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Windows 10ベース・VDIシステムの課題に挑む ~NVIDIA GPUを選択肢に揃え「VDIクリニック」により最適解を提示

Windows 10サーバー上に構築するVDIシステムについて「懸念の声」が上がっている。
Windows 10とその上で稼働するアプリケーションが
Windows 7と比べてより多くのグラフィック・リソースを消費するので
Windows 7と同様のリソース構成ではパフォーマンスが劣化するという。
この問題の解決に、JBCCが動き始めている。同社のソリューションについて取材した。

 

 

Windows10ベースのVDIは
パフォーマンスに要注意

 VDI(仮想デスクトップ基盤)は、セキュリティの強化やコンピューティング・リソースの集約化を実現するソリューションとして大きな注目を集めている。また最近は、「働き方改革」を推進する特効薬としても脚光を浴びている。VDIによって、外出先やリモートサイトにいてもオフィスと同様の環境をセキュアに実現できるからである。

 ただし、Windows10をVDI環境で使用する場合は要注意である。「ユーザーの利用形態によってはパフォーマンスが極端に低下し、業務に差し支えるようなことが生じるからです」と、JBCCの斉藤寛徳氏(プラットフォーム・ソリューション事業部 ソリューション技術部)は警鐘を鳴らす。

「Windows 10は、Windows 7と比べてグラフィックリソースを大量に消費する設計になっています。そのためWindows 7サーバーと同数の仮想PCをWindows 10サーバー上で設定するとCPUにより高い負荷がかかり、処理が遅くなる恐れがあります。たとえば、Power Pointのスライドショーや動画の再生程度でもパフォーマンスが劣化する場合があります。

 また、Windows 7サーバーと同レベルの処理性能を得ようとすると、より少ない数の仮想PCしか稼働できないことが生じます。仮想PCの集約率が下がれば、より多くのサーバーが必要となり、コスト増や運用工数の増加となって返ってきます。Windows 10ベースのVDIを導入するときは、利用目的と環境に即した現状分析や慎重なサイジングが不可欠で、場合によってはGPU(Graphics Processing Unit)の導入が必要になります」(斉藤氏)

 

仮想GPUソリューションを
用いるメリット

 JBCCでは今年8月に、GPUメーカーのNVIDIAとパートナー契約を締結し、仮想GPUソリューションをベースとするWindows 10対応VDI環境の提供を開始した。

 NVIDIAの仮想GPUソリューションを用いると、仮想PCの個々に仮想的にGPUパワーが割り当てられるので、個々の仮想PCが重いグラフィック・アプリケーションを作動させても仮想GPUが処理を引き受け、サーバーCPUに影響を与えないため、それによって仮想PCのパフォーマンスが劣化することはない。これがWindows 10対応のVDIシステムに仮想GPUソリューションを導入するメリットである(図表1)

 

 しかし、Windows 10ベースのVDI環境で動作するアプリケーションがサーバーCPUにどのような負荷を与えるか、あるいは、そのVDI環境がGPUを必要としているか否かを判断するのは、「パフォーマンスに影響する条件が、CPUのクロック数やコア数、メモリ、ストレージなどのハードウェアだけでなく、お客様が利用するアプリケーションの利用状況などが加わるので、非常に困難です。Windows 10やVDIに精通し、サイジングとシステム設計が行えるエキスパートの知見とスキルが必要です」と、JBCCの大島貴幸氏(プラットフォーム・ソリューション事業部ソリューション技術本部 本部長)は指摘する。

 

VDIクリニックで、最適な
Windows 10・VDIを提案

 そこでJBCCでは、Windows 10対応VDI環境の提供開始と同時に、GPUの要不要までも診断する無償の「IT Modernizationクリニック/VDIクリニック」をスタートさせた。

 VDIクリニックは、「事前ヒアリング」→「仮想化健康診断(ワークロードの確認)」→「ワークロード分析報告」→「サイジング作成」→「検証/トライアル(PoC)」→「システム構成デザイン」というステップを踏んで進められる(図表2)

 

 “定石どおり”のシステム化診断のように見えるが、大島氏は「VDIクリニックの最大のポイントは、お客様自身にも見えていない課題点を洗い出すことで、そのために専用のアセスメント・ツールを使い、実際にシステム状況の見える化を行うのが特徴です」と話す。

 VDIシステムにアセスメント・ツールを導入すると、システム内の各種リソースの利用状況やアクティビティを詳細にモニタリングできる。そのなかからWindows 10ベースのVDIシステムに悪影響を与えているポイントを発見し、その改善策となるVDIシステムをサイジングして構成例を提案するのが、JBCCのVDIクリニックである。

「Windows 10対応VDIシステムの導入ご支援で、仮想GPUソリューションを揃えているのは強力な武器になると考えています。これにIT Modernizationクリニック/VDIクリニックを加えることによって、お客様の将来の利用形態も見越したソリューションをご提供できます」と、大島氏は強調する。

[IS magazine No.21(2018年9月)掲載]

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