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ローコード開発ツールの3製品が生成AI機能に対応、IBM iアプリ開発の生産性をさらに加速 ~ミガロ. |特集 生成AIとIBM i 7社の取り組み

「 AI Assistant」が
データソース作成を強力にサポート

ミガロ.は現在、3種類の開発ツールを提供している。

ローコード開発ツールである「Valence」、WebやC/S、スマートデバイス向けアプリを開発できる「Delphi/400」、そしてJavaコーディングなしで、RPG/COBOLのスキルを活用して、Webやスマートデバイス向けアプリを開発できる「Cobos4i」(旧「SP4i」)。いずれもIBM iユーザーに広く利用されている製品である。

これら3製品では現在、生成AI機能の搭載が進んでおり、従来以上に開発作業を支援する環境が整いつつある。それぞれの生成AIへの対応状況を見ていこう。

まずValenceは、(1)データソース作成、(2)ウィジェット作成、(3)アプリケーション作成という3ステップにより、コーディング作業を極小化できるローコード開発ツールである。

ただし従来は、(1)のデータソース作成で、あらかじめ「どのファイルに、どのような項目があるか」「どのマスターを参照するか」を開発者が理解しておく必要があった。

これを大きく変えたのが、昨年リリースされたValence 6.3に搭載の「Valence AI Assistant」である。

データソース作成について、マニュアルモードの新規データソース作成画面を起動し、「データソースの作成を手伝ってください」を選択すると、Valence AI Assistantが起動。必要なファイルを指定して、ファイルレイアウトを読み込ませた上で、日本語の文章でほしいデータの条件をリクエストすると、AIがデータソースを自動的に作成する。これにより、開発者は事前にファイル構造を把握しておく必要がなくなるわけだ。

Valence AI Assistantは約3カ月ごとにアップデートされ、今年に入ってからはさらに、(2)ウィジェット作成や、(3)アプリケーション作成でもValence AI Assistantを利用できる範囲が広がった。

たとえばウィジェット作成では、項目が多いとレイアウトの設定が煩雑になるが、Valence AI Assistantが自動的に配置してくれるようになった。またアプリケーション作成で、どうしてもコーディングが必要な場面でも、Valence AI AssistantがAPIを含むコードを自動作成するので、JavaScriptのコードも容易に作成できるようになった。

さらに2025年にはValenceの機能強化点として、GitHubを連携させる機能が追加された。IBM iにNode.jsとGitを導入して、GitHubのアカウントと連携することでValenceのアプリ設計情報をGitHubで管理し、差分の確認ができる。ここでもValence AI Assistantを活用し、変更点の要約がAIによって自動的にまとめられるようになっている。

ValenceのAI機能は、利用料が製品保守料に含まれているため、追加料金なしで利用できる。OpenAIなどの大規模言語モデル(LLM)の利用契約がなくても活用できる。

図表1 Valence AI Assistant -データソースの作成-

「Delphi/400」の最新バージョンに
「Smart CodeInsight」が登場

次にDelphi/400である。同製品は、フォームにコンポーネントを配置するビジュアル開発により、画面設計の効率化およびコーディング作業の最小化を実現できるのが特徴だ。また必要なイベントに対しては、Delphi言語であるObject Pascalを使って、SQLを使用したビジネスロジックを記述したり、RPG/COBOLで記述された処理をDelphi/400から呼び出して連携することも可能である。

2025年10月にリリースされた新バージョン「Delphi/400 12 Athens」では初めて、コーディング作業の効率化・自動化を目的にした生成AI機能である「Smart CodeInsight」が搭載された。

Delphi/400の統合開発環境(IDE)に生成AIエンジン(OpenAI、Gemini、Claude、Ollamaの4種)を統合することで、Object Pascalによるコーディング作業を支援する。 

具体的には、AIチャットを利用して自然言語で質問し、開発に必要なスキルを得る(AIチャット)、選択したソースコードをレビューして不具合を報告する(バグの検知)、ソースコードの概要を文書化する(コードの説明)、ソースコードにコメントを追加する(コメントの追加)、他言語で書かれたソースをObject Pascalに変換する(Delphiに変換)など。このほかコードの保管・最適化、ユニットテストの追加、アセンブラやC++への変換といった機能がサポートされている。

Delphi/400に追加されたSmart CodeInsightは、使用する外部LLM(OpenAIなど)の利用料金のみで活用できる。また、ローカルLLMであるOllamaも利用できるので、無料で活用することも可能である。

図表2 Smart CodeInsight −「コードの説明」実行例 −

「Cobos4i」では
EclipseのAI支援プラグインが利用可能

最後にCobos4iである。以前はSP4iとして知られており、RPGやCOBOLを使ってIBM i用のスマートデバイス向けアプリを作成できる点が、従来からのIBM iユーザーに支持されていた。HTMLに定義したフィールドに属性や桁数などを指定するだけでソースを自動生成し、RPG Ⅲ、ILE RPG、FFRPGやCOBOLなどすべての形式でプログラムを開発できる点が特徴である。

Cobos4iへの製品名変更と同じタイミングで、統合開発環境としてEclipseを採用した。以前のように、ステップごとに異なる専用ツール(たとえばHTML編集ツール、SP4i Designer、5250画面でのRPGやCOBOLなど)を利用する必要がなく、Eclipseに一元化でき、Eclipseの多彩なプラグインを活用できる点がメリットである。

Cobos4iの開発環境としてEclipseを利用するには、「Cobos4iプラグイン」を導入する。さらにCobos4iで生成AIを活用するには、AI支援プラグインである「GitHub Copilot for Eclipse」を導入すればよい。

GitHub Copilotには、たとえばリアルタイムなコード補完(入力中のコードのコンテキストを理解し、次の行やコードブロック全体をリアルタイムで予測・提案する)、Copilot Chat(IDE 内でAIアシスタントと対話し、バグのトラブルシューティング、新機能の作成、コードに関する質問などを通じてガイダンスを求められる)、Agentモード(プロジェクトのコンテキストをより深く理解し、エラーの自動検出と修正、関連するターミナルコマンドの提案と実行など、より自律的なアクションを実行できる)などがある。

Cobos4iの開発では、これを使用して、HTMLやJavaScriptの追加、RPGの作成などに生成AIの機能が利用できる。ミガロ.によれば、RPGについても大枠は作成できるが、コンパイル前にエディタで多少の修正が必要とのことである。しかし精度が上がるのは時間の問題であろう。

なおGitHub Copilotは、有償のサブスクリプションサービスである。月間の利用回数に制限があるものの無料で利用できるプランも提供されているので、まずはこのプランから検討するのがよいだろう。

上記の3製品はいずれも、開発現場での作業効率を高めるために、生成AIを積極的に取り入れている。それぞれ開発元は異なるが、開発ツールのAI支援は、AIチャット、バグの検知、コードの説明、コードの生成、コメントの追加、他言語からの変換(もしくは他言語への変換)など、開発効率の向上を目指す方向性はほぼ一致している。

これらのAI機能は各製品のアーキテクチャや特性に応じて進化を続けており、今後も各製品でAIの活用範囲は拡大し、より高度な設計支援や自動化を実現していく。生産性向上を目指してきたローコード開発ツールが、生成AI機能を搭載することで、より高度な開発を、より簡単に実行可能な環境を実現していくであろう。

図表3 GitHub Copilot for Eclipse -HTMLの作成-

 

[i Magazine 2025 Winter掲載]