モノリシックなアプリケーションを
MACHアーキテクチャへ変換
ランサ・ジャパンは今年4月、モノリシックなLANSAアプリケーションを、MACHアーキテクチャを備えた最新アプリケーションに変換するAI開発ツール「LAiR」(レイヤー)をリリースした。
MACHは、マイクロサービス、API、クラウドネイティブ、ヘッドレスの頭文字で表現される設計思想で、システムの機能を自由に組み合わせて変化に強く柔軟なシステムの構築を目指す。ちなみにヘッドレスは、フロントエンドとバックエンドを分離し、APIで連携する構成を指す。
直近5年ほどに開発を進めてきたLANSAユーザーは、LANSAの最新開発言語であるRDMLXを使用したVLWebアプリケーションを運用している。
しかしLANSA発表当初から、LANSAの従来言語であるRDMLを使ってアプリケーションを設計・開発・運用しているユーザーもまだ多い。このころに設計・開発されたアプリケーションはいわゆるモノリシックな構造を備えており、UIやUXだけでなく、データベースアクセスや業務ロジック、画面がすべて1つのプログラムに混在している。アプリケーションの構造上、柔軟性に欠け、新しい環境への適応性も低い。
そこで生成AIを活用して、こうしたモノリシックなアプリケーションをMACHアーキテクチャへ変換するリファクタリングツールとして登場したのが、LAiRである。
米国のLANSA社ではユーザーに対して、自らSIサービスを手掛けている。LAiRはそうした経験とスキルから生まれており、米国ではLAiRをSIサービスの一環として提供してきたが、ランサ・ジャパンではビジネスパートナーを経由して、デスクトップアプリケーションとして提供していく予定である。
分析・変換を中心に
LAiRが提供する3つの機能
LAiRは、RDML言語で書かれたアプリケーションを、RDMLX言語へリファクタリングするツールである。LANSA/ADで作成された5250アプリケーションや、Functionで作られたWebアプリケーションをRDMLXに変換して、REST APIを生成することも可能である。
LAiRは、大きく3つの機能を備えている。すなわち「モノリシックコードの分析」「コードのリファクタリング」「プログラムのステージング」の3つである。つまり既存プログラムの分析・変換機能を備えるわけだ。以下に、1つずつ見ていこう。
モノリシックコードの分析は文字どおり、既存プログラムについて、画面、テーブル、サブルーチンなどの数を算出し、それらのコードを解説・図解して、リファクタリングに要するコストを算出する(図表1、図表2)。


分析対象のソースファイルは、あらかじめVisual LANSAでGitリポジトリに保管しておく。LAiRは対象ソースファイルの目的、データの流れ、入力コードの潜在的な問題点などを指摘する。そしてこのソースファイルを、RDMLXコンポーネントに変換するのに必要な生成AIの費用やトークン数を見積もる。
分析したソースファイルは再度、Gitのリポジトリに格納される。ここでAIアシスタントを呼び出し、これらの内容に対して、質問することも可能である。ここでのAIアシスタントは、リポジトリに格納されたソースコードだけを対象に回答するので、回答精度は高くなる。またMermaid(マーメイド)というツールを使って、コンポーネントの関係図を描くことも可能である(図表3)。

次にコードのリファクタリングである。ここではまず、対象となるRDML言語のプログラムをどのような形で変換したいかを指定する。たとえばWebのUIだったり、APIサービスだったり、双方の組み合わせだったりという指定である。
変換したいソースファイルを選んだら、実際にRDMLX言語によるソースコードに変換・生成かつ評価する。
変換されたRDMLXのソースファイルは再び、Gitのリポジトリに格納され、変換成功の有無、要した生成AIの費用なども表示される。またここでもAIアシスタントを使用して、このリポジトリ内の状況について質問できる。
そしてプログラムのステージング、つまり実装に向けた準備を整える。変換が終了したファイルのソースは、Visual LANSAのエディタから確認でき、自動もしくは手動でコンパイルすることにより、アプリケーションとして稼働させる(図表4)。

今後に向けた
LAiRのロードマップを整備
同社では、LAiRにより、たとえば2000行規模のモノリシックなLANSAプログラムを、わずか数秒でAPIに変換できるとの試算を得ている。
LAiRの利用対象は、RDMLで開発してきたモノリシックなアプリケーションの構造を最新化したいといったモダナイゼーション案件を抱えるLANSAユーザーである。ただし実際には、数百本から数千本のLANSAプログラムが稼働しているような大規模システム、スケールの大きな環境でこそ、最も効果を発揮すると見ているようだ(図表5)。

今後に向けたLAiRのロードマップも描かれている。
近い将来には、生成されたAPIに対応するReactやVue(DevOps、CI/CD、Docker、クラウドなどを前提に設計されている)などのフロントエンドコードも自動生成する予定である。
また、まずLANSA言語に対応した以降は、RPGやCOBOLなど他のレガシー言語への対応も検討している。
前述したとおり、米国ではLAiRをSIサービスの一環として提供してきた。これに対して国内ではLAiRをデスクトップアプリケーションとして提供していくが、今後はクラウドサービスとしての提供も計画しているという。
当面は同社のビジネスパートナーを経由して、ユーザーのDXやモダナイゼーションを支援していく計画である。
LANSAが開発業務へ本格的に生成AIを取り込んだ第1弾となるLAiR。その機能性に注目が集まる。
[i Magazine 2026 Autumn掲載]







