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IPAが「デジタル基盤センター」を新設 ~日本のデジタル競争力強化のため、データスペースなどの基盤を整備

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は7月1日付で、Society5.0実現に向け、デジタル社会に必要な社会基盤づくりを担う「デジタル基盤センター」を新設した。エンジニアリングを基礎に、社会のトランスフォーメーション、イノベーションを促進するデータスペースを構築し、誰もがスムーズにサービスの恩恵を受けられ、新たなサービスを創出できる社会を実現していくとしている。

IPAは今年から5年間の第五期中期目標期間で「世界から信頼されるデジタル基盤を提供し、サイバー空間とフィジカル空間が融合した社会を創る」とのビジョンを掲げている。その実現に向け、デジタル社会の変革に必要な基盤づくりを担う「デジタル基盤センター」を新設した。

新センターは、社会のアーキテクチャ設計を担うデジタルアーキテクチャ・デザインセンターとミッションを共有し、社会の変革を加速する車の両輪となります。さらにデジタル人材センターと連携し、社会を支える人材の育成・確保の推進に努めるとともに、セキュリティセンター、産業サイバーセキュリティセンターと協力し、安全、安心な社会を実現していく

新センターは、社会や産業を構成する各システムに対してデジタル社会の基盤を提供することで、多様なプレイヤーが自由にビジネスを展開し、マーケットやサプライチェーンを形成することや、さまざまな変革やイノベーション創出が進んでいくことを目指す。

このような基盤整備の実現とともに、これまで行ってきたソフトウェア・エンジニアリングの推進、デジタル技術を活用したDX推進、未踏事業によるイノベーター発掘・育成・活躍促進といった業務を新センターとして再整理することで、社会全体の変革を図っていく。

新センターの柱となるデータスペースグループは、日本のデジタル競争力強化に向け、欧州などで先行するデジタル時代の新たな経済圏であるデータスペースへの取り組みを推進する。

データスペースとは、国や分野や組織を超えたインターネット上の活動空間のことで、サプライチェーン情報や環境情報等のさまざまなデータが交換、共有される場である。国際的な新たな社会・経済活動の枠組みとして注目され、そのためのルール、技術仕様などの検討が国際的に進められている。同グループでは具体的に、データの標準体系の整備及び、その体系に基づく設計を行う。また、データ連携やAI活用等、社会全体で同じ機能を開発するのではなく、協調するべき領域の明確化と共通機能の提供を通じ社会改革のサポートをしていく。

データスペース上のサービス構築ではソフトウェアの開発が行われまる。これまでもIPAはソフトウェア・エンジニアリング・センターを設置するなどソフトウェア・エンジニアリングの中核拠点として機能してきた。新しいソフトウェアエンジニアリンググループではグローバルな視点で、デジタル技術の進展に応じた次世代のソフトウェア開発を実現するため開発管理や安全性および品質確保に向けた手法の開発、オープンソースの推進などを強化していく。

DXの推進では、企業向けの推進の取り組みと地域向けの取り組みを一体化してシナジーを創出し、イノベーションの創出に向けては、未踏事業のすそ野を広げ、コミュニティの拡大を図るなどの取り組みをしていく。

新センターのセンター長は、デジタル庁でデータ戦略の責任者を担ってきた平本健二が就任し、デジタル基盤全体の推進を担う。新センターは、当初は約100人でスタートし、グローバルな連携を図りつつ世界トップレベルのチーム実現に向け体制強化を図っていく。また経済産業省、デジタル庁および関係機関と協力して、2025年までに基本的なデジタル基盤などの仕組みを提供することを目指す。

出典:IPA

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