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NESCO SUPER SOLUTIONからテクニゲートへ ~SuperStreamを共通項に、ランドコンピュータとテクニゲートが発揮するシナジー効果とは

撮影:内田和稔
撮影:内田和稔

ランドコンピュータは2022年4月、NESCO SUPER SOLUTIONを買収し、グループへの統合を果たした。2023年1月には、NESCO SUPER SOLUTIONからテクニゲートへと社名を変更し、新たな船出を図っている。総合SIerとしてオープン系での豊富な開発実績を誇るとともに、オープン系環境で稼働する財務会計システム「SuperStream」のコンサルティングや導入支援、アドオン開発を長く手掛けるランドコンピュータ。そしてIBM iで稼働する財務会計システムとして「SuperStream/400」の開発実績があり、IBM iユーザーの強固な顧客ベースをもつテクニゲート。両社が発揮するシナジー効果を、代表取締役社長の弘長勇氏と、取締役 システム本部長の中村康成氏に聞く。

弘長 勇氏

株式会社テクニゲート
代表取締役社長

 

 

 

中村 康成氏

株式会社テクニゲート
取締役 システム本部長

 

 

 

ランドコンピュータが
NESCO SUPER SOLUTIONを買収

i Magazine(以下、i Mag) ランドコンピュータによるNESCO SUPER SOLUTIONの買収の狙い、その背景を教えてください。

弘長 まずは、ランドコンピュータのことからお話ししましょう。1971年に日本コンピュータ学院のIT部門が分離独立する形で、株式会社日本コンピュータ学院研究所を設立し、同年6月に社名を現在の株式会社ランドコンピュータに改名しました。ランドコンピュータは創業から50年の歴史を誇り、2018年には東京証券取引所 市場第一部に上場を果たしています。

ランドコンピュータのサービスラインは、大きく3つあります。まずは従来型の「システムインテグレーション」で、金融、流通、公共、医療など幅広い業種分野で、エンドユーザーや国内メーカー、大手システムインテグレータからの受託開発を中心にSIビジネスを展開しています。これが売上の約60%を占める中核事業です。

次がサーバーの導入やネットワークの構築、データベース、アプリケーション基盤などのシステムインフラを構築する「インフラソリューション」で、売上の約20%を占めています。

そして今後の成長分野の柱に位置付けているのが、パッケージ製品の導入支援、カスタマイズ、アドオン開発、保守・運用までをトータルサービスとしてご提供する「パッケージベースSI&サービス」です。

またオープン系環境で稼働して、財務会計や人事/給与業務を支援する「SuperStream」については約25年前からコンサルティングおよび導入支援、周辺システムやアドオンの開発、カスタマイズなどのサービスを提供してきました。

中村 一方、株式会社 NESCO SUPER SOLUTIONは2008年に、株式会社ネスコのSuperStream 事業部を分離独立し、法人化することで事業を開始しています。ネスコのグループ子会社として、IBM i上で稼働する財務会計システム「SuperStream/400」を開発・販売してきました。これはSuperStreamの基本仕様にIBM iユーザーの要望やニーズを反映させた独自開発のソリューションであり、すでに700社以上のユーザーに導入されています。

弘長 ランドコンピュータでは2014年に、それまで大阪に置いていたSuperStream関連の部隊を東京に移管し、今まで以上に積極的に市場開発に取り組みました。ただし導入支援や開発などの技術面、および顧客開拓に向けた販売面の人的リソースを今後も継続的に確保する必要があり、それをどう充当していくかが大きな課題でした。また3つ目のサービスラインである「パッケージベースSI&サービス」を成長させるために、自社開発ソリューションをどう獲得していくかも重要な経営課題でした。こうした課題への解決策を探る中、ネスコとの間で、NESCO SUPER SOLUTION の買収・グループへの統合という案件が浮上しました。

i Mag ランドコンピュータにとって、NESCO SUPER SOLUTIONがもつSuperStream/400の開発力と実績、そしてその顧客ベースは魅力がありましたか。

弘長 大変に魅力的でした。ランドコンピュータはIBM iビジネスの経験がほとんどないのですが、NESCO SUPER SOLUTION が製品を提供するIBM iユーザーはとてもロイヤリティが高いと感じました。

SuperStreamに関するコンサルティングや導入支援の実績およびオープン系領域での幅広い開発力を備えるランドコンピュータと、SuperStream/400を独自に開発し、強固な顧客ベースを誇るNESCO SUPER SOLUTIONでは、それぞれの強みを活かした大きなシナジー効果が見込めると判断して、買収・統合を決定しました。2021年秋ごろに検討がスタートし、2022年初頭に買収を決定。2022年4月にグループへの統合を果たすなど、急ピッチで話が進みました。

i Mag 今回のようなM&Aは、ランドコンピュータが今後も積極的に取り組む施策になりそうですか。

弘長 そうですね。「パッケージベースSI&サービス」の成長を促すためにも、M&Aは重要な戦略だと考えています。今回の統合に先立つ2021年4月には、SAP製品のコンサルティング、導入支援、アドオン開発などを主要業務とする株式会社インフリーを買収し、ランドコンピュータの100%子会社としました。NESCO SUPER SOLUTIONはランドコンピュータにとって2つ目の買収となります。今後もランドコンピュータにとっての事業強化を考えながら、M&A戦略を積極的に推進していく予定です。

