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RPA導入にはIT統制を視野に入れた取り組みも必要|三和コムテックの東條 聡氏(執行役員)に聞く

 東條 聡 氏

三和コムテック株式会社

執行役員

 

 

コスト削減目的はほとんどない

i Magazine(以下、i Mag) 最近の「RPAブーム」をどう見ていますか。

東條 「ものすごい関心の高まり」の一言です。当社では2016年末に取り組みを開始して、2017年夏から本格的なセールスを行っていますが、経理部門や営業部門など非IT部門の方からお問い合わせや引き合いが非常に多く寄せられています。この現象は、長年HAツールや開発・運用管理ツールを扱ってきた当社としては初めての経験で、RPAツールならではの動きと見ています。

i Mag 業務部門や管理部門からの問い合わせが多い理由は何ですか。

東條 たとえば当社では、年1回の保守契約更新のご案内の送付や、月次で行っている各種データの集計などを、人手を使ってやってきています。そうした人手を要する定型的で反復的な作業は、どの企業にもたくさんあるはずですが、しかしそうした業務は、システム化するにはコスト・パフォーマンスに合わないため、従来はごく当たり前のこととして、人が担ってきています。

そこへRPAという、定型的な人手作業を抜本的に解消する革新的かつ低コストのツールが登場したので、もう一歩踏み込んで知りたいとなり、お問い合せをしてくるのだろうと思います。業務部門や管理部門が多いのは、現場で何が必要かを、よくわかっているからですね。

それと、経営層、管理者層からのお問い合わせも少なくありません。

i Mag それはどういう理由でしょうか。

東條 大きくは「働き方改革」につながることですが、1つは働く人の減少や確保の難しさという直接的・間接的な要因があり、もう1つは多様な働き方を促すために、今いる社員・従業員の働き方を縛っている人手作業を何とか減らしたいという動機だと思います。お問い合わせをしてくる方が、「待ったなし」の状況にあることもよく感じます。

それと、もう1つ言えるのは、コスト削減を目的にお問い合わせをしてくる企業はほとんどないということです。もちろん、人手作業を自動化すれば大きなコスト削減が見込めますが、RPA導入の動機としては副次的です。

 

既存システムへの影響を念頭に置く

i Mag RPAツールは、非IT部門だけで使いこなせますか。

東條 当社のAutoMateの例で言えば、Excelの受注リストから必要なデータを取り出してホスト上の販売管理システムへ反映させ、さらに発注書を作成して、それをPDFしてメール添付で送信する、という程度の業務の自動化なら、非IT部門の方たちは半日コースの研修でマスターしています。AutoMateは、もっと工程の多い、複雑な業務の自動化も可能ですが、けっして難しいものではありません。

むしろ、RPAツールの導入で今度課題になると思われるのは、IT統制の問題や、非IT部門とIT部門の連携・協調です。さまざまな自動化が、IT部門が関知しないところで進み、基幹システムや重要な業務に重大な影響を及ぼす危険性も考えられます。また、現場主導でかなりの段階まで進んで、IT部門にサポートやトラブル対応を求められることも増えてくると思います。

i Mag どう対処すればよいのですか。

東條 一般的なシステムの導入と同じく、IT統制を徹底し、企業ごとにRPA利用のルールを確立して運用することでしょう。

RPAは、従来のシステム化の空白地帯を埋め、業務改革を可能にする革新的なソリューションです。手軽に導入でき、大きな効果が期待できますが、既存システムへの影響も念頭に置くべきです。

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IS magazine No.18(2018年1月)掲載

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