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Gartner、国内企業のソフトウェア/クラウド契約に関する調査結果を発表 ~80%以上が契約上の不満を抱える、トップは「料金の値上げ」

ガートナージャパンは、国内企業のソフトウェア/クラウド契約に関する調査結果を発表した。

023年4月に実施した調査で、ソフトウェアやクラウド・プラットフォームの契約上の不満について尋ねたところ、「特に不満がない」との回答は20%弱にとどまり、80%以上が何らかの不満を抱えていることが明らかになった。

不満を持つ企業に対して、さらにその具体的な内容についても尋ねたところ、「ライセンス/サブスクリプション料金の値上がり」や「サポート料金の値上がり」が最も多く、次いで「サービス・レベルが不透明」やベンダーによる「突然/一方的な契約ポリシーの変更」が挙げられました (図表1)。

図表1 契約上の具体的な不満 (複数回答可) (出典:Gartner)

一方、契約上の不満として、値上げ (調達コスト増) への対抗策を尋ねた設問では、「他ベンダーへの移行/移行検討」との回答が最も多く、次いで「納得のいく説明をベンダーへ求める」「価格上昇幅の上限をあらかじめ交渉」が上位に挙げられた (図表2)。

図表2 値上げ (調達コスト増) への対抗策 (複数回答可) (出典:Gartner)

今回の結果からは、ベンダーへ合理的な説明を求める以外の対抗策に乏しく、十分な説明が得られない場合にはベンダーを変更するという思い切った手段も辞さない顧客企業の姿勢が垣間見えた。

ただしベンダーを変更したとしても、これまでと同じコスト増の問題に直面する可能性はある。運用・保守プロセスの最適化に時間がかかるアプリケーション・ソフトウェアや、営業秘密を含む重要データを大量に管理するプラットフォームを移行するには、移行プロジェクトとプロジェクト後の定着化に相当の時間を要するため、結果的に、DXで求められる迅速性が損なわれるリスクもある。

同社のバイス プレジデント アナリストの海老名 剛氏は次のように指摘している。

「契約の無駄や過剰を省くことはコスト削減への即効性があり、顧客企業主導で進めやすい施策の1つです。そのために、たとえばビジネス部門とIT部門の情報共有を日常的に行う組織文化の醸成や、ソフトウェアやクラウド・プラットフォームの利用状況を正確に把握するためのツールへの投資といった、社内で打てる施策も考えられます。ベンダー変更の決断は、その他の施策や交渉がすべて不調に終わった場合の最終手段と捉えた方がよいでしょう」

 

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