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サービスメニューの策定やクライアントゼロの実践でビジネスパートナーのAIビジネスを支援 ~イグアス |特集 生成AIとIBM i 7社の取り組み

ビジネスパートナーに対し
AIビジネスへの足掛かりを

イグアスの藤沼貴士担当部長が所属するのは、パートナービジネス事業部 クラウド&AI 営業開発部である。ここではAIやコンテナアプリケーションなど、最先端のテクノロジーを扱い、ビジネスパートナーが商材として扱うことを可能にすべく、詳細を説明したり、セミナーで解説したりと、プリセールス&デリバリーに関わる業務が中心となる。

藤沼氏が担当するのは生成AI、主に「IBM Project Bob」(以下、Bob)と「IBM watsonx Orchestrate」(以下、wxO)である。

IBMが提供するIBM i向けのコード生成支援ツールとしてリリース予定であった「IBM watsonx Code Assistant for i」は、Bobへの移行が発表された。同社はそのPublic Previewに参加し、さまざまな機能検証を行っている最中である(2025年11月現在)。

またwxOはコーディングがある程度不要でAIエージェントやAIアシスタントを簡単に作成するツールであり、業務の自動化・迅速化に大きく貢献するとされている。

生成AI時代の到来で、イグアスのビジネスパートナーの多くがAIビジネスへの参入を考えている。しかし今までIBM PowerやIBM iで、基幹システムを中心とする開発・構築やソリューション提案に従事してきたビジネスパートナーが、いきなりAIビジネスに参入するには、スキルセットや要員体制などの問題から時間を要するケースもある。

AIビジネスへの関心は極めて高いものの、潤沢なエンジニアリソースを有し、最新テクノロジーに強い一部のパートナーを除けば、「何から始めればよいのか」「どう動けばよいのか」と戸惑うケースが多い。そうしたパートナーに向けて、AIビジネスを開花させる足掛かりをつけるのが、クラウド&AI 営業開発部のミッションである。

同社が重視するのは、Bobに関するサービスメニューの作成、そしてwxOに関するクライアントゼロの取り組みである。つまり自社が「最初のユーザー(クライアントゼロ)」として、最新のテクノロジーやソリューションを活用し、その有効性や注意点、導入効果などを検証した上で正式に提供する取り組みのことである。

コード説明を中心とした
サービスメニューを策定

Bobは、生成AIが支援するRPGアプリケーションのライフサイクルの中で、次の4つの機能を備える。

Explain機能は簡単なRPGプログラム説明を生成し、Generate機能はSQL、RPG、Pythonを活用した今時のプログラムの生成やインラインでのコードの補足作成を行う。Refactor機能は変数名をわかりやすい名前に変更し、Transform機能はレコードレベルアクセスでのコーディングをSQLに変換したり、従来のRPGプログラムをFFRPGへ変換する。

現在、同社はBobの機能検証を行っているが、想定されるサービスメニューとしてはExplain機能を使った経験のない若手エンジニア向けに実際のコードを使って概要を説明するサービスや、プログラムに対する位置づけ・意味合いを説明するドキュメント化サービスなど。このほかソースコードはあるが、現状の設計・仕様ドキュメントが存在しない、または古いドキュメントのみが残っている場合には、そのロジックを調査するようなサービスも考えられるだろう。

Bobへの移行に際して、基本的な検証作業はあらためて実施するが、おそらく上記のサービスメニューはあまり変更を加えることなく提供できるだろう。さらにExplain機能だけでなく、Transform機能やGenerate機能によるコード生成機能、再構成・変換、テストプログラムの作成といった領域で、開発工数や期間の短縮など開発局面を考慮した多彩なサービスが実現できるだろう。

もう1つ、興味深い取り組みがある。wxOによるクライアントゼロの実践だ。同社では、AIエージェントを作成するのがエンジニアだけでは、すぐに限界が来るだろうと考えている。そこで注目したのが、管理部門の担当者である。

同社の事業管理本部では、法務・人事・総務・ITの担当者が日々、社内からの問い合わせに多大な時間を費やしている。とくに法務部門への問い合わせは多く、社内の掲示板に情報を掲載しているにもかかわらず、法務担当者への個別の問い合わせは減る気配がない。加えてユーザーに提示した基本契約書の修正対応も、その可否のやりとりを含め担当者の業務の15~20%を占める。

そこで開発経験のない1人の法務担当者が、wxOを使用して問い合わせに対応するAIエージェントを作成した。その経験から、さまざまなノウハウや気づき、工夫を得た。

たとえばwxOを使って法務担当者がAIエージェントを作成する実際のプロセス、ナレッジソース(RAG)として使用するのに必要なドキュメントの章立てや構成の調整、日常的に使用しているツール(TeamsやGaroon)との連携結果、レスポンスを向上させる設定方法、AIエージェントの回答に関するフィードバックなど。

実際にエンジニアではない業務担当者がAIエージェントを作成した内容は、働き方改革やDXに直結するものであり、AIビジネスを考えるパートナーに多くの示唆を与えている。同社では継続的に、クライアントゼロの取り組みを拡大していく計画である。

図表1 wxOを利用した法務系AIエージェントの作成

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