IBM i 開発ツールエンジニアの雑記帳|3つのツールの使い分けのポイント(尾崎 浩司)

 

 皆さま、こんにちは。 株式会社ミガロ.で製品技術サポートを担当している尾崎です。今回より本コラムの連載を担当させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 この連載では、「100% IBM i Company」として活動する当社が取り扱うIBM i向け開発ツールに関する最新情報や技術トピックスなどをわかりやすく解説していきます。
 
 当社では20年以上にわたり、IBM i(AS/400)のアプリケーション最新化・最適化を行う開発ツールを提供しています。もともとは、GUI化ツールである「Delphi/400」を中心に取り扱ってきましたが、現在は製品ラインナップが充実し、次の3つの開発ツールを取り扱っています。
 
Valence
SP4i(SmartPad4i)
Delphi/400

 今回はそれぞれのツールの概要・特徴をご紹介するとともに、IBM iをお使いの皆さまが、今後システム刷新を検討される際のポイントをお話ししたいと思います。

ミガロ.の取り扱いツールの概要

 Valenceは、IBM iをWeb環境で活用できるモダナイゼーション運用・開発ツールです。単なるWebアプリ開発ツールではなく、ブラウザ上でIBM iの運用管理も可能なオールインワンパッケージ製品になっています。
 
 Webアプリをウィザードだけで簡単に作成できるローコード開発ツール「Valence App Builder」を軸に、Valenceアプリの使用・管理のために用意されたポータル機能「Valence Portal」や、各種IBM iの運用管理に役立つ「Valence ユーティリティ」を搭載しており、導入すれば即、Web環境でIBM iを活用できるのが特徴です(図表1)。

 SP4iは、RPGやCOBOLを使ってWebアプリが作成できる開発ツールです。従来の5250アプリ開発では、ディスプレイファイル(DSPF)により画面レイアウトを作成しますが、SP4iではHTMLを使用して画面レイアウトを作成します。
 
 作成したHTML上のフィールドが、SP4iの設定によりIBM iのフィールドとして関連付けされます。そして開発者は慣れ親しんだRPG/COBOLの開発スキルをそのまま活かして業務ロジックを作成するだけで、Webアプリの作成が可能です(図表2)。

 
 JavaやPHPといった一般的なWeb開発言語スキルは一切不要で、IBM iアプリ開発スキルだけで本格的なWebアプリを開発できるのが特徴です。

 Delphi/400は、IBM iに対応したデスクトップ/モバイルアプリ開発ツールです。Webアプリだけでなく、PC、スマートフォン、タブレットといったマルチデバイスに対応したネイティブアプリ開発が行えます。
 
 オープン系アプリ開発ツールとして有名なエンバカデロ・テクノロジーズ社(旧ボーランド社)が提供する「Delphi」をベースに、標準のDelphiでは対応していないIBM iへの接続をサポートする専用のミドルウェアを付加したセット商品です。
 
 Delphiが備える効率的な開発機能はそのままに、堅牢なDB2 for iへ高速アクセス可能な専用ミドルウェアを追加することで、IBM iに対応した本格的なWeb、デスクトップ、モバイルアプリを開発できるのが特徴です(図表3)。

 なお当社では、各ツールを紹介する「無料オンラインセミナー」を定期的に開催しています。このセミナーは、社内や自宅のPCからオンラインで参加でき、それぞれのツールの概要紹介やデモンストレーションを通して、内容を確認できるので、ぜひお気軽にお申し込みください。

IBM iユーザーが選択すべきシステム刷新の方法 

 IBM i ユーザーの多くは、社内の基幹システムをRPGやCOBOLなどで構築した5250アプリとして使用しています。一般的にIBM iのシステム管理者や開発者は、RPG/COBOL環境の資産継承性や、IBM iの堅牢で安定的な稼働環境など、IBM i のメリットを評価しています。
 
 ただシステム利用者や経営層は、CUIベースである5250アプリの情報量の制約や、外部システムとの連携の難しさなど、デメリットを認識していることも多く、IBM iの評価にギャップがあるのは事実です(図表4)。

 このようなギャップをきっかけに、基幹システムの刷新を検討することになった場合、アプローチとして、次のような選択肢があるのではないでしょうか。
 
1 オープン系システムへのスクラッチ開発
2 ERPパッケージ等への移行
3 IBM i を活用した課題の改善

 IBM i のデメリットを強調する利用者は、「脱IBM i」 を謳い、1のオープン化や、2のパッケージ移行を主張する傾向があるように思います。確かに今どきのオープンシステムやERPパッケージは、現代的なリッチな画面で、操作性もよく、分析しやすいグラフ化が実現できるため、魅力的に感じると思います。ただし、これらのアプローチには問題が多いのも事実です。
 
 まず、システム刷新に莫大なコストがかかります。オープン化に伴うスクラッチ開発の場合、従来のRPG/COBOLプログラム資産が継承できなくなるので、要件に合わせて一からすべてプログラムを再構築しなければなりません。
 
 ERPパッケージへ移行する場合も多くの場合、自社の業務に合わせたカスタマイズが必要となり、コストが大きくかかるのが現状です。近年はクラウドベースのERPパッケージもあり、これらは初期コストを抑えられますが、自社業務に合わせたカスタマイズが難しく、業務適合性に課題があることが多いでしょう。
 
 またこれらの手法で刷新する場合、従来システムとは完全に別物になってしまうので、新システム構築期間中は、そのまま現行システムを使い続けるしかありませんし、いったんシステム移行を開始すると後戻りはできません。これらのアプローチは、成功すれば効果は大きいですが、リスクも大きいアプローチと言わざるを得ません。
 
 それに対して、3のIBM i を活用した課題の改善はどうでしょう。このアプローチにこそ、当社が提供する開発ツールは最適です。なぜなら当社開発ツールは、現行システムをそのまま運用しながら、使い勝手を向上させたい部分から徐々に改善していけるからです。
 
 当社が提供する3つの開発ツールは、いずれも既存の基幹システムやIBM iのデータ資産をそのまま活用しながら、利用者のニーズや優先度に合わせ、徐々にアプリケーションの最新化、最適化が行えます(図表5)。


 システムを刷新するといっても、IBM i上で長年蓄積されたデータ資産やプログラム資産をすべて捨てる必要はありません。逆にこれらを最大限生かすことがシステム刷新の最短ルートだと思います。

 図表6にシステム刷新アプローチを対比したので、確認してみてください。

 今回は当社が提供する3つの開発ツールの概要と、IBM iのシステム刷新に関するアプローチについてお話しました。IBM i をお使いの皆さまは、今後もIBM i を活用するのが最もよい選択肢だと確信しております。また当社は、そういったIBM i の継続活用を考える皆さまに最適なソリューションを今後も継続提供してまいります。
 
 次回は、当社が提供する3つの開発ツールについて、それぞれどういった基準で選定すればよいかをポイントにお話したいと思いますので、どうぞご期待ください。