MENU

Product|ローコード開発ツール「Valence App Builder」が 新機能「Fusion5250」を搭載

最新Webアプリケーションと
5250エミュレータをシームレスに融合

株式会社ミガロ. https://www.migaro.co.jp/

 

ローコード開発を実現する
「Valence」に新バージョン登場


 2019年10月、ミガロ.が提供する「Valence(バレンス)」に、最新バージョン「5.2+」がリリースされた。


 Valenceは、IBM iをWeb環境で活用するモダナイゼーションツールである。開発ツール「Valence App Builder」と、運用ツール「Valenceユーティリティ」、そして両者に共通する「Valenceポータル」の3つで構成されている(図表1)


 Valence App Builderの最大の特徴は、IBM iのWebアプリケーションを超高速に開発するローコード開発環境を提供することにある。ウィザードを活用したシンプルな作成手法により、入力・更新・照会系アプリケーションをほぼノンコーディングで開発できる。


 作成したアプリケーションは、PCブラウザだけでなく、モバイルデバイスからも実行可能。Valenceが端末に合わせて自動的に画面を最適化するので、モバイル用のアプリケーションを別途開発する必要はない。またIBM iのデータベースだけでなく、SQL ServerやMySQLなどオープン系DBの参照も可能である。


 ウィジェットを使用した開発は、(1)データソースの作成、(2)ウィジェットの作成、(3)アプリケーションの作成という3ステップで実行する。


 (1)では、アプリケーションで利用するデータファイルを選択する。(2)では、データソースを元に、表示・編集する部品(ウィジェット)を定義する。(3)では、ウィジェットを画面上に配置・構成して、アプリケーションを作成する。


 ステップはこれだけで、プログラミングする部分はまったくない。簡単なアプリケーションであれば、ものの数分で完成できるシンプルさが、Valenceの最大の強みである。


 またValenceユーティリティは、ジョブの管理、Db2 for iの閲覧・編集、スプールファイルの確認など、IBM iの開発・運用に必要な機能を、IBM iのコマンドを使うことなく、ビジュアルな画面で利用できる管理ツールである。ブラウザやスマートデバイスなどからIBM iの運用管理をサポートする「iAdmin」、Db2 for iのデータベースをブラウザから直接編集する「File Editor」、OUTQおよびスプールファイルを閲覧する「Spool Viewer」で構成されている。


 Valence App Builder、Valenceユーティリティはともに、IBM i標準のHTTP Serverを使用するので、WindowsサーバーやWebSphere Application Serverなどは一切不要である。IBM iのみで環境構築が可能であり、開発者もユーザーもすべてブラウザでアクセスできる。


「Fusion5250」は
新旧のアプリをシームレスに融合


 最新バージョン5.2+で注目される新機能は、「Fusion5250」である。この機能は、Fusionという名前が示すとおり、Valenceで開発した最新のWebアプリケーションと、旧来の5250アプリケーションのシームレスな融合を狙いにしている。


 Fusion5250では、Valenceのブラウザ画面のなかで、IBM i Access Client Solutions(ACS)などと同様の5250エミュレータを起動できる。IBM iユーザーにはお馴染みの黒画面、従来のグリーンスクリーン形式でそのまま表示するのに加え、80桁だけでなく130桁の表示にも対応し、罫線も表示できる。さらにValenceテーマを使用したホワイトスクリーンでの表示も可能である(図表2)

 


 こうした機能は、いわゆる5250画面のGUI化/Web化を目的にサポートされているのではない。Valenceアプリケーションのなかから5250画面を呼び出して、まるで1つのアプリケーションであるかのように利用する場合、ValenceのWeb画面と従来の5250画面との違和感を解消するのが狙いである。5250画面をValenceテーマのホワイトスクリーン画面で利用すれば、Web画面に溶け込み、ユーザーは大きな違いを感じずに運用できる。


 このようにFusion5250の最大の狙いは、IBM iの既存資産を最大限に活用し、融合させながら、Webアプリケーションへと進化させていくことにある。


 Valence App Builderではポータル上に登録されたウィジェットの1つとして5250画面を呼び出したり(図表3)、Valenceアプリケーションから直接呼び出すなどの連携が可能となる。


 たとえば5250エミュレータ上の操作(コマンド入力)をマクロとして登録すれば、Valenceポータルのアイコン(ウィジェット)をクリックするだけで、自動的にIBM iへアサインし、WRKACTJOBコマンドを実行できる。


 あるいはValenceの一覧画面から、既存の5250画面に遷移させることも可能である。たとえばValence App Builderで開発したWebアプリケーションで選択した社員IDをキーにマクロを実行して、RPGアプリケーションを呼び出す(図表4)。5250アプリケーションとValenceアプリケーションのシームレスな運用が実現するわけである。


 Valence App Builderで照会系のWebアプリケーションを高速開発し、入力系は従来のRPGアプリケーションをそのまま活かして、Valence側から呼び出してもいい。5250画面をホワイトスクリーンに代えれば、シームレスに新・旧のアプリケーションを利用できる。既存資産を活かしつつ、新しいアプリケーションへと移行するモダナイゼーションが実現することになる。


 新旧の融合という視点で、Valenceによるモダナイゼーションに着手してはどうだろうか。

 

[i Magazine 2019 Winter掲載]

 

新着