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シダックス株式会社

MobileSystemCheck

・カラオケ店利用者が所有する携帯電話
・台数:ケータイ会員42万人
・使用ソフトウェア:「C/SBridge」(日本IBM)
・本稼働:2005年7月使用目的:「シダックスクラブ」と呼ばれる会員制度の会員証として、携帯電話にQRコードを登録

 

より高度な顧客管理を目指し
ケータイ会員制度を発足

シダックスは、レストランカラオケ事業をはじめ、コーポレートカフェテリアを展開するコントラクト事業、医療・福祉の場に食を提供するメディカル事業、事業用食材の購買と一元物流を担当するエスロジックス事業など、主要5事業を各事業子会社との協業によって展開するグループ体制を敷いている。
中核事業の1つであるレストランカラオケ事業の店舗数は、現在302店。最新のカラオケシステムと充実した料理に加え、いずれの店舗も50ルームを備え、パーティホール付きのロビーを基本としたゆとりあるスペースが特徴だ。

そこで重要な役割を担うのが、会員制度「シダックスクラブ」をベースにした顧客管理システムである。同社では2005年7月、業界に先駆けて携帯電話による会員制度をスタートさせた。それまでにもカードによる会員制度は展開していたが、顧客情報の精度を高め、一元管理を徹底し、かつ個人情報保護法にも対応するため、QRコード(2次元バーコード)による新しい会員制度を目指したのである。

検討がスタートしたのは2003年。当初はQRコードを印字した会員カードを発行する「カード会員」と、携帯電話を使用する「ケータイ会員」の2本立てで構想を進めていた。

「しかし携帯電話の急速な普及により、急きょ、ケータイ会員を先行させることが決定しました。そして2005年2月に沖縄県の2店舗で試験導入を開始し、同年7月に全国の店舗で運用に踏み切りました」と語るのは、同グループの会員管理事業子会社であるエス・アイテックスの峰なおこ事業本部長である。

利用者がケータイ会員として会員登録する方法は2つある。1つはPCなどから会員登録URLへアクセスし、携帯電話のメールアドレスをはじめ氏名や住所など必要な情報を入力・登録すると即座に、携帯電話に会員番号と会員サイトのURLを記したメールが届くので、アクセスして、会員登録証となるQRコードをダウンロードする。これで完了だ。

もう1つは、各店舗に設置されているパンフレットやチラシに印刷されたQRコードを携帯電話でスキャンし、読み取ったメールアドレスの宛先に空メールを送信する。するとやはり、携帯電話に会員番号と会員サイトのURLを記したメールが届く仕組みだ。

こうして「MyQRコード」を会員証として携帯電話に登録したら、あとは入店の際に、そのQRコードを受付でスキャンするだけである。

峰なおこ氏 エス・アイテックス 事業本部長
峰なおこ氏
エス・アイテックス
事業本部長

 

店舗とi5間のソケット通信を
C/SBridgeで実現

同社ではこの新・会員制度の発足に先立ち、会員管理システムを運用するサーバーとして、初めて「i5 520」を導入した。

利用者がカラオケ店を訪れて、受付で携帯電話のQRコードをスキャンすると、その情報がデータセンターのi5へ送られる。QRコードには会員番号とメディアの属性(携帯かカードか)のみが記録されており、i5側ではそれを元に検索した氏名や性別、年齢など会員を特定する情報を送信して、店舗のクライアント側に表示する。担当者はこの画面を見ながら、受付を行い、カラオケルームを手配する。カラオケ店では未青年の飲酒防止や、都道府県条例に基づき18歳未満の入店を制限する地域や時間帯があるので、特に年齢確認は受付時の重要な作業となる。

ただしいったん受付が終了したら、個人情報保護の観点から、会員番号以外の情報は一切クライアント側に記録させない。入室時間や精算は店舗サーバー上で、会員番号のみをベースに処理していく。

店舗側のバーコードリーダとi5を接続しているのは、「C/S Bridge」である。これはもともと、RPGを使ってビジネスロジックやDBアクセスをSystem i上に構築し、クライアントとSystem i間の電文のやり取りをソケット通信で制御するクライアント/サーバーシステム構築ツールとして、日本IBMによって開発された(後にWeb版も登場)。インターネットを経由せず、キャラクタベースのソケット通信を実行するため、レスポンスが速いという特徴がある。

「携帯電話のCRコードをスキャンして、i5から顧客データが伝送されるまでの待ち時間は、お客さまサービスの観点から絶対に避けたい点でした」と、鈴木正巳氏(エス・アイテックスネットワーク担当)は指摘する。各店舗とデータセンターはBフレッツで接続しているが(一部地域でADSLを利用)、同社では1300万人分の会員情報を蓄積していた旧システムのレスポンスタイムが1.4秒であった。そのため、ケータイ会員でも同等のスピードを求めたが、今のところ問題なく稼働しているという。

ケータイ会員から遅れること1年、2006年7月には「カード会員」制度も発足した。会員証が携帯電話かカードかの違いを除けば、スキャンしたQRコードをi5へ送信する仕組みはまったく同じである。

同社では新しい会員制度の下、ポイントの蓄積や割引特典など多彩なサービスを提供するほか、メール送信によるプロモーションや利用履歴の分析によるマーケティング活動を行っている。今後は特に、分析系の充実が大きなテーマになっているようだ。

現時点ではケータイ会員が42万人に対し、カード会員は80万人とカード会員が大きく上回る。これは旧会員カードからそのままQRコード付きの新カードに移行した例が多かったせいだが、今後はケータイ会員ならではのサービスを充実させて、2007年度はケータイ会員100万人を目指すという。

木正巳氏 エス・アイテックス 情報ネットワーク担当
木正巳氏
エス・アイテックス
情報ネットワーク担当

 

COMPANY PROFILE

•設立:2001年
•本社:東京都渋谷区
•資本金:89億3000万円•売上高:1579億5000万円
•従業員数:約2万1000名(平均臨時雇用者数を含む)
•事業内容:コーポレートカフェテリア、医療・福祉・学校への給食サービス、レストランカラオケ、外食レストラン、一元購買・物流システム、店舗・店内設計などの各事業
•http://www.shidax.co.jp/

 

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