矢野経済研究所は10月8日、国内ERPパッケージライセンス市場に関する調査結果を発表した。それによると、2025年の市場規模は前年比13.1%増の2020億7000万円となり、2026年も同12.8%増の2279億6000万円に拡大すると予測している。既存システムの刷新やSaaSへの移行が進むなか、今後はAIエージェントの活用が市場の成長を後押しするとみている。
同調査におけるERPパッケージには、財務・会計、人事・給与、販売、生産、在庫、物流などの基幹業務を統合する製品に加え、これらの業務の一部を担うパッケージも含まれる。市場規模はSaaSなどのクラウド型サービスを含むライセンス売上高を基に算出している。
2025年の市場成長率は前年を下回ったものの、2桁成長を維持した。成長率が鈍化した背景には、インボイス制度への対応が一段落したことや、AIエージェント製品や課金モデルの動向を見極めようとする企業が増えたこと、Windows 10のサポート終了への対応によってERP投資の優先順位が下がったことなどがあるという。
一方、企業のIT投資意欲は引き続き旺盛で、既存システムや保守期限を迎えるシステムを最新の技術やアーキテクチャへ刷新する動きが市場の成長を支えている。
ERPの導入形態では、SaaSへの移行が進んでいる。その背景として同社は、ERPの標準機能に自社の業務を合わせる「Fit to standard」の考え方が浸透し始めたことに加え、標準機能を維持しながら企業独自の要件に対応する「クリーンコア」の導入が広がっていることを挙げる。こうした動きを背景に、今後もSaaSの利用が拡大すると予測している。
今後のERP市場で注目されるのが、AIエージェントとの連携である。同社は、ERPが従来の業務データを正確に記録・管理する「System of Record」から、蓄積されたデータを基に予測や提案を行い、経営判断や業務の自律的な実行を支援する「System of Intelligence」へと進化していくと指摘する。
ただし、AIエージェントの実装状況や機能の成熟度は製品によって異なる。今後、複数のAIエージェントが連携し、自律的に業務を実行する段階へ進むにつれ、ERPベンダーにはシステム構築の支援だけでなく、業務プロセスの再設計やAIへの業務委任の判断を支援する役割が求められるという。
2026年については、既存システムからの移行・刷新に加え、AIエージェントを活用するための基盤としてERPを新規導入・更新する動きが、市場の拡大を支えると予測する。
また、短期的には業種・業界に特化したAIエージェントやAIアシスタントが増加するとみており、ERPに蓄積された業務データだけでなく、ビジネスの背景や状況を理解し、活用できるAIが競争力を持つと分析している。
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