20チームの頂点は、ランドセルをIoT化した 「ランドセルで見守り隊」

2017U研ハッカソInnovate for The Future決勝戦

 

「2017年 U研ハッカソン“Innovate for The Future”」の決勝戦が12月7日、東京・箱崎の日本IBM本社で開催された。一昨年(2016年)に続き2回目となる今回は、全国の地区研から20チーム・94名が参加し、1次審査を勝ち抜いた8チームが、開発したアプリケーションの革新性や有用性、デザイン性、プレゼンテーション力を競い合った。

今年のテーマは、「ワークスタイル変革」と「地方創生」(いずれか1つを選択)。決勝戦に登場したのは、審査員の意表をつくアイデア・構想・展開をもつ作品ばかりで、「どの作品もレベルが非常に高かった。審査にとても苦労した」(審査員)という決勝戦となった。

最優秀賞を受賞したのは、フジミックよろずチーム(関東研)の「ランドセルで見守り隊」。ほかに、中国研のこざくらすいっちチーム「ルールを守って・楽しく・簡単・ゴミ出し。Pa!trashと捨てよう!」が全国研会長賞、関東研の新アプリケーション開発チームの「Watson echo」がWatson事業部長賞を受賞した(図表)。

U研ハッカソンは、7月の公募からスタートし、8月に「Bluemix/Watson勉強会」、9月にアイデアソンを開催し、その後チームごとにハッカソンを行い、提出された作品をもとに1次審査を行って(11月)、12月の決勝戦となる。

本稿では、前述の3つの受賞作品を紹介する。なお、決勝戦の審査員は、全国IBMユーザー研究会の中島輝 会長(コマツ 情報戦略本部システム統括部部長)や日本IBMの吉崎敏文 執行役員(IBM Watson Group ワトソン事業部長)など6氏が務めた。

 

通学・通塾中や留守番中の
子どもをリアルタイムに見守る

最優秀賞のフジミックよろずチームの「ランドセルで見守り隊」は、少子高齢化や地方からの若年層の流出、地域のつながりの希薄化という現状に着目し、若年ファミリー層の流入促進、地域活性化、子育て世代の支援をテーマとした「地方創生」のソリューションである。

作品のコンセプトは「安心して子育てができる環境を、Bluemix×IoTによって提供します!」というもの。ランドセルの中敷きにIoTセンサー、そのポケットにディスプレイ、側部にマイク&スピーカーを装備し、GPSやWi-Fi、Cloudant(クラウドのNoSQLサービス)、Watson Visual Recognitionなどの技術を使って、子どもの通学・通塾の状況をリアルタイムに親のスマートフォンやPCに通知できるようにした。

また、WatsonのSpeech to TextやConversation、Tone Analyzerなどを用いて、留守番中の子どもを見守るシステムも創案した。子どもがランドセルのディスプレイに向かって「ただいま」と声をかけると、その声の様子から感情の状態を判定したり、ディスプレイとの間で会話が行える。

フジミックよろずチームの井上莉那氏(写真)は「留守番中の子どもの様子をリアルタイムに確認でき、見守りが可能な仕組みです」と紹介。審査員の小池裕幸氏(日本IBM 執行役員)は講評で、「地域において子育てしたいという人を応援する完成度の高いシステム。社会貢献にもつながる」と高く評価していた。

 

◎井上莉那氏

ゴミの分別ルールは
チャットボットに尋ねよう

全国研会長賞を受賞したこざくらすいっちチームの「ルールを守って・楽しく・簡単・ゴミ出し。Pa!trashと捨てよう!」は、ゴミの分別ルールや回収日をLINEのチャットボット機能で確認できるようにしたアプリケーションである。

ゴミは、自治体にとっては大きなコスト負担の要因であり、住民にとっては近隣トラブルの原因ともなる。そこで、ゴミの正しい捨て方を手軽にガイドすることにより自治体の負荷低減や近隣トラブルの回避、子どもを含む家族全員によるゴミ捨ての促進を狙ったのが、このアプリケーションである。

採用した技術は、スマートフォンのカメラ/音声入力機能や、LINEのMessaging API、Node-RED、WatsonのConversation/Natural Language Classifier/VisualRecognition、Google Mapなど。ペットボトルの写真を撮り、「ゴミの捨て方を教えて」などと音声で入力すると、「ペットボトルは資源ゴミ。キャップとラベルはプラゴミ」などと回答が得られる仕組みである。

プレゼンを行った浜村将人氏(写真)は、「今後の構想として、AIスピーカーとの連携による利便性の向上や、フリマ・アプリとの連携によるリユースの促進、外国人労働者や観光客向けの多国語対応、災害時対応を挙げられます」と語っていた。

◎浜村将人氏

 

気分・性格で就業時間や
タスクを設定する「Watson echo」

Watson事業部長賞の「Watson echo」(新アプリケーション開発チーム)は、「ワークスタイル変革」をテーマにしたアプリケーションである。従業員の出社直後の音声からその日の気分を読み取って就業時間を設定、さらに従業員の性格に合わせたタスクの割り振りが行える。

採用したのは、気分判定プログラム「Web empath API」とWatsonの性格分析ツール「Personality Insights」で、これらとプロジェクト管理システムを組み合わせてシステムを組む。

導入効果として、新アプリケーション開発チームの工藤貴央氏(写真)は「本人にとっては働くモチベーションの向上につながり、リーダーや管理職にとっては気づかいの多い仕事のアサインが不要になり本来のマネジメントに集中できること、チームにとっては、その人の感情や元気度が見える化され、共有できるようになる」と説明していた。

◎工藤貴央氏

日本IBMの吉崎敏文氏は、「タスクの割り振りに“元気度”を使うのは想定外。性格・元気度がタスクマネジメントに効果的ということが証明されれば、働き方改革への大きな貢献になる。今後への期待を込めて授賞とした」と、講評を述べていた。

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