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生成AI活用の第1弾として、利用方法の疑問に答えるAIチャットボットが登場 ~ランサ・ジャパン |特集 生成AIとIBM i 7社の取り組み

AIチャットボット「LANSA AI」登場
技術的な質問に的確なガイダンス

ランサ・ジャパンは2025年7月、AIチャットボットである「LANSA AI」のベータ版をリリースした。

このAIチャットボットは、LANSAの最新バージョンである「Visual LANSA V16」でも、数ある機能強化点の1つとして公開された。LANSA 製品に関するドキュメントや技術的な疑問に対する答えを、迅速に入手可能であり、誰でも無償で利用できる。

LANSAを使った開発方法に関して、疑問に思ったことや操作方法を知りたい場合、検索に時間をかける代わりに、チャットボットに質問することで、すぐに回答してくれる点がメリットである。

LANSA AIは、LANSAの製品名、機能、バージョンについてトレーニングされており、技術的なノウハウに関して質問すると、明確で体系化されたガイダンスを受け取れる。文脈を理解し、実際の製品ドキュメントに基づいて回答する。ブラウザで動作するため、ダウンロードや設定は不要。

ユーザーからのフィードバックややり取りを分析し、継続的に改善されていく。当面はベータ版として提供されることになり、次期のマイナーバージョンなどの更改時に正式版としてリリースされる予定である。

アイデラグループが取り組む
総合的なAI戦略

LANSA製品の開発元であるLANSA社は現在、アイデラ(Idera)グループを形成する1社として事業を展開している。親会社であるアイデラは積極的なM&Aに取り組んでおり、世界中に広がる約30社のベンダーでグループを構成する。その中にはLANSAをはじめ、Embarcadero、Yellowfinなど日本でビジネスを展開する企業も含まれる。

アイデラには、AI全般にどう取り組んでいくかを専門に研究している専属チームが存在する。グループの中核企業として、AI活用について総合的な研究を進める。グループには開発ツール、分析ツール、データベース設計ツールなど、どちらかと言えば設計領域に関係する製品ベンダーが多いが、アイデラの専属チームは各社がAIを活用するコンセプトを形成し、各製品への具体的な実装はグループ各社が担当している。

たとえば既存ツールのコードベースにAIをどう実装するか、AIの具体的なアウトプットを既存ツールの特徴に合致させつつどうデザインするかを考えるのは、グループ各社の役割である。

アイデラグループでは、製品ごとの特徴に応じてAIの活用を推進しており、大きく以下の3つのカテゴリでAI導入を進めている。

●製品ナレッジを活用したAIサポート強化
各製品のドキュメントやサポートケース、FAQなどをAIに学習させ、ユーザーが必要とする情報に迅速にアクセスできるチャットボット型サポートを提供する(LANSA AIはこのカテゴリに該当する)。

●BI製品における自然言語クエリー対応の強化
YellowfinなどのBIツールでは、従来の制限的な自然言語入力を超え、AIによってより日常的な言語でのクエリー実行を可能にする。

●開発支援領域でのAI統合
「Embarcadero RAD Studio」では、AIを活用してコード補完、コメント生成、構文理解支援などを行う「Smart CodeInsight」を提供。開発者の生産性向上に貢献している。

アイデラグループの各製品ではさらに、AIによるコード生成をアプリケーション開発サイクル全体で活用するための研究開発を進めている。現在、ビジュアルUIとコードの2WayによるビジュアルRAD環境を提供しているが、この2軸の開発手法にAI駆動開発を加えた「AI・UI・コードの3軸同期(3Way)」により、AIと開発者の協業による新しい開発スタイルを確立するべく、研究を進めている。

また各社のAI活用に共通する基本構造をコンポーネントとして作る試みも進んでいる。

たとえば前述のEmbarcadero RAD Studioでは、「SmartCore AIコンポーネントパック」が開発されている。これはDelphi と C++Builder アプリケーションから任意の生成AIサービス(OpenAI、Claude、Gemini、Ollama を含む)の呼び出しを簡素化するモジュール式コンポーネントスイートである。

これはすぐに使えるAI機能であるとともに、将来に向けた構成要素であり、かつAI基盤として位置づけられている。ユーザーやサードパーティベンダーによっても追加のAIエンジンやUIコントロールと統合できる基盤アーキテクチャとして機能する。

このようにグループ全体で、今後AIをどのように活用していくかを模索し、個別製品に反映していくのが、アイデラグループの戦略である。

LANSA AIは、アイデラがグループ全体で取り組むこうしたAI活用戦略の一環として開発された。主に以下のような使い方を想定している

・製品の使い方や仕様に関する質問を、自然な言葉で入力し、即座に回答を得ることが可能。
・チュートリアルや導入ガイド、設定方法、エラー対処などの情報を瞬時に取得可能。
・過去のサポートケースやFAQの内容を横断的に検索し、自己解決率を高める。

ただし今回リリースされたLANSA AIは、あくまでAI活用の第1弾であり、いわばほんの入り口にすぎない。

LANSA AIは、まだLANSAのエディタとは連携しておらず、LANSAの開発環境とは別途に、単体で利用することになる。しかしLANSA AIとエディタの連携が実現し、エディタでの開発と一体となってLANSA AIが利用可能になれば、新たな世界が広がるだろう。

たとえば現在、生成AIを実装した開発ツールの方向性と目されているコードの説明、コードの生成支援、コードのチェックなどがLANSAの開発環境のなかで完結することになる。

ランサ・ジャパンでは、その正式なリリース時期に関する明言は避けたが、おそらくそう遠からずに発表されることになりそうだ。

アイデラグループ全体で取り組むAI活用戦略を今後、LANSA製品にも反映していく。上記のような開発支援という形で、AI機能を取り入れたLANSA製品が今後誕生していくものと思われる。

図表1 LANSA AIの画面

[i Magazine 2025 Winter掲載]