事例|東京日産コンピュータシステム株式会社~「i-Print Plus」とRPAを連携させ、発注書のメール送信を自動化

 

 

COMPANY PROFILE

本 社:東京都渋谷区
設 立:1989年
資本金:8億6774万円
売上高:87億9000万円(2020年3月期)
従業員数:154名(2020年3月)
事業内容:TCSマネージドサービス、ITte(イッテ)、各種ソリューションサービスを提供

https://www.tcs-net.co.jp/

 マネージドサービスカンパニーを標榜し、顧客の持続的成長を支援するベストパートナーを目指す。近年はマネージドサービスカンパニーとしての認知度向上、ロイヤリティの高い顧客関係の構築、顧客ニーズにマッチしたTCSマネージドサービスの提供を基本戦略に据えて、多彩なITサービスを展開している。
 たとえば、顧客企業の成長への次の一手を支える統合型マネージドサービス「ITte」がある。コロナ禍で在宅勤務が増加し、テレワークソリューションへの需要が高まるなか、ユーザーに対して新しい働き方を提案している。

 

i-Print Plusを採用し
レーザープリンタへ移行

 ハードウェアからソフトウェア&ソリューション、クラウドサービスまで、幅広いITサービスを提供する東京日産コンピュータシステムの経営管理本部 商品管理部では受発注処理や契約管理、在庫管理、支払い処理など膨大なバックヤード業務を担っている。

 長野尚仁部長のもと、6名のスタッフが日々、業務に忙殺されており、業務の効率化および生産性の向上はここ数年、喫緊の課題となっていた。そこで2020年度はデジタル化、RPAによる自動化、電子契約サービスの導入という3つの柱で、積極的に業務改善を推進してきた。

 そのなかで大きな効果を上げた取り組みの1つが、基幹システムから出力する帳票印刷業務の改善である。その経緯と内容を以下に詳しく見てみよう。

 同社ではIBM i上で稼働する基幹システム「TS3000」で受発注、契約処理、在庫管理、支払いなど一連の業務を処理している。請求書や発注書など多数の帳票を出力する必要のある商品管理部では、専用ドットプリンタである5577を使って複写式連続帳票に印刷していた。

 しかし5577はすでにサポートを終了し、後継機の販売も終了している。プリンタに障害が発生すると業務への影響が大きいため、一刻も早い代替手段の導入が求められていた。それに加え、顧客からは連続帳票サイズは扱いづらいため、一般的なビジネスサイズであるA4帳票が要望されていたこと、ドットプリンタでは印字品質に限界があること、複写式連続帳票にかかるコストを削減することなど、いくつかの課題が指摘されていた。

 そこで商品管理部では帳票環境の改善を図ることで、これらの課題を解決するとともに、業務の効率化につなげようと考えた。

 帳票業務を刷新する中核ツールとして同部が注目したのは、IBM iの基幹データを対象にしたプリンティングソリューション「i-Print Plus」(イグアス)である。

 i-Print Plusは独自のプリンタセッション(TN5252E)を備えており、OUTQを監視して、スプールファイルが生成されるとすぐにi-Print Plusにデータを取り込む。さらにスプールファイルから必要なデータを抽出し、作成した印刷フォームにオーバーレイを実行。そしてレーザープリンタや複合機などのオフィスプリンタへ印刷する。独自の帳票設計ツールにより簡単な操作で帳票をデザインできるほか、基幹システム側のプログラム追加が不要といったメリットがある(図表1)。

 

 商品管理部で試算したところ、i-Print Plusを導入してドットプリンタからレーザープリンタに移行すれば、用紙代だけでも年間で約10分の1に削減でき、サプライ用品、保守費用、作業工数なども勘案すると、ライセンス費用はほぼ1年で相殺できると判断した。そこで2020年3月末に導入を正式決定したのである。

 

ドットプリンタを利用する
他部署への展開も可能

 i-Print Plusはプリンタセッションを搭載するので、各端末にインストールする。ライセンス料には基本ライセンスに、印刷を実行する10クライントライセンスと、帳票設計用の1ライセンスが含まれている。

 帳票設計とオーバーレイ用のファイル定義作業を担当したのは、同部の武田奈津美担当課長である。

 3月末に導入決定したものの、新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言の発出により在宅勤務が続いたため、イグアスからオンサイトトレーニングを受けられたのは7月に入ってからであった。

 それから約2カ月間、通常業務と並行しながら請求書、出荷指示書、発注書などの帳票設計と定義ファイル作成に取り組んだ。検証作業を経たのち、新しい印刷環境の利用がスタートしたのは2020年9月のことである。

「私はまったくシステム開発の経験はなく、帳票設計は初めての試みでしたが、設計そのものはスムーズに進められました。基幹データの抽出やオーバーレイに関しては少し戸惑う部分があったものの、イグアスからのレスポンスのよいサポートを受けられたので、問題なく解決できました」(武田氏)