ランドコンピュータとテクニゲート
2社が発揮するシナジー効果

i Mag 2023年1月には、NESCO SUPER SOLUTIONからテクニゲートへ、新しい社名に変更されました。この新社名に込められた思いを教えてください。

弘長 テクニックとゲートを組み合わせた社名で、スローガンには「Charting the Future、培われたIT技術が次世代のゲートを開く」と掲げています。この言葉のとおり、卓越した技術をもって門(ゲート)を開き、お客様の未来を作り上げていこうという思いを込めています。これは数ある候補の中から社内アンケートで決定した社名で、いわば社員全員の総意のもとで決めました。

i Mag ランドコンピュータとテクニゲートの協業でもたらされるシナジー効果をどう考えていますか。

弘長 今まさにお互いの強みや具体的なサービスメニューを洗い出し、将来的にどのようなシナジー効果を発揮できるかという青写真を策定している最中です。総合SIerとして、提案からインプリメンテーション、運用・保守のライフサイクル全般で、財務会計にとどまらない広い領域での共同提案が可能であると期待しています。青写真が確定すれば、相互のスキルトランスファーや人材の交流・再配置、サポート拠点の統合なども施策として打ち出していくことになると思います。

中村 SuperStream/400は、IBM i に対応した中堅企業向け本格統合会計パッケージとして高い評価をいただいています。お客様の企業規模も大手ユーザーから中堅・中小企業まで、とても多様です。オリジナル版であるSuperStreamをベースにしていますが、SuperStream COREシリーズのサポート契約は終了しているので、開発元であるスーパーストリーム社と協議しつつ、現在は日本のお客様のご要望やニーズを色濃く反映した独自ソリューションとして、新たな進化を遂げつつあります。

利用レベルが高まるにつれ、財務会計を核としつつ、最近では予算システムや管理会計システムなど、多様な周辺システムの導入・連携ニーズが非常に高まっています。SuperStream/400と連携した周辺システムの開発、あるいはオープン系環境で稼働している各種アプリケーションとの連携といったニーズを考えると、今後はオープン系に強いランドコンピュータの開発力を活かせる場面が増えてくると考えています。このあたりに、シナジー効果を活かせる余地が大いにあると考えています。

電帳法やインボイス対応など
今年は財務会計システム躍進の年に

i Mag 今年は法改正など、財務会計システムにとっては対応事項の多い年になりそうですね。

中村 そのとおりです。財務会計システムにとって法改正はとても大きなイベントで、今年は電子帳簿保存法改正やインボイス対応など、法改正を軸にした大きな環境の変化があり、それに応じてお客様からのお問い合わせや引き合いが急増しています。

また長くIBM i上の業務システムとして導入されてきた「iSeries Site」の保守サービスが今年6月末に終了するので、それに代わる財務会計システムを探すお客様からの引き合いも増えています。さらに企業の成長とともに、それまで利用してきたPC用の会計パッケージや手組みの会計システムをリプレースしようというニーズにもお応えする形で、新規ユーザーの獲得に注力していく予定です。ランドコンピュータとの統合もあり、今年は商機・勝負の年であると社員一同、一丸となって取り組んでいます。

弘長 2023年度に向けては、ランドコンピュータとテクニゲートが力強いタッグを組んで、IBM i市場の新たな開拓に乗り出していきたいと考えています。


弘長 勇氏

株式会社テクニゲート
代表取締役社長

ランドコンピュータに入社後、SEとして汎用機での金融系システム開発からキャリアをスタート。その後にオープン系へ移り、さまざまな業種・業務のシステム開発に従事。2007年に部長職に就き、現場を離れてからは主にパッケージ等のソリューションビジネス、クラウド、AI、IoTなど先進・トレンド分野のビジネス推進を担当。2022年6月、NESCO SUPER SOLUTION(現、テクニゲート)の代表取締役社長に就任。ランドコンピュータの取締役 ビジネスイノベーション事業本部長を兼務。

中村 康成氏

株式会社テクニゲート
取締役 システム本部長

(株)ネットワークエンジニアリングシステム(現、ネスコ)に入社。IBM iの前身であるSystem/38のプログラマーからスタートし、IBM i上で数多くのシステム開発に従事する。2002年にSuperStream事業部に配属。2006年に部長職に就き、導入の現場を担当しながら、SuperStream/400のシステム部門全体を担当。2022年6月、NESCO SUPER SOLUTION(現、テクニゲート)の取締役に就任。

株式会社テクニゲート https://www.technigate.co.jp/

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