06 IBM i の印刷機能

2つのLAN接続形式
Telnet5250とプリンタ・セッション

一般には業務システムでのデータ出力形態として、PDF出力など帳票の電子化が進んでいる。IBM i でもさまざまなソフトウェアベンダーが提供しているプリンティング・ソリューションに対してデータを連携し、電子的・物理的に出力するケースが増えている。しかし、納品書や請求書などプリンタを用いて物理的に帳票印刷する業務は依然多く、IBM i から紙に出力するニーズは今も根強い。

 以下に、IBM i から紙の印刷物を出力する機能について説明する。

 IBM i 印刷環境としてのプリンタ接続形態は、図表1のようにいくつかの種類がある。

 

図表1 画像をクリックすると拡大します】

 

 以前は、「Twinax接続」と呼ばれる同軸ケーブルを用いた接続が多く用いられていた。ただし現行のPower Systemsでは、Twinax接続をサポートするアダプタがサポートされないので、今は古い機種でのみ使用される接続形態になっている。

 現在はTwinax接続に代わり、LAN接続が主流である。LAN接続プリンタには、接続形式として大きく分けて以下の2つがある。

 1つは、「Telnet5250形式」と呼ばれる接続形態である。5400や5577といったTelnet5250接続がサポートされているインパクト・プリンタを、直接IBM i に接続する。

 もう1つは「プリンタ・セッション形式」と呼ばれる機能を仲介した接続形態である。Telnet5250接続は、プリンタとしてTelnet5250をサポートしていることが条件となるが、レーザー・プリンタや複合機などでは、Telnet5250をサポートしていない機種も多い。そうしたプリンタに対してIBM i からプリンタ出力したい場合には、プリンタをPCに接続し、PCから利用できるように設定したうえで、PC端末上に構成した5250プリンタ・セッション定義を経由して出力する。

 そのほか、複合機など比較的高機能なプリンタが備えている「IPDS形式」と呼ばれる接続形態も存在する。

 大量印刷出力を行うような拠点ではインパクト・プリンタをTelnet5250で接続しつつ、その他の拠点ではPC端末にプリンタ・セッションを定義して、拠点に設置されているレーザー・プリンタで出力するといった、前者2つを組み合わせたケースが多い。

 

IBM i からプリンタ
出力を実行する流れ

 IBM i では、プリンタを「印刷装置記述」と呼ばれる装置記述で認識する。図表2のようにTelnet5250やIPDSであれば、接続したプリンタそのものを印刷装置記述として認識するが、プリンタ・セッションの場合、IBM i からはプリンタ・セッションが装置記述として認識される。プリンタ・セッションより先のPCに接続されたプリンタは、IBM i からは見えない。

 

図表2 画像をクリックすると拡大します】

 

 IBM i では、OSの機器自動構成機能をオン(デフォルトではオンになっている)にしておくと、自身に接続してきたプリンタを自動判別し、適切な設定の印刷装置記述を自動的に作成する。また自動作成であれ、手動作成であれ、印刷装置記述が作成されると、その装置記述に紐付く出力待ち行列が自動的に作成される。

 作成した印刷装置記述や出力待ち行列を利用して、IBM i から実際にプリンタに出力する場合、基本的には以下の流れに沿って出力が実行される(図表3)

 

図表3 画像をクリックすると拡大します】

 

①プログラムから印刷装置ファイル (*PRTF) に対して印刷データを書き出す(印刷装置ファイルは、帳票定義と考えればよい)。

②印刷データの書き出しは、スプール出力としてジョブに指定された出力待ち行列で実行される。

③自身がモニターしている出力待ち行列にスプール出力が作られると、「プリント・ライター・ジョブ」と呼ばれる印刷装置記述に紐付くジョブが、スプール出力を出力待ち行列から取り出し、プリンタに対して書き出し要求として送る。

④プリンタから出力される。

IFS上のファイルとして

出力する機能もサポート

 ここまで物理的な印刷出力環境について簡単に述べたが、IBM iでは印刷出力をIFS上のファイルとして出力する機能もサポートしている。その機能は以下のように、大きく分けて2つある。

 1つは、「5770TS1」と呼ばれるOS提供のライセンス・プログラムを利用したPDFファイルとしての出力機能である。システム系のスプール出力を、PDFファイルに簡便に出力したい場合などに利用できる。

 もう1つは、スプール出力をテキストファイルとしてダウンロードする機能である。これには、「IBM i Navigator」や「IBM Navigator for i」を使用する。IBM i Navigatorの場合は、PC上にスプール出力をドラッグ&ドロップでテキストファイルとしてダウンロードできる。またIBM Navigator for i では、スプール出力のメニューからエクスポートを選択することでダウンロードできる。

 5770TS1によるPDF出力、テキストファイルのダウンロード機能はいずれも、業務用途のスプール出力 (罫線データを配置するなど)を高精度のPDFファイルとするには不向きだが、ジョブ・ログをサポートに提供したい場合などに活用できる機能なので、覚えておくと便利である。

 なお冒頭で述べたとおり、業務用途の帳票出力を電子化したい場合には、さまざまなソフトウェアベンダーからソリューションが提供されているので検討するとよい。 【中村陽一】