武田 奈津美氏
経営管理本部 商品管理部
担当課長

 

 i-Print Plusを活用した印刷環境は業務の効率化、専用帳票のコスト削減、障害発生時の保守体制の確立など、当初計画したとおりの導入効果が確認できた。ちなみに印刷スピードはドットプリンタに比べて格段に速くなり、以前は約300枚の帳票印刷に約3時間を要していたのに対し、新しい環境では15分程度に短縮されている。

「ドットプリンタを利用している他部署へも利用を拡大できるほか、近い将来に想定される電子取引の稼働時にも、ペーパレス化の手段として効果が見込めそうです」と、長野氏は語る。

 

長野 尚仁氏
経営管理本部 商品管理部
部長

PDF化とRPAにより
発注業務の改善に着手

 商品管理部の菅野宏明担当課長は、このように新たな印刷プロセスが順調に動き出したのを確認すると、さらなる改善に向けた取り組みに着手した。それはRPAツールを活用し、今までFAXで送信していた発注書をメールで取引先へ自動送信する仕組みである。

 RPAを活用して業務の効率化を図る取り組みはその前年から、商品管理部をはじめとする全部門で動き出していた。同社では2019年10月に、全社を対象にしたRPAプロジェクトが発足している。これはAutomation AnywareとUiPathの2つのツールを利用し、RPA化による業務改善を狙いにしたトップダウン型のプロジェクトである(現在は主にAutomation Anywareを社内用、UiPathを外販用のRPAツールとして利用している)。

 RPA化に適した業務、すなわち決められた手順で繰り返し実施するような作業を多く抱える商品管理部では、プロジェクト発足以降、RPAを活用した業務改善に積極的に取り組んできた。

 商品管理部でのボット作成を担当したのは、大倉英樹担当課長(経営管理本部 人事・総務・IR部 社内システム推進)である。商品管理部の主要メンバーに大倉氏が加わり、自動化の対象となる業務をきめ細かく検討してきた。そして2020年4月以降だけでも、10個以上のボットを作成している。

 たとえば保守契約時に、対象製品のシリアル番号を基幹システムに登録する作業を自動化した。数千台単位のPC契約時には、大量のシリアル番号を1つ1つ、基幹システムへ手作業で登録しているので膨大な工数を要する。これだけでも、RPAによる工数削減効果は大きい。

 発注処理の一部を自動化しようという発想も、RPA化に取り組むこうした流れのなかから生まれたようだ。

「i-Print Plusの導入当初から、発注処理の自動化を考えていたわけではありません。新しい印刷プロセスを実際に確認することで、RPA化により、さらに業務を改善できるという手ごたえを感じました。i-Print Plus であれば帳票をPDF化できるので、プリンタで印刷して仕入れ先へFAX送信する作業を廃止し、メール配信に切り替えて、それを自動化できないかと考えました」(菅野氏)

 


菅野 宏明氏
経営管理本部 商品管理部
担当課長

 

取引先のメールアドレスを入力し
PDFを添付したメールを自動作成

 直前までの発注処理では、レーザープリンタで発注書を印刷して、そこに捺印し、仕入先へFAXしてから発注書を保管する。これがRPA化により、以下のような流れに改善された。

 まずTS3000からの発注処理をi-Print Plusが受け、捺印(データ印鑑)を施した発注書PDFを作成する。そのPDFファイルが発注書フォルダに登録されたことをトリガーにして、ボットが動き出す(図表2)。

 

 ボットはPDFに記載されている取引先の会社名と担当者名、および同社側の発注担当者名を抽出。メールアドレス用に作成されたDBのテーブルから、まず取引先担当者のメールアドレスを送信先として入力し、発注書PDFを添付したメールを自動的に作成する。それを発注担当者に送信し、確認後に取引先へ送信する仕組みである。

「メール作成と同時に取引先へ自動送信する機能までをすべて自動化することが可能でしたが、送信前に担当者によるチェックが必要との判断で、あえてそこまでは自動化しませんでした」(大倉氏)


大倉 英樹氏
経営管理本部 人事・総務・IR部
社内システム推進
担当課長

 

 ボットの検討から作成まで約1カ月。この新しい発注処理の仕組みが動きだしたのは2020年10月である。

 RPAによる発注処理の改善効果としては、FAX通信コストの削減、印刷の廃止によるペーパレス化や用紙代の削減、作業工数の削減などが挙げられる。ちなみに1件の注文書に対する印刷、捺印、FAX送信・保管といった手作業での工数は約100~120秒であったが、メール送信の自動化により、その工数は約半分に短縮されている。

 またメール送信により発注処理の可視化も実現した。FAXによる送信は、送信履歴(発注履歴)が残らず、部内での発注情報の共有も進まない。しかしメール送信することで、そうした履歴が残せるようになる。

「さらに発注処理がリモートでも可能になりました。プリンタやFAXを使わず、すべてオンラインで処理できます。コロナ禍で在宅勤務が増えるなか、業務の場所を選ばず、会社にいなくても発注処理が行えるようになった効果は非常に大きいと評価しています」(長野氏)

 商品管理部の業務改善への取り組みは、これからも続いていくようだ。

 

[i Magazine 2021 Winter(2021年1月)掲載]

 

 

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