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「オープンソースの新しい地平」を示す年次報告書「Annual Report 2021」をLinux Foundationが発表 ~750以上のオープンソース・プロジェクト・コミュニティをサポート中

 

Linux Foundationは12月9日、「オープンソースの新しい地平」(New Horizons for Open Source)と題する年次報告書「Annual Report 2021」を発表した。全87ページ。

今年は、リーナス・トーバルス氏がLinuxを一般公開(1991年)してから30年目にあたる節目の年。この30年間にLinuxは、オンプレミスからクラウド、スマートフォン、スーパーコンピュータなどいたるところで利用され、地球外の火星でも科学的発見に貢献するようになっている。Linuxのためにコードを提供してきた開発者は5万5000人以上、現在、地球上の54億人以上がLinuxを利用しているという。

 

 

Linux Foundationは近年、さまざまなオープンソース・プロジェクトの支援やイベント、トレーニング、認定資格などのサポートを拡大してきたが、レポートでは、「新たな地平を目指す取り組みを始めた」と次のように記している。

「2021年、Linux Foundationは、新しい開発者へのアプローチ、大小のコミュニティへの貢献、コミュニティプラットフォームの立ち上げ、新しい研究部門の立ち上げ、トレーニングの拡大、対面イベントの再開など、新たな地平を目指す取り組みをスタートさせています」

Linux Foundationは現在750以上のオープンソース・プロジェクト・コミュニティをサポート中で、これらのプロジェクト全体では1900人を超えるメンバーと数十万人の開発者が活動しているという。

 

「技術分野」の内訳(左円)と「取り組みの種別(標準化・オープンデータ・ハードウェア)」(右円)
「技術分野」の内訳(左円)と「取り組みの種別」(右円)

 

「Annual Report 2021」では、「コミュニティ・ハイライト」として、次のプロジェクトの活動概要を紹介している。

・Cloud Native Computing Foundation
・Open Source Summit
・Open Source Security Foundation
・Internet Security Research Group
・AGSTACK
・Academy Software Foundation
・Open 3D Foundation
・Open Voice Network
・Automotive Grade Linux

またさらに新しい地平として、5G、政府機関向けネットワーク、モバイルネットワーク(Magma)、NGMN、APIの各分野での取り組みにもページを割いている。

2021年は、Linux Foundationにとってダイバーシティやインクルージョンへの取り組みを強化した年でもあったようだ。レポートでは、「2021年には、包括性、人種的公正、多様性のための新しいプログラムを導入し、既存のプログラムを発展させることで、表に出てこない人々や周縁化された人々にポジティブな変化をもたらすためのコミットメントを継続しました」と述べている。

 

オープンテクノロジーコミュニティへの貢献と参加が継続的に増加している
オープンテクノロジーコミュニティへの貢献と参加が継続的に増加している

 

調査研究レポート「Open Source Diversity, Equity,and Inclusion Study」の発表や、インクルーシブ言語の取り組み、「ソフトウェア開発者の多様性とインクルージョンプロジェクト」の推進、RISC-Vプロジェクトで女性や社会的弱者の参加をうながす「オープン・ハードウェア・ダイバーシティ・アライアンス」などの取り組みを進めた。

そのほか希少疾病の治療のための「Rare Camp」「Open Treatment Foundation」や脱炭素化のための「Green Software Foundation」なども紹介されている。

「Annual Report 2021」は、オープンソースの威力と社会的影響力の広がり大きさを知るうえでも格好の資料と言えそうだ。

・「Annual Report 2021」(英語版)
https://linuxfoundation.org/tools/linux-foundation-annual-report-2021/

 

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