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100量子ビットの壁を破る127量子ビット・プロセッサ「Eagle」をIBMが発表 ~将来のシステムコンセプト「IBM Quantum System Two」も公開

IBMは11月16日(現地時間)、127量子ビットの性能を備える量子プロセッサ「Eagle」を発表した。超電導方式の量子ゲート型プロセッサで100量子ビットを超えるのは世界初。

IBMは今年(2021年)2月発表の開発ロードマップで、2021年に127量子ビットのEagleをリリースすることを示していたが、それを実現した。2019年の27量子ビット「Falcon」プロセッサ、2020年の65量子ビット「Hummingbird」プロセッサに続くマイルストーンである。2022年には433量子ビットの「Osprey」、2023年には1121量子ビットという1000量子ビット超えの「Condor」を計画している。

 

IBMの量子コンピューティング・ロードマップ
IBMの量子コンピューティング・ロードマップ

 

今回発表されたEagleは、Falconから採用しているレイアウトをベースに、アーキテクチャを一新させたプロセッサ。それに、Hummingbird(リリース2)で搭載した「読み出し多重化機能」の採用により、エラーの発生を低減させ、冷却装置内の機器や配線の量を大幅に削減することを実現した。この多階層配線やコンポーネントのパッケージング技術は、「2021年のCondorを可能にする技術」と、IBMは強調している。

IBMの127量子ビット・プロセッサ「Eagle」
IBMの127量子ビット・プロセッサ「Eagle」

IBM Quantum System Twoはスケーラブルなモジュラー構造 

Eagleの発表にあわせて、IBMは「将来の量子コンピュータシステムのコンセプト」として「IBM Quantum System Two」(以下、System Two)を発表した。前身の「IBM Quantum System One」は2019年に発表され、現在、米国・ドイツ・日本において稼働中。近い将来、韓国にも導入される予定である。

System Twoは、スケーラブルはモジュラー構造で、冷却器や量子プロセッサを効率よく相互に近接でき、大規模な量子コンピュータを柔軟に構成することができる。これにより、大規模な量子コンピュータ・システムが「1つの量子データセンターにようになる」という。プレビュー動画はYouTubeで公開されている(IBM Quantum System Two: Design Sneak Previe)。

 

IBM Quantum System Twoのイメージ
IBM Quantum System Twoのイメージ

 

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