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理研、量子コンピュータ「IBM Quantum System Two」を導入し、スパコン「富岳」と連携 ~連携ソフトウェアやプラットフォームの研究開発へ

IBMは4月30日、IBMの量子コンピュータ「IBM Quantum System Two」を理研(理化学研究所)の理研計算科学研究センター(神戸市)に導入し、専有利用権を提供する計画について理研と合意した、と発表した。

今回の合意は、経済産業省傘下のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)がファンディングする「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の「量子・スパコンの統合利用技術の開発」プロジェクトにおいて締結されたもの。

理研と同プロジェクト共同提案者のソフトバンク、および共同実施者の東京大学・大阪大学の4者は今後、理研のスーパーコンピュータ「富岳」とIBM Quantum System Twoを連携させるためのシステムソフトウェアやプラットフォームの研究開発を推進する。

今回の合意に先立ち理研では、2023年11月に「計算可能領域の開拓のための量子・スパコン連携プラットフォームの研究開発」を発表している(下図)。今回のIBM Quantum System Twoの導入は、この研究開発の一環になる。

IBMは、今回提供するIBM Quantum System Twoに「量子を中心としたスーパーコンピューティング」と呼ぶ次世代型の量子コンピューティング・アーキテクチャを導入する予定。これは、量子コンピュータ、スケーラブルな古典コンピュータ(従来型サーバー)、システムソフトウェアの3つの要素を組み合わせて構成するアーキテクチャという。

またIBMはIBM Quantum System Twoに、133量子ビットのIBM Quantum Helonプロセッサを搭載することも公表している。

今回の合意について理研の佐藤三久氏(計算科学研究センター量子 HPC 連携プラットフォーム部門 部門長)は、「最先端の NISQ の量子コンピュータは今、量子ビット数の増加と忠実度の向上に伴い、実用的な段階に踏み出しつつあります。(中略)理研の科学の総合力と「富岳」をはじめとする最先端のスパコン開発および運用の経験を生かして、量子・HPC 連携コンピューティングのためのシステムソフトウェアの開発に取り組んでいきます」と話す。

またIBMのジェイ・ガンベッタ(Jay Gambetta)氏(IBMフェロー 兼 IBM Quantum バイス・プレジデント)は、「スーパーコンピュータ「富岳」に初めて量子システムを直接連携させるIBMと理研の合意は、量子を中心としたスーパーコンピューティングによって定義される未来に向けた行程において記念碑的なマイルストーンとなります。この取り組みにより、従来型のコンピューティング・リソースを使用して量子計算と量子通信を組み合わせるモジュール式で柔軟なアーキテクチャの推進に向けて業界を前進させ、両方のパラダイムが連携してますます複雑化する問題を解決できるようにします」と述べている。

IBMではIBM 量子コンピューティングのロードマップを公表している。IBMでは従来から、量子コンピュータの活用は古典コンピュータとのハイブリッド構成になることをうたっている。今回のIBM Quantum System Twoの提供は、その領域を広げる取り組みになる。

 

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