チャットだけではないチャットツールのもう1つの活用法 ~オンプレミスに導入可能なRocket.ChatでIBM iとの連携システムを実現

チャットの入力文字を
プログラム起動の命令と捉える

2020年の新型コロナの感染拡大以降、在宅勤務やリモートワークへの切り替えが進み、ビデオ会議やチャットの利用が急速に拡大した。今やビジネスコミュニケーションの1つの形態としてすっかり定着したと言えるだろう。

しかしながら、コミュニケーションのために新たなツールを導入するのは困難と考えるユーザーも少なくないようだ。

日本オフィス・システムの松木啓輔氏(ソリューション営業本部 ソリューションセールス)は、「チャットやビデオ会議サービスをコミュニケーションの目的だけで導入するのは、コストだけでなく管理工数も増えるので導入を躊躇されるお客様が多くおられます。また、クラウド型のサービスではデータを外部に投稿することになるため、その懸念もあります。そもそもチャットを業務のなかで何に使うのかイメージが湧かないというお客様も少なくありません」と話す。 

そこでRocket.Chatを販売する日本オフィス・システムとRocket.ChatおよびAutoMate(RPAツール)を提供する三和コムテック、およびSIerのアプサの3社がタッグを組んで開発したのが、「Rocket.ChatからIBM iを利用するデモシステム」である。

「チャットの入力文字を人へのメッセージと捉えるのではなく、プログラムを起動するための命令と捉えて構成したシステムです。チャットに限らないRocket.Chatの多様な使い方と可能性をご紹介する目的で開発しました」と、松木氏は述べる。

Rocket.Chatは、ビジネスコミュニケーション用の多様な機能をオールインワンで備えるツール。1対1またはグループ向けのチャット機能のほかに、ビデオ会議、ライブストリーム、チャットボット、画面共有、ファイルアップロードなどの機能があり、監査機能なども搭載する。

LINEやSlackなどのチャットツールとの違いは、それらがクラウドサービスであるのに対して、Rocket.Chatはクラウドにもオンプレミスにも導入できる点である。さらに、他システムとの連携やAPIなどを自由に開発できる柔軟さも大きな特徴だ。

AutoMateを介して
基幹システムを利用する

今回構築したデモシステムは、次のような仕組みである(図表1)。

①ユーザーがPC・スマートデバイス上のRocket.Chat画面にメッセージ(文字)を入力

②サーバー上のRocket.Chatがメッセージを受信してbotを起動。botはRESTful APIで別サーバー上のAutoMateにメッセージを送信

③AutoMateは受信したメッセージをトリガーにしてIBM i上の在庫照会プログラムを起動し、処理を実行(オンプレミスのIBM iにアクセスしてエミュレータ画面を開き、プログラムを実行)

④IBM iは③の入力に基づき処理を行い、結果をAutoMateへ送信

⑤AutoMateは受信した処理結果をWebhook形式でRocket.Chatサーバーへ送信

⑥Rocket.ChatサーバーはそれをクライアントのRocket.Chat画面へ送信

⑦Rocket.Chatのクライアント画面で表示

Rocket.Chat~AutoMate~IBM iによる基幹システム連携ー1
図表1 Rocket.Chat~AutoMate~IBM iによる基幹システム連携-1

 

このシステムの構築を担当したアプサの畠野博夫氏(取締役、ICTサービス部)は、この仕組みを「2日間で構築した」と話す。

「システムの仕様を固めるのに1週間ほどかかりましたが、実装は2日間で終えています。Rocket.Chatはメッセージの入力や検索、操作ボタンなどの必要な機能が揃っているのでほぼ設定だけで済み、AutoMate側もIBM iで処理する在庫照会の手順をドラッグ&ドロップで組んでいくだけなので、想像以上にシンプルかつスピーディに作業が進みました」と、畠野氏は感想を述べる。

また松木氏は、「今回はデモシステムということもありAWS上にRocket.Chatサーバーを設置しましたが、オンプレミスにも導入可能です。データの性質上、クラウド側へデータを出したくないというお客様には、オンプレミスへの配置をおすすめしています」と、Rocket.Chatならではの自由な配置について説明する。

今回はもう1つデモシステムを構築した。前述のシステムのバリエーションで、「スマホなどからのメッセージをその都度IBM iへ渡して処理するのではなく、メッセージをいったん加工してからAutoMateへ送信し、AutoMateとIBM iでバッチ的に処理する仕組みを開発しました。この仕組みを使うと、受注データをある程度ためてからIBM iでバッチ処理するような使い方が可能です」と、畠野氏は説明する(図表2)。

Rocket.Chat~AutoMate~IBM iによる基幹システム連携ー1
図表2 Rocket.Chat~AutoMate~IBM iによる基幹システム連携-2

 

三和コムテックでは今年に入ってから「Rocket.ChatとAutoMateのお問い合わせが増えている」という。

クラウド&サーバー事業部の加藤靖則氏(営業グループ 担当課長)は、「そのなかでも少しずつ増えているのは、リモートから操作できるRPAツールやソリューションを知りたいという内容です。在宅勤務になって、使用中のRPAツールがクラウド対応やリモート対応の機能を備えていないので困っているというのです。その点、Rocket.ChatとAutoMateはどこへでもデプロイでき柔軟に作り込みを行えるので、多様な働き方に合わせたシステム構築が可能です。今年後半は、お客様の働き方や業務の進め方の発見になるような面白いユースケースや事例を作っていきたいと考えています」と抱負を語っている。

[i Magazine 2021 Summer(2021年7月掲載)]

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