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事例|株式会社ティー・ピー・シー

POINT

・新規顧客獲得のためシステムのWeb化が課題
・KONA採用によりRPGプログラムを簡単にWeb化
・GUI画面の開発後、新規ユーザーが増加


物流・商流システムを

IBM iで構築

紙卸商向けの物流システムと商流システムをクラウド型で提供するティー・ピー・シー(TPC)は、RPGプログラムをWeb化するツール「KONA」(三和コムテック)を導入し、サービスの提供範囲を大きく拡大させている。

TPCの物流システムの前身は、紙卸商6 社が共同でパピックスという共同物流会社を設立し(1990 年)、小口の紙物流に特化したシステムを構築・稼働させた時に始まる。それ以前は、各社が個別に物流を行っていたが、輸送や事務処理の共同化による業務の効率化やコスト削減効果を求めて新会社を設立、新システムの利用という運びになった。プラットフォームはAS/400で、オリジナルのRPGプログラム。

ユーザーは5250 端末で利用する形態である。以来、パピックスがTPCに変わり(2008 年)、TPCが国際紙パルプ商事の傘下に入った後も(2010年)、物流システムは一貫してIBM i上で稼働させてきた。

また商流システムは、1998 年にWindowsベースのクライアント/サーバー型システムを導入したが、2003 年になってOSとデータベース(ORACLE)とのバージョンの不整合が生じ大がかりな改修が必要になったため、新規にAS/400 ベースで「PASネット」を構築している。

「 1990年に構築した物流システムが安定して稼働中なのを評価し、AS/400に切り替えることにしました」と顧問の杉本猛氏は振り返る。

杉本 猛 氏 顧問
杉本 猛 氏
顧問

 

他の卸商向けに
サービス拡大が課題に

2008 年にTPCが発足すると、それまで紙卸商6 社のみに提供してきたサービスを他の卸商へ拡大させることが課題になった。TPCの株主に王子製紙グループの国際紙パルプ商事 (KPP)などが加わり、取引先に小口商 いの紙卸商が多数いたからである。

一方、管理部システム課課長の畔上 勝氏は、この動きとは別に、TPC発 足前のパピックス時代からサービスの 拡大を検討してきた。「いずれ6 社だ けでなく、そのほかの紙卸商にもシス テムサービスを提供する日がくるだろ う」と確信していたからである。ただ し当時は、そのための予算がついてい たわけではないので、「とにかく安価 にサービス拡大を実現する仕組みを考 えていました」と言う。

「ツールの価格はともかく、当社のシ ステムと卸商を結ぶネットワークは通 信コストが安価なインターネットだろ うと思い、それに合致するソリュー ションの調査と検討を続けていまし た」(畔上氏)。

そうしたところへ、KPPと取引のある紙卸商にTPCの物流システムを 利用してもらう話が浮上したが、当時 はTPCの物流システムと直接つながる仕組みがなかった。そこに、畔上氏 が長い調査の末、「これだ」と狙いをつ けていたツールがはまった。それが KONA である。

「KONA は、RPGプログラムにまったく手を加えることなく、そのまま Webブラウザに表示できます。さらに表示機能に手を入れればグラフィカ ルな画面を生成することも可能です。 KONAの導入により、異なる会社とのシステム連携があっという間に実現しました」(畔上氏)

ツールの調査・検討段階から畔上氏 の取り組みを見守ってきた杉本氏は、 「ローコストでサービスの拡大を図り、 システムを連携させるというのは、検討段階では試行錯誤の連続でした。それがKONAの登場で、一挙に解決したという感じです」と感想を述べる。

畔上 勝 氏 管理部システム課 課長
畔上 勝 氏
管理部システム課
課長

 

GUI画面の開発後
ユーザーが急増

KONA の導入は2009 年3 月。同時にKPPの取引先の1 社が、5250 画面 をそのままWebブラウザに表示しただけのブラックスクリーンで利用を開始した。そして2010 年12 月にWeb 画 面を開発すると、「あれよあれよという間に新規ユーザーが増加し」(畔上 氏)、12 社となった。KPPの取引先がTPCの物流システムを利用する場合は、Web ブラウザを使いインターネット越しのKONA経由で物流システムにアクセスする。すなわち、ユーザー にとっては初期費用がまったくいらないシステムである。「これこそ、ユーザーの拡大を考え始めた当初に構想していたことで、非常に満足しています」と畔上氏は評価する。

現在の課題は、KONAサーバーを幕張のデータセンターに、物流・商流システムを大手町のデータセンターに置きIP-VPNで結んでいるため、パフォーマンスにやや難がある点である。ただしこれも、この9 月に大手町のシステムを幕張へ移設し、同一のIBM i 上で稼働させることで解決すると見ている。TPCの物流システムを利用するユーザーは、今後も増加していく見込みである。これに対しては、KONA 導入により「強力な基盤を築けた」(畔上氏)ことで見通しが立っている。

今後の課題は、KONAユーザーへ入力データをフィードバックする際の効率化と省力化という。現在は、2 社に対し1日2回FTPで送付しているが、 その他については、手配該当データを自社システムにも入力するという2 度打ちの手間がかかっている。インフラが整備されたので、業務の効率化やサービスの拡充へ課題が移っているということである。img_56f53a73b2bea

COMPANY PROFILE

創 立:2008年
本 社:東京都港区
資本金:5000万円
従業員数:59名(2011年3月)
http://www.t-pc.jp/

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