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07 IBM iの保管と復元

by kusui

システムのバックアップ戦略(何を、いつ、どこに、どのように、いつまで、など)を立案し、実装することは事業継続のうえで非常に重要である。

IBM i では、そのようなユーザーの戦略に基づいて、システムの一部および全体を保管・復元するために使用できるコマンドやメニュー・オプションが標準で提供されている。

保管メニュー

IBM i にはシステムを階層化し、特定の用途もしくは特定の種別のオブジェクト群を一括で保管するためのメニューが存在する(図表1)

 

図表1 画像をクリックすると拡大します】

 

ここで表示される各オプションには、システム上の個別オブジェクトを保管する「オプション20」のほか、システム全体を保管する「オプション21」、システムデータを保管する「オプション22」、ユーザーデータを保管する「オプション23」が存在する(図表2)

 

図表2 画像をクリックすると拡大します】

 

オプション21〜23を利用する場合、使用中のシステムが制限状態になっている必要がある。つまり、他のユーザーがシステムにアクセスできないようにして、 バックアップのためのジョブだけがそのシステム上で実行されている状態にしなければならない。

CLコマンド

保管メニューにおける各オプションには、相対するCLコマンドが用意されている。システム内で区分けされたカテゴリ単位や、それらに変更が加わる頻度を鑑みて、日次・月次・年次などのバックアップを計画する際に、これらのコマンドを組み合わせることで要件に応じたバックアップ・プログラムを容易に作成できる。また、各保管コマンドには対応する復元コマンドが用意されている(図表3)

 

図表3 画像をクリックすると拡大します】

 

以下に、保管用CLコマンドの一部について解説する。

SAVSYS:ライセンス内部コードを含むシステムのコアな部分を保管するためのコマンドである。取得するにはシステムを制限状態にする必要がある。

SAVSECDTA:ユーザー・プロファイルや権限情報を保管するためのコマンドである。

SAVLIB:ライブラリーを保管するためのコマンドである。保管対象の指定方法として、個別名称や総称を利用したライブラリー名単位のほかに、特殊値として*NONSYSや*ALLUSRを指定できる。

SAV:IBM i が提供するUNIX互換領域であるIFS上のディレクトリやストリーム・ファイルを保管するためのコマンドである。

次に、IBM i のバックアップの保管先として提供されている装置や機能を紹介する。

テープ装置

テープ装置は、過去から現在に至るまで最も一般的なバックアップの保管先である。テープ装置と聞くと、古くさいイメージを抱くかもしれないが、Power Systemsの進化とともに、テープ装置は高速化や大容量化が目覚ましく発展している。テープ装置自体も、単一ドライブからオートローダーを搭載した大規模テープ・ライブラリー装置まで、幅広いラインナップが提供されており、ユーザーの要件に沿った装置を選択できる。

SAVF

IBM i のディスクスペースに余裕があれば、ライブラリーやオブジェクトのバックアップの保管先として、SAVFに保管できる。

SAVFとは、保管ファイル(SAVE FILE)の通称であり、Windowsシステムのzipファイル、UNIXシステムのtarファイルに相当する。ライブラリーやオブジェクトを保管したSAVFをPCへ転送したり、異なるIBM i 間で送受信することが可能であり、他システムにオブジェクトやデータを復元する際の媒介資源にできる。

ライブラリーをSAVFに保管する際の制約としては、単一のライブラリーしか指定できない点が挙げられる。またSAVSYSはSAVFに保管できないので、SAVF以外の保管媒体を指定する必要がある。

仮想テープ装置

保管先としてディスク資源を選択する場合には、IBM i が提供する仮想テープ技術を利用できる。機器の故障やテープ媒体のエラーといった物理的な機器の障害を排除できると同時に、操作や機能は通常のテープ装置と同等であるため、近年は広く採用されている。

仮想テープ装置が使用する媒体の実体は、IFS上のストリーム・ファイルである。OSが提供するコマンドを経由して物理媒体に複製したり、またそのストリーム・ファイルをリモート・システムにネットワーク転送して、災害対策としても活用できる。

複数ライブラリーを指定して保管でき、SAVSYSの保管先としても利用できるなど、SAVFにおけるいくつかの制約を解消している。

IBM i 上の各オブジェクトはそれぞれ保管された日時をオブジェクト記述に保持しているので、オブジェクト記述表示(DSPOBJD)コマンドを使えば、システムがそのオブジェクトをいつ保管したか調べられる。

また特定の保管操作をすることで、データ域によって保管履歴情報を更新する機能も提供されている。たとえばGO SAVEのオプション21を実行することで、ライブラリーQUSRSYS内のデータ域QSRSAV21の内容が更新され、保管操作の日時と使用した装置に関するデータが書き込まれる。

これらの情報を活用することで、オブジェクトが保管計画の対象になっていないと判別したり、オブジェクトが使用中であるといった理由でシステムがそのオブジェクトを正常に保管できないタイミングが存在することなどを把握し、バックアップ方針の定期的な見直しに反映できる。

なおIBM i では、より計画的および戦略的なバックアップ&リストアの管理を実現する追加機能として、BRMS(Backup、Recovery & Media Services)が提供されている。BRMSを用いることで、テープ・ライブラリー装置内の複数ドライブを前提とした並列保管による保管時間の短縮化や、保管に利用した媒体の情報管理、システムを完全に回復するための指示書の出力など、さまざまな機能を利用できる。【小林 直樹】

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