事例|月星商事株式会社

新システムの要件に
鋼材のトレーサビリティ

月星商事は、鉄鋼二次製品や建材製品を販売する専門商社である。

現在は表面処理鋼板、ステンレス鋼板、各種建設資材製品から化成品や厨房機器など数百種類に及ぶ製品を取り扱う。建物の屋根や外壁、高速道路の防音壁、家庭用キッチンなど、同社の取り扱い製品は日常生活のそこかしこで目にできる。商社でありながら販売機能だけでなく、加工部門や建設部門を有することも大きな強みであろう。

同社はシステム/32時代からのユーザーであり、販売管理・在庫管理・加工管理・債権債務・受発注・会計の各システムを運用してきた。

2011年2月には、約20年使用してきた基幹システムを全面再構築し、新システムをカットオーバーしている。

基幹システムの再構築プロジェクトは2007 年にスタートした。再構築の柱となったのは、5250画面からの脱却、内部統制への対応やセキュリティの強化、そしてトレーサビリティ機能を盛り込んだ在庫管理の実現である。

ちょうど検討がスタートする直前、強度不足の鋼材を使用したエレベータ問題が社会面を騒がせた。国土交通省が2007年7月、ある大手メーカーが製造したエレベータに設計よりも強度の低い鋼材が使われ、強度不足の恐れがあると発表したのである。後にメーカーとの合意の下、納入業者が設計上の鋼材より強度も値段も低い鋼材にすり替えていたことが判明した。

この事件は鉄鋼業界では大問題となり、エレベータに限らず製造後の製品に対して、食品や医薬品と同じく鋼材の材料から製品をトレースできるトレーサビリティの必要性が検討された。

そこで同社でも新システムの柱に、このトレーサビリティ機能の実現を加えることになったのである。

新システムの開発は、前システムの開発を依頼したアイ・シィ・アールが担当した。今回の開発はアイ・シィ・アールの統合開発ソリューションである「SOFLA i」で進められている。

SOFLA iは、画面からの要求を「画面処理」「通信処理」「サーバー処理」という3つの処理群に分割する。画面イベント処理は「Screen Generator3」という画面オペレーションツールで作成し、サーバー側にイベント信号として通知する。

端末からの画面処理や通信処理は、IBM iに搭載されたSOFLA i 独自のサーバーモジュールで実行するので、結果的に端末側をGUI画面にした上で、シンクライアント化できる。

2007 年にスタートしたプロジェクトは要件定義・概要設計を終え、2008 年10月に基本設計が完了。2009年夏に詳細設計を終え、その後、約5700本のプログラムをSOFLA iを使って約4カ月程度で開発した。設計と開発、テストに慎重に時間をかけた結果、2011年2月に本稼働を迎えることになった。

コイルの製造番号から平板に加工したあとの製品をトレースできるように設計し、実際に加工処理を行うグループ会社の月星金属加工と小山コイルセンターに25台の無線ハンディターミナルを導入して管理することで、トレーサビリティを実現している。

無線ハンディターミナルとPowerSystemsとは、SOFLA iオプションのHandyAccessToolを用いて、中継サーバーを介すことなくダイレクトに接続されており、シンプルで安全性の高いシステム構成で運用されている。

また新システムの稼働後は、SOFLA iの標準機能であるExcelへの連携・照会機能を利用するようになったので、システム部門への帳票依頼が減少した。導入前に要件定義を実施したことにより、50~60種類の帳票を削減したので、業務改革という意味でも大きな効果を得たようだ。

今年夏には第2 次ステップとして、「ミルシート」管理システムを稼働させる予定である。

これはメーカーから送られる鋼材の証明書である紙のミルシートをスキャンして電子化し、IBM i側で検索可能にするシステムで、オフィス複合機と連携させながらSOFLA iで開発する。

また100%子会社である月星テックに向けた業務システムも夏までに開発する予定である。

システム部門に相当する業務改革推進部には、部長である細井幸一氏をはじめ6名が在籍しているが、「今後はSOFLA iの操作を覚え、簡単な帳票や画面の作成・修正は自分たちの手で行えるように教育したい」と、細井氏は考えている。

細井 幸一 氏 業務改革推進部長
細井 幸一氏
業務改革推進部長

マシンの更新を機に
サーバーの二重化に着手

本稼働に先立って、2009年暮れにマシンを更新した。それまでは本番機の運用のみであったが、災害対策の強化を考え、この時点でサーバーの二重化に踏み切っている。

本番機であるPower Systems(9409-M50)は関西にあるアイ・シィ・アールのデータセンターに設置。さらにバックアップ機として、もう1台のPower Systems(9408-M25)を東京の本社に導入することを決めた。

バックアップ機を本社に設置したのは、もし本番機から切り替える事態が生じた場合、システム要員のいるロケーションにあった方が作業が早いと判断したからだ。日常的な運用はアイ・シィ・アールに委託しているので、本社に本番機がなくても支障はない。

今回の大震災では、本社をはじめ支店や営業所で被害はまったくなかったが、細井氏はこうした災害対策の重要性をあらためて感じている。

「 今後は東京直下型の地震を想定して準備する必要があるでしょう。その点、本番機が西日本のデータセンターにあるのは、プレートを違える意味でも、電力会社の管轄を分ける意味でも有効な対策だと考えています」

ちょうど震災直前に、携帯電話と連動した安否確認システムも導入し、有効に機能したという。

今後はノーツなど、PCサーバーで運用する情報系サーバーも、基幹システムと同じく、データセンターに委託することを考えている。あとはネットワーク機器類を含め、もう少し電力供給時間の長いUPSを設置することを検討中。

このほか、地震の揺れでM25の設置位置が数十cmほどずれたので、今後は免震装置を設置する方針だ。

サーバーの二重化、本番機および情報系サーバーのデータセンター委託、免震装置の設置。これらが完了すれば、当面の災害対策および事業継続計画としては問題ないと同社は考えている。img_56fbe84f8f04b

COMPANY PROFILE
設立:1939年
本社:東京都中央区
資本金:4 億3650万円
売上高:578億4700万円(2011年3月期)
従業員数:250名
http://www.tsukiboshi-shoji.co.j

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