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コロナ禍で変わる消費行動|ハイブリッド化、目的志向化、サステナブル重視 ~IBM・NRFが調査/分析レポート「Consumers want it all(消費者はすべてを求めている)」を発表

 

IBMのシンクタンクであるIBM Institute for Business Value(IBV)は、全米小売業協会(National Retail Federation:NRF)と共同で、コロナ禍における消費者の購買行動を調査・分析した報告書「Consumers want it all(消費者はすべてを求めている)」を発表した。

2021年9月に日本を含む世界28カ国の多様な年代の消費者を対象に実施した調査で、回答者数は1万9100人。日本からは約1500人(8%)が回答した。

購買対象としたのは、食料品、パーソナルケア・美容、靴・アパレル、家庭用品など。各商品カテゴリーの購買について、年齢層別、収入別、購買習慣別に回答を分析した。

世代は、1946年~1964年生まれの「ベビーブーマー」、1965年~1979年生まれのX世代」、1980年~1994年生まれの「ミレニアル世代」、1995年~2003年生まれの「Z世代」の4タイプ。

レポートは、「(コロナ禍の中)過去2年間の大半を“バーチャルファースト”の世界で過ごしてきた消費者は、今やデジタルツールをショッピング体験に不可欠なものと考えている。そのため店舗がデジタル化され、ブランドや小売業者がフィジカルチャネルとデジタルチャネルを融合したハイブリッド・ショッピング体験をサポートすることを期待している」と述べている。

そして、「消費者はもはや、オンラインとオフラインのショッピングを別個の体験とは考えておらず、すべてが常につながっていることを期待している。ある時は速くて効率的、ある時は豊かで体験的、そして常に簡単で直感的な購買体験の提供を、小売業者やブランドに求めている」と指摘している。

調査結果としてレポートは、次の4点を挙げている。

❶ 購買方法は1つではない

消費者は、デジタルと対面のチャネルを組み合わせて独自のショッピング体験を構築しており、Z世代の3分の1以上が主にハイブリッド・ショッピングを選択している。

❷ 店舗は依然として不可欠である

店舗はもはやデフォルトのショッピングチャネルではないが、72%の消費者は主要な購入方法の一部として店舗を利用している。

❸ 消費者は目的を持って行動している

目的を持って行動している消費者は、自分の価値観にどれだけ合致しているかを基準に商品やブランドを選択しており、消費者の中でも最大のセグメント(44%)となっている。

❹ 消費者は持続可能性を重視する

半数の消費者が、持続可能性(サステイナブル)のためにプレミアムを支払ってもよいと考えている。しかし実際にサステイナブル製品を購入したのは3人に1人以下で、意図と行動の間にはギャップがあることが浮き彫りになった。

以下、レポートのハイライトを紹介しよう。

ハイブリッド購買の台頭

消費者は、フィジカルチャネルとデジタルチャネルをミックスして利用し、カスタムメイドの体験を増加させている。

 

ハイブリッド購買の台頭  資料:IBV *日本語訳は編集部
ハイブリッド購買の台頭  資料:IBV *日本語訳は編集部

 

分断されたショッピング行動

消費者が商品を知る場所、検討する場所、購買する場所は同じではない。

 

分断されたショッピング行動  資料:IBV *日本語訳は編集部
分断されたショッピング行動  資料:IBV *日本語訳は編集部

 

目的志向型消費者の増加

目的志向型消費者は、価値志向型消費者を抜いて、最大のセグメントである。

目的志向型消費者(44%)とは、自分の価値観に合致し、健康やウェルネスに役立つ製品やブランドを求め、環境への影響を軽減するためには購買習慣を変えることも厭わず、持続可能性やリサイクルにも関心がある層。

この目的意識の高い消費者の58%が、最近、友人や家族に新しいブランドや小売店を紹介しており、「目的意識の高い消費者の価値観に製品がいかに合致しているかを示すことは、ブランドにとって有益で長期的な関係を築くことにつながる」と、レポートは指摘している。

 *価値主導型消費者とは、価値や利便性、生活を簡素化する製品やサービスを求め、環境への悪影響を減らすために購買習慣を変えることにはあまり興味がない層。

 

目的志向型消費者と価値主導型消費者の行動  資料:IBV *日本語訳は編集部
目的志向型消費者と価値主導型消費者の行動  資料:IBV *日本語訳は編集部

 

報告書「Consumers want it all」(英語)
https://www.ibm.com/downloads/cas/YZYLMLEV

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