである『SAP HANA』へアップグレードする必要があるかどうかが中心的なテーマでした。SAP ECC 6.0は当面、サポートを受けることが可能でしたが、アップグレードのタイミングを計るべく、クラウドでの運用性に加え、新しくサポートされるモジュール機能の当社業務に対する適応性、必要なコストなどを詳しく調査しました」と、経営企画部IT企画課の高野秀弘課長は語る。

高野 秀弘氏 経営企画部 IT企画課 課長

 

 

議論を重ねた結果、検討時点で新バージョン導入によるビジネスメリットを見出すには時期尚早と判断し、「SAP HANA」へのアップグレードはいったん見送ることになった。ただし情報系のクラウド移行に際して、インフラ業務や運用管理業務の削減、サーバー負荷に応じてスペックを増減できる柔軟性・拡張性などのメリットを十分に確認していたこともあり、クラウド化については前向きに検討を進めた。そして現行の基幹系システムをそのまま、IaaS型のクラウド環境へ移行することにしたのである。

再度、各社のクラウドサービスを比較検討した結果、情報系と同じく、「IBM Cloud」のベアメタル環境を採用した。

 

【図表】システムの概要

「情報系のクラウド移行時に、LANではなく外部ネットワークで拠点間を連携するため、通信速度のチューニングなど、今までにない作業を経験しました。IBM Cloudであれば使い勝手を理解しているのに加え、そうしたネットワーク調整もクリアできていると考えました」 と、岩井基氏(経営企画部IT企画課 シニアスタッフ)は指摘する。

岩井 基氏 経営企画部 IT企画課 シニアスタッフ

 

 

2018年5月にクラウドへ移行するのは、「SAP ECC 6.0」と、独自に開発した周辺システム、ジョブ連携プログラムなどが稼働する約10台のWindowsサーバーである。これに対し管理やコスト面を考え、Active Directoryやファイル管理、セキュリティ関連を運用する10台弱のサーバーについては当面、オンプレミスでの運用を続ける予定である。

SAPは今回はグレードアップしないものの、移行に関するパッチレベルの変更を多く加え、周辺システムはバージョンアップを実施する。基幹系システムの障害は業務に大きな影響を与えるので、IT企画課では回線の導通テストなど、入念に移行準備を進めて本番に備えている。

同グループはゴールデンウィークが終わるとともにクラウドへの移行を果たし、新たなテクノロジーやビジネス要件に柔軟に対応できるIT基盤構築へ、大きく前進することになるだろう。

 

Company Profile

本 社:広島県広島市
創業:1922年
創立:1952年
資本金:1億円
売上高:237億円 (2017年9月期、グループ連結)
従業員数:597名 (2017年10月、グループ連結)
事業内容:ソース、酢、たれ、その他調味の開発・製造・販売
https://www.otafuku.co.jp/

オタフクホールディングスは、創業以来の使命である「健康」を軸に、「お好みソース」を主力としたソース、酢やたれ、各種調味料を提供するオタフクソースなど国内外8社を擁してお多福グループを形成。米国、中国、マレーシアで生産工場を稼働させ、海外での店舗展開支援やメニュー提案にも力を入れている。最近では野菜と健康をテーマにした直営店舗「Vege Love it!(ベジラビット)」や「Wood Egg お好み焼館」など、広島を代表する食文化・お好み焼を国内外に広く普及すべく、多彩な活動に取り組んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

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