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事例|森定興商株式会社

POINT

・5250端末を全てシンクライアントへ移行
・RPGに次ぐ主力開発言語として「Delphi/400」を採用
・営業担当者の業務を効率化する新しいアプリケーション開発

 

Delphi/400の自由度を評価し
採用を決定

森定興商は昭和2年の創業以来、東海地方を中心にパイプや鋼材、住宅建材などの生産材を全国各地で取り扱う商社として成長してきた。

現在は各種パイプ・鋼材・建材・住宅機器などの卸し売りを手掛ける商事部門、大径溶接鋼材・異型管・高欄・防護柵・鋼構造物を製造する生産部門、住宅分譲・テナントビル・駐車場経営を担う不動産部門と、3 つの中核事業を展開している。

また昨年はベトナム・ハノイに拠点を設立するなど、グローバル化へも積極的に対応している。

同社は災害対策の一環として、2008年から福岡のデータセンターへ本番機であるIBM i(9406-520)を設置するとともに、バックアップ機として9407-515 を名古屋にある本社に設置。両者をHAソリューションで同期する二重化体制を確立した。

また翌2009年、社内にある約300台の5250 系端末をデスクトップ型のシンクライアントへ移行している。これには災害発生時にクライアント側のデータが消失するリスクを避ける一方、システム部門の運用管理業務や端末の障害および盗難によるリスクを回避する狙いがあった。

さらに営業担当者向けには、客先へ携帯できるようにノート型のシンクライアントを導入している。本社の営業部門には平均して1 部署に1 台、各営業拠点には2 ~ 3 台を配布し、必要に応じて担当者に貸し出せるようになっている。

このように災害対策に向けて万全の体制を整える一方、新しい開発ツールの利用にも積極的に取り組んできた。販売管理・在庫管理システムをRPGで開発してきたため(人事・給与・会計システムにはパッケージ製品を採用)、開発の主力言語は長らくRPGであったが、2007 年にGUIベースの新たなアプリケーションの開発言語として、「Delphi/400」(ミガロ.)を採用している。

「以前から経営層には昔風の5250 画面が不評で、Windowsライクな操作環境で、基幹データを利用した実績データの照会やグラフ化を実行したいといった要望が寄せられていました。また先々、営業担当者が客先で画像データを商談に利用したり、在庫や受注残を参照したりといった使い方を想定し、実現に向けてRPG以外の開発手法を探していました」と語るのは、システム運用部の大崎貴昭係長である。

5250 アプリケーションのWeb化を実現する数種の開発ツールを導入し、実際に使ってもみたが、画面の表現に制限があったり、使い勝手が悪かったり。試行錯誤を繰り返す中、大崎氏がある展示会で出会ったのがDelphi/400であった。「Delphi/400体験セミナー」に参加して、実際の操作性を体感。既存のRPGプログラムとのデータの受け渡しが容易で、コンポーネントが多数用意されていることや、画面設計の自由度が高い点などを評価して、すぐに導入を決めたという。

 

大崎 貴昭 氏 システム運用部 係長
大崎 貴昭 氏
システム運用部 係長

 

取引先管理業務を
Delphi/400で一元化

同社のシステム部門には5 名が在籍し、そのうちRPG開発者は2 名だが、 Delphi/400 に関しては2007 年に入社した新入社員を専従要員として育てることにした。入門および基礎のトレー ニングを終え、すぐに開発に取り組んだのが、新規取引先の実績照会システム。次が販売実績の参照システムであ る。いずれもIBM iのデータベースにある情報を利用し、クライアント/ サーバー型のアプリケーションとして 構築している。

その後、2009 年には製造を手掛けるグループ会社向けの工事別管理システムが完成した。そして最も開発工数を費やしたのが、「取引先管理システム」である。

同社の商事部門では、新しい顧客との取引を開始する際、まず「取引稟議書」をWordで作成し、決済へ回す。 取引開始の決済が下りたら、次に「取引先カード」をExcelで作成。そして IBM iの販売管理システムで利用可能にするため、「取引先コード申請書」を作成し、取引稟議書と取引先カードで 入力した情報を再度入力する。

そしてシステム運用部に取引先コード申請書が回ってきたら、やっと IBM iの取引先マスターに登録が完了して、エンドユーザーが利用できるようになる。つまり新しい取引先が最終的に販売管理システムで使用可能になるまでに、同じ内容を3 回入力しなければならない。

そこでこの業務を、ワークフローによる承認・決済までを含めて、 Delphi/400 で一元化することになったのである。

RPG側でデータベース設計を進め、 インターフェース部分の開発やレコー ドの更新はDelphi/400 で実行するという役割分担で開発が進んだ。当初予 定していたサブプログラムのコーディング量は、Delphi/400 のさまざまな 機能を利用することで大幅に削減できたという。

取引先管理システムの開発は2009 年にスタートし、プロトタイピングで段階的に進め、2011 年4 月に全てのプログラムが完成した。これにより、書類への入力に追われていた商事部門の業務が大幅に省力化されたことは言うまでもない。

ちなみにこうしたDelphi/400 のア プリケーションは、全てシンクライア ント型で運用されている。福岡のデー タセンターには、ブレードで構成され たシンクライアントサーバーが20 数 台導入されており、このサーバー上に Delphiアプリケーションを搭載。各 シンクライアント端末からアクセスす る仕組みである。ちなみに本社には、 こうしたサーバー群のバックアップ機 も一式導入されている。

今後の課題は、営業担当者に向けたスマートフォンの導入である。最初は参照系を中心に、将来的には発注処理などの入力系も含めてスマートフォンで利用可能にする。Delphi/400 標準のスマートフォン向け開発機能や、スマートフォンでクエリー結果を参照可能にする「Business4Mobile」(ミガロ.)を含めて、今後最適な開発ツールを選定していくとのことである。img_56e7a04462cd0

 

COMPANY PROFILE
創 業:1927年
設 立:1938年
本 社:愛知県名古屋市
資本金:4億円
売上高:483億円(2008年度)
従業員数:280名
http://www.morisada.jp/

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