事例|滝川株式会社

夜間オペレーション
作業の改善

理容・美容・エステ・ネイル関連の総合商社である滝川は、3年前からシステムの再編を進めてきた。柱は3つあり、1つは5250画面のGUI化、2つ目はプリンティングシステムの高度化(A4用紙への統一、一元管理)、3つ目は会計・経理にかかわる処理のワークフロー化であった。これらは、e’forward(現SOFLA i)、MappingSuite、iSeries Siteの採用により解決している。

そして2 年前から取り組んできたのが、平日夜間のシステムオペレーション作業の改善と、基幹データのデータセンターへのバックアップである。

同社でかねてより、毎日の基幹データのバックアップ/保管や端末の終了作業を、システム部員が日替わりで当番となり、流通センターでの出荷業務が終わるのを待って行ってきた。この出荷業務の終了時刻がおおよそ19時〜19時30分頃。この後のオペレーション作業には30 分〜1時間ほどかかるため、当番のシステム部員が会社を出られるのは早くても20時過ぎ、出荷作業が長引けばその分遅くなるという状況が続いていた。この待機や拘束を「何とか改善したい」(川井孝臣 情報システム部 兼 インターネット事業担当マネージャー)というのが取り組みの発端である。

川井 孝臣 氏 情報システム部 兼 インターネット事業担当 マネージャー
川井 孝臣 氏
情報システム部 兼 インターネット事業担当
マネージャー

当初の考え方としては2 つあった。1つは、夜間オペレーション作業をシステム部員不在のもとで自動化した場合、何らかのトラブルが発生したらシステム部員が自宅などの社外でエラーメッセージを受け取れる仕組みであること。もう1つは、エラー通知を受けて社外から基幹サーバー(IBM i)に対してアクションを起こせるシステムであること、である。


非常時にはiPadから
遠隔オペレーション

取り組みは、後者の外部アクセスからスタートした。これは当然、基幹データの情報漏えいを回避できるセキュアなシステムであることが必須条件になる。そこで端末となるデバイスやツール類を検討し始めたが、折しもiPadが日本でも登場し話題になっていた。

iPadは、業務端末として見ると、起動が早く、表示性能や操作性に優れている。そして、iPadからのセキュアなアクセスを可能にするゲートウェイ/リモートアクセスソリューションも登場していることが分かり、検証の結果、iPadによる基幹アクセスを決定した。また、同社では従来から、営業部員が社外から業務システムにアクセスして在庫確認や経費精算などを行いたいという要望も強く、「これも勘案してiPadを選択しました」と佐藤一善 情報システム部システム課 課長補佐は言う。現在、約50 台のiPadを社外用端末として利用中だ。

佐藤 一善 氏 情報システム部システム課 課長補佐
佐藤 一善 氏
情報システム部システム課 課長補佐

社外からの基幹アクセスが整備されれば、次はエラーメッセージの通知システムである。そこで、かねてから取引のあるベル・データに相談すると、ヴィンキュラム ジャパンの「Hybrid MESSAGE」を紹介され、「とんとん拍子で採用を決めた」(川井氏)という。

「 1つは、IBM i上で稼働するツールであったのが選定の理由です。メッセージ通知用のサーバーを新たに立てて管理工数を増やすようなことはしたくない、という判断が働きました。もう1つは、メッセージ通知に特化した製品である点が、当社の環境にフィットしていたからです。他に検討した製品はメッセージ通知以外の機能もあり、多機能すぎました」と川井氏は説明する。

一方、夜間オペレーションの改善に先立って、基幹データのバックアップを従来のテープに加えて、データセンター側のシステムにも落とす仕組みを導入した。ツールにはDR Managerを採用し、ベル・データのデータセンターを利用することとした。

「 当社では、お得意様や仕入先と24時間365日の取引を行っているので、データの保全を考えて、リアルタイムにバックアップできるツールを採用しました。さらに安全性を高めるためにデータセンターの利用に踏み切りました」(川井氏)

このデータセンターへのバックアップとスケジュールの自動化により、基幹システムの利用時間を任意に設定できるようになった。現在は23時45分までとしているが、従来、バックアップのため19時〜19時30 分頃から業務端末が利用できなくなっていたのと比べると大幅なサービスの改善である。また、システム部員は、出荷業務の終了を待つことなく退社できるようになった。

基幹システムと同じ内容を
メッセージしてくる
Hybrid MESSAGE

Hybrid MESSAGEは、無人で行われるバックアップやシステムの終了、および早朝のIPLなどを監視し、エラーを検知すると当番のシステム部員の携帯電話にメッセージを通知してくる。佐藤氏は、「システムの状況を示すメッセージが見えるだけでも非常に有益。メッセージによって翌日早めに出社するか何をすべきかの対処ができます。基幹システム上で表示されるのと同じ内容のメッセージが通知されるので、とても利用しやすいと感じています」と語る。

導入は、今年3月。利用開始から約1カ月をかけて必要なメッセージとそうでないものを振り分け設定を行った。「絞り込みを行ったので、今は重要なものだけが通知されてきます」(佐藤氏)

今後は、異常を示すメッセージだけでなく、システムの正常な起動・終了や正常稼働などを示すメッセージも通知させる予定。「無人運用を拡大していった時に、運用担当者にとっては安心を得られる情報です。Hybrid MESSAGEをさらに研究して、運用の効率化や幅を広げることに活用していくつもりです」と川井氏は語る。

今回の東日本大震災に際しては、同社の施設やシステムに被害はなかった。しかし、3年前に設置した社内の「危機管理委員会」を3月11日以降、月に1〜2回の頻度で開催するようになり、BCP(事業継続計画)の見直しを進めている。IBM i用の免震装置の導入は、震災直後に「即座に決めた」(川井氏)という。将来的には、近距離にあるデータセンターを遠隔地に切り替えることや、情報系システムのバックアップや保全も検討していく予定という。img_56fd5fd822c33

 COMPANY PROFILE

設 立:1931年
本 社:東京都台東区
資本金:1 億8000万円
売上高:190億円
従業員数:350名
http://www.takigawa.co.jp/