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日本IBM、エンタープライズ向け大規模システム開発のためのコンテキスト標準ソリューション「ALSEA」を発表 ~IBM Bobに指示を与えるコンテキストを提供

日本IBMは4月14日、エンタープライズ向け大規模システム開発のためのコンテキスト標準ソリューション「ALSEA(アリーシア)」を発表した。ALSEAは、AI Lifecycle Shared Engineering Artifactsの略である。

IBM Bobと組み合わせることで、エンタープライズ向け大規模プロジェクトの開発効率と品質安定性の両立を促進する。

コンテキスト・エンジニアリングという言葉が体現するように、AIによるシステム開発の可否は、コンテキスト(文脈情報)によって決まると言われる。AIモデルがどれだけ優れていても、適切なコンテキストがなければ、期待する結果は得られない。

一般にAIによるエンタープライズ向け大規模システム開発の課題は、以下のように指摘されている。

(1) AIに精通した技術者を必要数揃えることが難しい
(2) AIに指示する開発者の経験・知識に成果物の品質が依存
(3) AIへの支持であるプロンプトが書面として残らず、レビューによる合意形成、品質確保が困難で、保守性にも懸念がある
(4) 複雑な要件(とくに非機能要件)、さまざまな制約を考慮したアウトプットの出力が困難である

そこでALSEAが開発された。ALSEAは、日本IBM独自の大規模開発のノウハウを組み込み、大規模システム開発におけるメソッドや標準プロセス、成果物のテンプレートなどを、AIが参照可能なマークダウン形式の文書としてまとめた標準基盤である。IBM Bobが利用する成果物テンプレートやガイドなど、IBM Bobに指示を与えるためのカスタムコマンドを豊富に用意している。

ALSEAの特徴は以下のようになる。

成果物の品質を均一化
IBM独自の大規模開発のノウハウ(開発指針、標準、ルールなど)をIBM Bobが参照する共通コンテキストとして提供することで、開発者やチームごとの差異に依存しない、説明可能で再現性の?い成果物を?成する。これにより、エンタープライズ環境で求められる画?的な品質確保を?援する。

人間のワークロードを削減
個別・都度の指示を最小化し、必要最低限の成果物に標準化することで、「AI(IBM Bob)が主体」となって設計書、プログラムコード、テスト成果物を生成する。人間はレビューと判断に集中でき、手戻りの防止やレビューの徹底を通じて、開発現場における負荷と調整コストの低減を実現する。

大規模開発プロジェクトへの適用
複数プロジェクトが同時に進行するエンタープライズ環境においても、標準化されたプロセスとプロジェクト管理を軸に、サブシステム分割やハイブリッドクラウド環境への対応を可能にする。

ALSEAが提供するコンテキストには、プロンプト(ユーザーからの指示)、RAG(拡張された検索情報)、システムプロンプト(AIの自律性を裏で制御するための指示)、短期記憶(セッション情報の記憶)、長期記憶(セッションをまたいだ情報の保持・活用・更新)、外部ツール連携、構造化出力(AIが解釈可能な形式)などがある。

IBM Bobはすべてのエンジニア、非エンジニアを対象にしているが、ALSEAはエンタープライズ向けの大規模なシステム開発に向け、日本IBM主体で開発された。発表日である4月14日から先行利用プロジェクトに向けて提供を開始。2026年下期に一般提供を開始する。

図表 IBM BobとALSEA(出典:日本IBM)

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